美しき異形達
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第二十話 錬金術その十七
「見極めるのは強さだけじゃないだろ」
不敵な笑みをまた浮かべる薊だった。
「それは」
「他には何だ」
「タイプだよ」
それだというのだ。
「相手のタイプを見極めるのも大事なんだよ」
「我をか」
「あんたのことはわかったさ」
それが、というのだ。
「これまでの手合わせでな」
「それで勝てるというのだな」
「ああ、勝ち方がわかったよ」
まさにそれが、というのだ。
「じゃあ今から勝たせてもらうぜ」
「戯言を、と言いたいが」
「あたしがそういうことを言う風に見えるかい?」
「いや、見えない」
即座にだ、怪人は薊にこう返した。
「ではどうするつもりだ」
「あんたはボクサータイプだからな」
それがムースの怪人だというのだ、それでだった。
薊は目は怪人の目を見ている、しかし。
右手に持って棒を伸ばしてリーチのある突きを繰り出す突きを繰り出す中でだ、その右手に持っている棒を。
右手に持ったままだった、突きから。
足首、そこをだった。
振ってだ、一気に。
打った、しかもその棒には炎を帯させていた。それでだった。
怪人の足首を振りで打った、それはこれまで薊の突きをかわす動きをしていた怪人がすぐに反応出来るものではなかった。
かわそうとしたがだ、ここでだった。
足首に当たってしまった、左のそこに。
致命傷ではなかったがだ、そのダメージで。
怪人の動きが遅くなった、微かにではあっても。
薊はその動きが鈍くなった相手に攻め込んだ、その足にだった。
今度は突きを入れた、右の太腿を直撃した。そこから。
薊は棒を七節からだ、一つに戻し。
両手に持って真上に跳んだ。
棒を怪人に向かって炎を帯させたまま投げてだ、空で身体を伸ばし横に回転させて。
右脚の蹴りを繰り出す、棒は怪人の胸を打ち。
さらにだった、その胸をさらに。
炎を帯させた蹴りで打った、そのまま。
身体を突き抜けさせ怪人の後ろに着地した、その背中にドゥーベの符号が赤く浮かび。両膝を折って着地の衝撃を抑え。
そのうえで立ち上がってだ、こう言った。
「勝ったな」
「見事だ、しかし」
「あたしが勝った理由だね」
顔を怪人の背に向けての言葉だt6た。
「それを聞きたいんだね」
「最後にな」
そうだというのだ、怪人も。
「そうしたいがいいか」
「いいさ、あんたはな」
「我は。何だ」
「ボクサーだからな」
「確かにな。脚も使うが」
「基本はボクサーだからな」
薊はこう怪人に話す。
「足の動きは速いしいいけれどな」
「しかしか」
「ボクサーは足が弱いんだよ」
足では戦わない、そしてダメージを受けることもない。ボクシングにおいて腰から下への攻撃は反則とされている。
だからだとだ、薊も言うのだ。
「本来は攻めないんだけれどな」
「今は違うか」
「試合じゃないだろ、今は」
「その通りだ」
命を賭けた勝負だ、それでだというのだ。
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