美しき異形達
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第二十一話 菖蒲の友人その十一
「水酸化ナトリウムを使ってね」
「石鹸作るのよね」
「けれど今度の授業ではね」
その石鹸は、というのだ。
「作らないわ」
「そうなのね」
「けれど石鹸を作ったことはあるわ」
「へえ、それは凄いわね」
「凄いかしら」
「自分で石鹸作るってそうそう出来ないわよ」
「いえ、これがね」
その石鹸を作ることについてだ、菖蒲は裕香に答えた。
「案外ね」
「簡単なの?」
「手順を覚えたらね」
「そうなの」
「実は私石鹸も好きで」
菖蒲は裕香に自分の嗜好のことも話した。
「面白い石鹸は集めたりもしてるの」
「そうなの、私はね」
「裕香さんは?」
「牛乳石鹸が好きで」
それで、というのだ。
「いつもそれ使ってるの」
「そうなの」
「一番香りがいいと思うから」
「確かに牛乳石鹸はいいわね」
「そうでしょ」
「私もあの石鹸はいいと思うわ」
菖蒲は裕香が好きなその石鹸についても述べた。
「かなりね」
「そうよね」
「ええ、私あの石鹸も持ってるわ」
「菖蒲ちゃんって石鹸集めも好きなのね」
「趣味と言えばそうなるわ」
「そうなのね、面白い趣味ね」
そうしたことも話してだった、菖蒲は日常生活も楽しんでいた。そして土曜日の部活の後だ、菖蒲はクラスの友人達と共に下校中のショッピングを楽しんだ。
そして街の公園に入ってだ、そこで。
ワゴン車を利用して出している店のクレープを頼んだ、菖蒲はブルーハワイのアイスが入ったクレープを頼んだ。
そのクレープを見てだ、友人達はくすりと笑って彼女にこう言った。自分達もそれぞれのクレープを食べながら。
「菖蒲ちゃんてクレープでも青よね」
「いつもブルーハワイよね」
「中にブルーハワイのアイスを入れた」
「それ頼むわよね」
「ええ、好きだから」
だからだとだ、菖蒲も食べつつ友人達に答える。
「それでね」
「青が好きなのね」
「その色が」
「色も好きで」
それに、というのだ。
「味もね」
「ブルーハワイの味も」
「それもなの」
「そう、だからね」
「クレープはブルーハワイなのね」
「そうなのね」
「そうなの。中のものは他のものも好きだけれど」
一番はだった。
「ブルーハワイがあればね」
「絶対にそれなのね」
「青なのね」
「そうなの」
こう言いつつ食べていく、紙に半分まで包まれていて手で持って食べる形式のそのクレープを。
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