魔法少女リリカルなのはStrikerS~破滅大戦~
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1st
邂逅篇
第2話『ナツ・ドラグニル』
前書き
『よーく覚えておけよ。これが妖精の尻尾の‥‥‥‥魔導士だ!!!!』
────byナツ・ドラグニル(FAIRY TAIL)
【3人称side】
アースランド──‥‥。
そう呼ばれるこの世界には、〝ギルド〟と呼ばれる組合が多数存在している。
商業ギルドや傭兵ギルドなど、その種類は多種多様だが、最も有名なのは〝魔導士ギルド〟だろう。
魔導士ギルドとは、その名の通り魔法を使う者──〝魔導士〟が所属するギルドのことである。
ギルドに所属する商人や傭兵、そして魔導士たちは、ギルドに来た依頼をこなす事で報酬を得、それによって生計を立てているのだ。
そして‥‥X791年・フィオーレ王国──‥‥。
およそ170年前に永世中立国となったこの国の東方に位置する商業都市・マグノリアにも、1つのギルドが存在する。
魔導士ギルド──〝妖精の尻尾〟。
マグノリアの南方に広がる巨大な湖を背にして建つ、小さな石造りの古城のような建物のギルドが、今話の舞台である。
「よっしゃぁ! ルーシィ! 仕事行こうぜ!」
「行こうぜ!‥‥じゃないわよ!」
建物の中は大きな酒場になっており、十数人の人間がそこでたむろしていた。
その中でも一際目立つのは、濃い目の桜色をしたツンツン髪の少年と、綺麗な金髪の少女の姿だった。
なにやら口論をしている。
「何怒ってんだよ?」
少年──ナツ・ドラグニルが訊ねる。
「当たり前でしょ! あんた昨日言ったよね!? 『久々に一緒に仕事行かねーか?』って! だから約束どおりの時間に来たのに! 行く仕事ももう昨日のウチに決めといたのに! 何!? 何で当のあんたはゆっくり食事してんのよ!」
対して少女──ルーシィ・ハートフィリアが怒りの原因を述べる。
どうやら仕事の約束をしていたのにも関わらず、当のナツが約束の時間を過ぎてものんきに食事していたことに、ルーシィは怒っているらしい。
「まあそう言うなよ。ミラが久々に珍しい食材仕入れたっつーから‥‥」
そういうナツの目の前のテーブルには、トレイに乗った燃え盛る肉の塊があった。
しかし、肉に火をつけたワケではなく、元々肉自体が燃えているらしく、肉が焦げたり燃え尽きたりなんて様子は無い。
「あぐっ!」
そんな肉を、ナツは片手で鷲掴みにし、パクリと口に放り込んでしまった。
常人にはそんな行為は無理だろうが、ナツには可能なのだ。
彼は〝炎竜王イグニール〟よりドラゴンを倒す為の魔法──〝滅竜魔法〟を授かった火の〝滅竜魔導士〟で、火を食べることで魔力を回復したり、強化したりできる。
つまり、火はナツの好物と言えるのである。
「フゥ‥‥ごちそーさま」
肉を飲み込んだナツは、律儀に両手を合わせて言う。
「ホラ! 終わったんならさっさと行こうよ!」
「わかったから引っ張んなって!」
食事が終わるや否や、机のそばで仁王立ちしていたルーシィが、ナツの腕をグイグイと引っ張る。
彼女がこんなにも仕事に行きたいのは、単に約束していたからとか、仕事熱心だからだという理由では無い。
ルーシィはマグノリア市内に借りたアパートに住んでいるのだが、毎月の家賃を払うのもギリギリなほど金欠なのである。
なので、彼女は一件でも多くの依頼をこなし、早くお金を稼ぎたいのだ。
「つーかよぉ、行く仕事は決まってんのか?」
「フフン♪ それは‥‥これよ!」
バンッというような効果音が付きそうな勢いで、ルーシィはナツの目の前に依頼書を突き出す。
そこには、『盗賊団《ゲンジボタル》の捕獲』と『報酬120万J』と表記されていた。
「おお! 最近街で噂になってるヤツ等か!」
「そうよ! しかも報酬が破格の120万! あたしたち2人で分けても1人60万ってワケ!」
ナツは敵に、ルーシィは報酬の額に、それぞれテンションが上がっている。
そこへ、
「ちょっと、オイラのこと忘れてない?」
羽を生やした青猫が現れ、2人に話しかけた。
「あら? ハッピーも行くの?」
「ナツぅ~、ルーシィがオイラを仲間はずれにするよぉ~」
「ルーシィ、いじめは格好悪いぞ」
「じょ、冗談よ冗談」
「‥‥‥‥‥」
笑って誤魔化すルーシィをジト目で睨むこの猫はハッピー。
この世にあるもう1つの世界〝エドラス〟に生息する〝エクシード〟と呼ばれる生物で、〝翼〟という飛行魔法を使う、妖精の尻尾の魔導士──こんな形だが──である。
こう述べたが、ハッピーはアースランドで生まれたエクシードであり、例のアニマ事件が起こるまではエドラスの存在さえも知らなかった。
そして、生まれてから今の今までずっと、ナツの大切な相棒として存在している。
だからナツは決してハッピーを仲間はずれになどしないし、それを知っているルーシィも本気ではしない。
「まあいいよ」
勿論ハッピーも本気で悲しんだり怒ったりしているワケではなく、一種のギャグだ。
泣いたり笑ったり喧嘩したりもするけど、決して切れることのない絶対の絆を持つ。
これこそが妖精の尻尾の日常であり、強さなのである。
「おっし! じゃあ行くぞ!」
「「おお~!!」」
ナツが掛け声をかけると、それに2人──1人と1匹──が呼応して拳を突き上げる。
異変が起こったのは、まさにその瞬間だった。
「アぁ!?」
「「えっ!?」」
突然、ナツの足元に魔法陣が展開されたかと思うと、途端にそれが発光を始めた。
「ちょ‥‥おい! なんだよ、コレ!!」
ナツは突然の出来事に戸惑い、その陣から逃れることができなかった。
そうしている間にも、魔法陣の光は強まっていく。
瞬間、
カァッ!!
『っ!!!』
ホンの数秒間だが、眩い光がギルド内を包み込んだ。
そして、しだいに光が消えていく。
しかし、
「「──っ!!?」」
同時に、たった今までルーシィとハッピーの目の前にいたナツも、忽然と姿を消していた。
ギルドは喧騒に包まれた。
先述したとおり、妖精の尻尾の仲間たちの間には、絶対的な絆がある。
そんな大切な仲間が──家族が消えてしまったのだ。
喧騒も起ころう。
「ナツ‥‥?」
「ど、どうなってるの‥‥?」
目の前でそれを見ていた2人──1人と1匹──も、騒ぎこそしていないが、心の中は、そんなものではないのだろう。
その日一日、ギルドで喧騒が止むことはなかった。
その日の夜──‥‥。
「‥‥チッ」
マグノリアの郊外に位置する高台に、1人の男が立っていた。
月明かりの遮られた暗い夜でもハッキリと視認できる、燃え盛るような紅蓮色の髪の男だ。
その男は、高台からある一点に視線を向け、おもむろに舌打ちした。
「慌てて来てはみたが‥‥火竜は、もういねぇか‥‥」
火竜とは、アースランドでのナツの二つ名である。
どうやらナツを訪ねて来たらしい。
「ハァ‥‥お咎め喰らう前に戻るか」
「既に手遅れだ」
「やっべ‥‥」
そう呟く男の背後に、白髪で全身白装束の男が立っていた。
「イタクァといい貴様といい‥‥。〝十滅将〟の独断専行は目に余る。サクヤやヒュウのようにはできんのか?」
「ハハッ、悪い悪い」
白髪の男の苦言にも、赤髪の男は飄々とした態度で謝罪する。
「まあいい。戻るぞ」
「ヘイヘイ」
直後、2人の足元に魔法陣が展開され、ナツの時と同様、そのまま2人の姿は消えてしまった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「痛ってぇ‥‥。何だってんだよ」
自分の頭を抑えながら、ナツは目を開けた。
「‥‥どこだ、ここ?」
ハッキリと見開かれた双眸に映ったのは、〝白〟。
これといった景色が何も無い、皓伯とした世界だった。
しかし、まったく何も無いワケではない。
「‥‥誰だ? お前等?」
ナツは振り返り様に訊ねる。
そこには、オレンジ頭の青年と、空色のポニーテールの少女がいた。
「では揃ったところで、お話しましょうか」
ナツの問いをスルーし、少女は口を開いた。
─ To Be Continued ─
後書き
いかがでしたでしょうか?
この作品は『BLEACH』、『FAIRY TAIL』、『家庭教師ヒットマンREBORN!』、『魔法少女リリカルなのはStrikerS』の計4作品のクロスオーバーとなります。
各作品において独自解釈や独自設定等も多々登場します。
そういったモノや上記の作品が苦手・嫌いな読者様は、申し訳ないのですがそれを踏まえた上で読んでいただくか、残念ですが素直にBackしてください。
こればっかりは好きな作品なので、すみません(汗)
また、4作品のいずれかを知らない読者様にも楽しんで読んでいただけるように配慮して執筆していきますが、至らない部分もあるかと存じます。
小説の書き方についても段落等を無視したモノとなっておりますが、見易さ・書き易さを優先させていただいております。
その2点につきましては、何卒ご容赦を‥‥。
今回はこの辺りで失礼させていただきます。
次話以降も順次投稿していきますので、お付き合いくださる読者様はしばしお待ちください。
作品の感想、誤字・脱字の指摘、設定等の質問など、お待ちしております。
では‥‥m(_ _)m
次回、第3話『エレア・フィールドハイト』
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