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悠久の巡礼者

作者:使い魔
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空腹

 
前書き
原作しらないけど・・アニメ知識とwikiや応援で補い原作と程、同じ時間軸で書きますが、オリジナル
展開で書きます。 

 
 食堂に着いた。
天井が高く広い造りで、
中世ヨーロッパの建物に近い建築
構造だと伺えた・・装飾などもそっくりである。
観察しているうちにメイドが、
豪華な食事を配膳し始めた。
匂いが漂い、食欲をそそられる・・・・
ーー!! 何を考えたんだ・・私はーー

「ーーーーーー」

 自分の異常に気づき眉をひそめる。

 不死者である私は食事の欲求はなく、摂取
しなくても活動できるため必要としない
はずなのだが・・体が脱力感に冒(おか)され、
腹が活動的になり空腹を訴えかける。

 人の像を使い見た目の成りだけは、
生前に戻せても体は既に、常人の機能は
失われている。"死んでる体"を魂の力
だけで繋ぎ止めているようなもの
なのだから・・そして・・
魂(ソウル)も無限ではなく失われる。
何もしていなくても少しずつーー
ソウルを無くした者は亡者となり自我を
失いソウルを求めるだけの化物に
成り果てるのだ・・故に・・
救いなどなく・・ただ進むしか
選択肢などなかった。

 それがーーどういうことだ・・
不死者になった者に出る呪いーー
ダークリングが消滅したかと
思えば空腹すらも感じる・・

 これでは・・まるでーー人間じゃないか・・
私はーー生き返ったとでもゆうのか・・
蓄えてきたソウルはある収集して鍛えた
武具も全て問題ないーー

 そうか・・そうなのかーー私は・・
生きているんだ・・別の世界でーー
この世界に惹き付けた存在に
感謝せねば、なるまいーー
御身に仕え忠義を誓おう。

 誓いを胸に主を眺めていた。

  「なによーージロジロ見て・・気持ちはわかるけどねーー仕方ないでしょ! ここは貴族が食事をする場所なのよ貴方の席はないの! まぁーー私も鬼じゃないもの!わけて上げるわ!」

  床に置かれた皿の上に1つ平凡なパンが
置かれた・・ 生地をこね、焼いただけの
物だろう・・ないよりはマシだがーー
久しぶりに味わう食事がこれだと思うと・・
いい表せない程、残念な気持ちになる。

  手に取り食べることにした。

 だが・・・・それは・・想像以上にーーーー

「ーーーー硬い・・」

  硬かった・・・・

  「貰えるだけ感謝しなさいよね! 美味しいの食べたいなら力を示しなさい!! 貴方の忠義深さは買ってるんだからーー」

 思わず声に出してしまった、顔にも出て
いたかもしれないーー反省せねば。
彼女の要求は御尤(ごもっと)も、だろう。
魔法使いである己を守る従者が・・
平民だったとのだ・・戦う力のない
者が召喚されれば、悪態もつきたく
なるだろう・・ならばーー
彼女が言うように示す機会を待ち
力を発揮しなければならないな。
今はこのパンで食い繋ごう。

  「失礼、主よーー思わず失言してしまいました・・有り難く頂かせてもらいます」

  膝をつき、忠誠を誓いパンを一気に噛み千切った。

  「分かればいいのよ・・私は講義に出席するから、騒ぎを起こさず周りの使い魔と、仲良くしてなさいよーー」

  腰に手をおき、無い胸を張りながら
堂々とした面持ちで、いい放ち
優雅に歩いていった。

  「ーー待機というわけか・・」

  暇を持て余し周囲の散策を行(おこな)う。
正直、使い魔には興味をもっていたのだ。
辺りが芝生の広場に出て歩いていた
ところ、青い竜がいた・・美しい。
力は勿論・・知力もあるのだろう。
強いソウルが物語っている。

 見ていた私に反応して顔を向けてきた。

  ささやきの指輪を装備してみよう。
ソウルに分解していた情報を、
再構築させ顕現させる。

 通常、沢山の装備を持ち運ぶのは、非効率で
戦いの邪魔になるが・・武器や道具を、
ソウルに分解し必要なときに
形にすることで可能としている。
土に自然と還る物は基本的に
この摂理に該当する仕組みだ。
 
  「君は凄い力を持っているな・・」

  龍の顔を見つめながら語りかける。

  「なにこの人間! いきなり! 確かあの時召喚されてた人間の使い魔なのね!」

  いきなり話しかけたのが不味かったのか、
機嫌を損ねてしまったようだ。

  「いきなり話し掛けて悪かったな・・あの広場に君もいたのかーー」

  こんな目立つ龍なら気づくと思うのだがーー
見落としてしまったのだろうか。

  「ーーーー!? 私の考え聞こえているの! 声出してないのにーー」

 心底驚いてるな・・そんなに
予想外なことなのか?

「聞こえているよーー」

  「何者なのね! ただの人間じゃないわね!」

 警戒されてしまった・・自身の証明か、
説明してもいいが・・信じてもらえるか、
疑問だなーー

「ーー今から話すことを信じてもらわないことには始まらないのだが・・聞いてもらえるか?」

  「ーーえ!? 話してくれるの?」

  目をキラキラと子供が喜んでいるようだ。

  「警戒されるのは困るんだ・・君に聞きたいことがあってな」

「わかったわーー話してみるのね!!」

 承諾してくれたところで芝生に寝転んだ・・

 呪いの刻印が現れ導かれた土地・・
ドラングレイグーー人の理を
呼び戻すためにソウルを求め・・
悠久の戦いを・・幾重の死を越え
心を擦りきらし、散っていった者や・・
絶望して歩みをやめた者を尻目にーー
巨大なソウルを持つ者を探し
玉座を目指した長い道程。(どうてい)

 そして・・玉座にたどり着いたーー
だがーーそれは新たな始まりで・・・・
己が滅びるまで続く、終わりのない探求
立ち止まることは滅びを意味する。
玉座についてから、どれくらい経過したか
わからなくなり、過去の記憶が更に
すり減っていき、今は・・・・
自分の名前と戦った強敵くらいしか
思い出すことができない。

 そのまま亡者になると思っていたが・・
異世界に飛ばされ、何故か呪いが消え
人間に戻っていたという事実と、
集めてきたソウルや武具は
健在だということを話した。

「なんてーー報われない話しなの・・グスンーー貴方は自分の為に生きるべきなのね!」

  話を信じきって泣きじゃくっている。
無論・・嘘は言ってないが・・ここまで
純粋に信じるとは、いい意味で予想外だ。

  「ありがとうーー信じてくれて・・私でよければーー君の力になろう困ったら話に来てくれ」

  朗らかな気持ちで約束するのは・・・・
久しぶりな感じがするなーー

  「それは心強いのね! おねえーーじゃなくて私の主にも話してもいい?」
 

  「別に構わないけど・・信じてもらえるのか?」

  普通の思考の持ち主ならば・・善処してーー
半信半疑がいいところだと思うがーー

  「大丈夫なのね! 任せてなのね!」

  どこからそんな自信が湧いてくるのか・・
疑問しかないがーー

「ーー信じてもらえたらでいいんだが・・情報が欲しいと言っていたと、伝えてくれ」

  「伝えておくのね! また来るといいわ!!」

 手を振って、その場を離れる。

 ◇◇◇

 講義室を出て使い魔を探しに広場まで歩く。
食堂の近くの広場から先に見ていくと、
私の使い魔の姿が視界にはいる。

 あれって・・タバサの使い魔よねーー
何やってるのかしら・・あーー
こっちに歩いてきた・・

  「あんた・・何やってたのよ?」

  皮肉で同じ使い魔同士、仲良くしてなさい
とは言ってたけど、まさか・・本当に・・?

  「使い魔と交流してましたが・・問題がありましたか?」

  指示を遂行しましたが不備がありましたか?
と言わんばかりな満足気ね・・

  「何でもないわ・・部屋に戻るわよーー」

  アルフが何が出来るのか聞かないと・・
いけないわね。

「ーー了解しました」

  無表情ねアルフって・・顔は中性的。
美形で悪くない、瞳は透き通った
水みたいに繊細な青色。
髪は金髪で前髪が少し長めで、
跳ねてるのが目立つわね。
笑えば悪くないのにーー
歳は18から20辺りかしら?

 そんなことを考えているうちに、部屋の前に
着いていた。

「ここが私の部屋よ、入りなさい」

 私の後に続いて入ってくる。
相変わらず無表情で・・
最低限の言葉しか発言しないわね。

「私はどこで寝れば・・?」

 部屋を見渡し寝床を懸命に探している
ようだ。

「床に藁があるでしょ・・そこよ」

 下を指を指しながら示した。
犬に命令するような扱いと差異はない。

  「ーーーー」

 黙って礼を済ませ座りこんだ。

 なにも言わないのね・・・・
下着も洗わそうかと思ったけど、
平民だけど使い魔ーー下僕と同じことを
やらせたら私が恥をかくから、メイドに
渡しといてもらおうかしら・・・・

「私の洗濯物は明日メイドに渡しておきなさい・・今日は寝るけど、明日の夜に貴方が出来ること聞くから何か用意しときなさいよねーーおやすみ」

  色々あって疲れたわ今日はーー
ぐっすり眠れそう・・・・

 ◇◇◇

  使い魔と呼称されるより下僕扱いの方が
誰が見ても納得しそうだな・・
主は寝たか、夜空でも眺めるのもーー
悪くなさそうだ・・

 パタン

 起こさないように音を抑えて、部屋を出た。

「夜風が気持ちいいなーー」

  塔から本塔に繋がる渡り廊下の上に
寝転びながら呟いた。

 ピクっ・・

 覗かれてる気配を察知。臨戦態勢に移った。

 右手にブルーフレイム、アヴェリン。
 左手に叡智の杖、番竜の盾、呪術の火。

 獅子魔術師のローブ。
 腕輪。
 腰巻き。

 緑花の指輪。
 三匹目の竜の指輪。
 全ての退魔の指輪。
 南司祭の指輪。

「そこにいるのは誰だ? 出てこい・・」

 影からスッと眼鏡を掛けた
 ショートカットの少女が、姿を見せた。

  「その制服・・ここの生徒かーー?」

  警戒を完全には緩めずに維持する。
 こちらの魔法がどれ程か、まだ検討つかない
 ため、武装の解除は論外だ・・
 擬態の可能性を捨てきれない。

「ーー夜更けに、何のようかな?」

  距離を一定に保ちながら、相手の口や
 杖の動きに目を凝らす。

「ーー貴方に用がある・・敵対の意思はない」

  無表情に見えて優しさを感じる
 瞳に目を奪われかけた。

「証明できる判断材料を何か提示できるか?」

 言葉では何とでも言えるからな。
 警戒せざる得ないだろう・・
 するとーー杖を徐(おもむろ)に投げてきた。
 杖を手から離したのか・・・・
 魔法使いにとって杖は騎士の剣である。
 それ程に話がしたいのか・・?
 ここまでされたら何も言えまい。

  「話をするのは、構わないが・・杖を投げるなんて無謀だぞ」

 杖を投げ返してから近付き様子を窺う。

  「ーー貴方は信用できるから・・ 」

  隣にちょこんと少女が座った。

 事前に情報を集めていたのか・・しかし
 一体どこからだ・・

「何で信用できるんだ?」

 最大の疑問だ・・情報はどこから・・
 獲た物か聞き出さなくてはーー

「ーー私の使い魔から聞いた」

「ーー使い魔?」
 
 まさか・・・・

「ーーシルフィード」

 風が吹き抜け、そこには・・

「私のご主人様のお姉さま、なのねーー聞いた話しを伝えたら・・こんな流れになったの」

 昼に話していた使い魔がいた。

  「なるほど・・なにが聞きたいんだ?」

  「貴方の魔法が知りたいーー」

  「どう説明したら、いいか分からないが・・習得したいのなら、やるだけやってみるか?」

「ーー可能ならば・・是非」

 喜んで・・いるのか?
 微妙に顔に動きを感じたが・・

「訓練は取り合えず明日からだなーーそれとは別にこちらの世界の常識や必要なことを、教えてくれないか?」

 早くなれないと厳しいものが・・ある。

  「ーー構わない・・」

  「では・・明日から頼む、君の名前は?」

 聞いておかないと不便極まりない。

「ーータバサ」

 変わった名前・・いや偽名だな。
 何故、偽るのか気になりはするが・・
 触れられたくはないだろうーー

「よろしく頼むタバサ、私はアルフだ」

 友愛の証に手を差し出す。
 握手というやつだ・・

 小さな手で握り返してきた。タバサは・・
 重いなにかを背負ってるように・・
 思えるーー出来る限り力になろう。

 夜が明ける前に戻った方がいいと、
 判断してすぐに部屋に帰ることにした。

 
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