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魔法少女リリカルなのはStrikerS~破滅大戦~

作者: Blue
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1st
邂逅篇
  第3話『エレア・フィールドハイト』

 
前書き

復活(リ・ボーン)!!!』
────by沢田綱吉(家庭教師ヒットマンREBORN!)
 

 
【3人称side】

「アンタは‥‥」

──一体誰だ?

一護は目の前に立つ少女にそう訊ねようとした。

その他にも、少女の正体やこの世界、状況など諸々のことについても問うつもりだった。

しかし、

「少し待ってください」

少女は一護の問いを遮ると、見つめれば吸い込まれるような澄んだクリアブルーの双眸を閉じ、その目の前の地面に奇怪な陣を展開した。

それを見た一護は、数分前に自分の足元に現れたモノと今目の前にあるソレを比較し、改めて思う。

(やっぱりコイツが、俺をここに呼んだのか‥‥?)

一護がその考えに至ったちょうどその瞬間、少女の目の前の陣が光を放つ。

ホンの数秒だったが、皓伯たる世界をより白く染めるほどの強い光だった。

「っ!!」

一護は耐えられず、そのブラウンの双眸を閉じてしまう。

光が収まり、一護がそっと目を開けると、そこには桜色のツンツン頭の少年が倒れていた。

そして、僅か十数秒後、

「痛ってぇ‥‥。何だってんだよ」

おもむろに頭を抑えながら、少年──ナツ・ドラグニルは目を覚まし、上体を起こす。

「‥‥どこだ、ここ?」

どうやらナツも突然ここに連れてこられたらしく、まったく状況を飲み込めていないようでいた。

まあ以前述べたこともあるように、簡単に飲み込める奴などそうそういないだろうが‥‥。

「‥‥誰だ? お前等?」

途端、自分以外の存在を感じ取ったのか、ナツが振り向き様に問う。

その視線の先にいるのは勿論、一護と少女の2人だ。

「では揃ったところで、お話しましょうか」

少女はナツの問い自体には答えなかった。

しかし、少女が「話す」と言ったため、ナツはそれ以上は何も問うことはしなかった。

普段のナツなら声を荒げて問いただしたかも知れないが、少女から一切の敵意を感じなかったということも、質問を切り上げた理由だ。

結局何も問うことができなかった一護も同じく‥‥。

「まずは突然連れてきたことを謝らせてください」

そう言って少女は、2人に深々と頭を下げる。

「いや、そういうのはいいから‥‥取り敢えずアンタのことやこの場所のこと、それから連れてきた理由を聞かせてくれ」

一護もナツも、聞きたいのは謝罪ではなく説明だ。

故に、一護が訊ねる。

「わかりました」

一護の言葉を受けた少女は、静かに頷き、説明を始めた。

「私の名前は『エレア・フィールドハイト』。主の命により、貴方たちをこの《次元の境界》に呼び寄せました」

「〝じげんのきょーかい〟って何だよ?」

少女──エレアの説明の中に登場した聞き慣れない単語について、ナツが首を傾げる。

「世界と世界の狭間に存在する隙間に、私の能力で作り出した小さな私専用の空間のことです」

「世界と世界の狭間ってのは、〝断界〟みたいなモンか?」

一護が言うが、エレアは首を横に振る。

どうやら別物らしい。

この時、ナツはまたも首を傾げた。

一護の発した〝断界〟という単語にも聞き覚えが無かったからだ。

「‥‥先にお2人のことを話しますか?」

その様子を見たエレアの提案により、一護とナツは互いのことを話すことにした。

一護は死神のこと、尸魂界(ソウル・ソサエティ)のこと、自分の過去のことを‥‥。

ナツは魔法のこと、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のこと、自分の生い立ちのことを‥‥。

2人はそれぞれ話した。

「魔法とか‥‥何か、スゲェな‥‥」

「死神ってことはアレか!? 魂とか取んのかよ!?」

「取らねえよ! 話聞いてなかったのか!?」

身構えるナツに対し、一護は的確なツッコミを入れる。

互いのことに驚きつつも、ともに相手の話を素直に信じているようだった。

目の前の人物が嘘をついているようには見えないと、両人ともが思ったからだ。

「そんで? この場所のこととかオレたちのことはわかったけどよ‥‥」

「俺たちが呼ばれた理由ってのは何なんだ?」

互いのことを話し終わった2人は、話を元に戻す。

「それは‥‥〝次元の崩壊〟を止めてもらうためです」

「「次元の崩壊?」」

エレアの口から飛び出した仰々しい単語に、2人は思わずハモってしまう。

「はい。貴方たちの世界は、いわゆる《平行世界(パラレルワールド)》というモノで、互いに干渉することなく存在しています」

「《パラレルワールド》ってあれか? 異世界ってやつか?」

「そう考えてもらっていいでしょうね」

一護の考えを聞いたエレアが頷く。

あながち間違った解釈ではないからだ。

「勿論、貴方たちの世界以外にも《平行世界(パラレルワールド)》は無数にあります。正確には〝多元宇宙〟などの専門用語が存在するのですが、平たくはさっき一護さんが仰った〝異世界〟と捉えてもらって差し支えありません。そんな《平行世界(パラレルワールド)》を破壊しようとする組織があるんです。その組織の名は‥‥《破滅ヲ望ム者(カタストロフィア)》」

「まさか、俺を襲ってきたのはそいつ等の仲間なのか?」

一護はここに来る直前に自分を襲ってきた萌葱色の髪の男を思い出して言う。

それに対し、エレアは険しい顔で頷く。

「ってことは、そいつ等は‥‥」

エレアの説明を聞いた一護が、ある可能性に思い至る。

そしてその考えを理解したエレアが、静かに口を開いた。

「一護さんが思っているとおり‥‥貴方たちの世界も、《破滅ヲ望ム者(カタストロフィア)》の破壊対象です」

「「っ!!?」」

その思考に至っていた一護は勿論、ナツも驚愕した。

自分たちの世界が破壊されようとしていると聞かされれば、それは驚くだろう。

「正確に言えば、貴方たちの世界を含めた4つの世界が、奴等の最も優先する破壊対象なのです」

エレアの説明を聞いていた2人は、驚愕からか暫く口を(つぐ)んでいたが、少しして、

「それで、オレたちは何をすりゃいいんだ?」

ナツが真っ先に口を開く。

一護も言葉こそ発しなかったが、その表情はナツと同じ決意を宿していた。

それを見たエレアは、少し微笑み、口を開いた。

「貴方たちには4つの世界の中で、一番最初に襲われると思う世界──《ミッドチルダ》に行ってもらいたいんです」

「ミッドチルダ?」

聞き慣れない世界の名に、一護は首を傾げる。

「簡単に言うと、〝魔法〟が存在する世界です。ナツさんの世界のモノとは少し勝手が違いますが‥‥」

「?」

エレアの言葉の真意を理解しきれず、ナツもまた首を傾げる。

ここまでの話の中で、一護は1つ気になることがあった。

それを思い切ってエレアに訊ねることにした。

「なあ、さっき〝4つの世界〟って言ったよな?」

「え? ええ」

「その中の2つの世界から俺たちが呼ばれて、そんで残りの2つの内の1つにこれから行くってのはわかったんだけどよ‥‥。もう1つの世界からは誰も呼ばなかったのか?」

その疑問を一護が言葉にした瞬間、ナツが「確かに」というような表情をする傍らで、エレアはギクッというような表情をしていた。

「あ~、その~‥‥。勿論もう1つの世界からも人を呼んだんですが‥‥」

「ですが?」

「間違えて直接ミッドチルダに飛ばしちゃいました!」

「‥‥はぁ?」

「てへペロっ(・ω<)☆」

「いや『てへペロっ(・ω<)☆』じゃねえだろ」

エレアの言葉と態度に、一護は呆れ、思わずツッコんでしまう。

「ドジだな~、お前‥‥」

ナツもエレアに対し、ジト目を向けている。

「で、でも! その人にも事情は説明してますし、貴方たちのことも伝えてあります! その人も理解してくださってますから!」

ナツからの痛い視線に耐えられず、エレアは必至に弁解しようとする。

「「‥‥‥‥‥」」

しかし、未だ一護とナツからは痛い視線がエレアに向けられている。

「と、とにかく! お2人にはミッドチルダに行ってもらいます! それで向こうでもう1人の仲間と落ち合ってください! その人の情報も伝えますから!」

とうとう視線に耐えられなくなったエレアが、若干怒り気味に声を荒げて言う。

その後、暫く沈黙が続く。

さっきまで若干怒り気味だったエレアは、今度はその沈黙に耐えられなくなったのか、少し不安そうな表情を浮かべた。

しかし、その表情は途端にパァッと明るくなった。

「ハァ‥‥まあいいや。わかった、アンタの言うとおりにするぜ」

「ヘッ! 世界を壊すだァ? 上等じゃねーか、燃えてきたぞ!」

驚愕や呆れなどの様々な感情に振り回されていた2人の瞳には、確かな覚悟が宿っていた。

「あ、ありがとうございます!!」

エレアは説明を始めた最初と同様に、2人に深々と頭を下げた。

しかしそれは、その時の〝謝罪〟の念とは違う、心からの〝感謝〟の念だった。

「じゃあ、早速行くか」

「ああ!」

一護とナツは拳を合わせる。

ホンの少し前に出会ったばかりの2人だったが、〝世界の崩壊〟という未曽有の危機を前にして、その間には確かな仲間意識が生まれていた。

そして、そんな2人の足元に、エレアは転移魔法陣を展開した。

「それでは頼みます。世界の崩壊──〝破滅〟を喰い止めるために‥‥」

「「おう!!」」

まるで2人の声に呼応するように、魔法陣が強い光を放ち、2人をここへと導いた時と同様、今度はミッドチルダへと導いた。

こうして、一護とナツはエレアに見送られながらミッドチルダへと向かった。

しかし、2人を見送ったエレアの表情が一変する。


「ごめんなさい‥‥」


エレアは小さく呟いた。

その頬に、一筋の涙を流しながら──‥‥。


─ To Be Continued ─ 
 

 
後書き

突然の出来事や話に対して2人が冷静過ぎる気もしますが、まあそれは気にしないでください(汗)

次回は最後の主人公であるツナと、リリカル勢数名が登場します。

お楽しみに!

本作品に関する感想・指摘・要望・質問等、お待ちしております。

では今回はこの辺で‥‥。


次回、第4話『沢田綱吉』 
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