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真ゲッターロボ・地球最凶の日 第一部「滅亡への夜明け!」

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燃えよ!ゲッター篇第三話 「紅牙がいく」

 
前書き
ついにゲッター1(上半身)が登場です。何か真ゲッターってうより、新ゲッターになちゃってますね・・・・・・ 

 
午後2時、帝都城にて

単刀直入に言おう、俺はその後他の兵士ら数十名にスタンガンを食らって取り押さえられ、一先ず近くの駐屯基地地下の独房に監禁されてしまった。
そして今、俺は牢屋の鉄格子をタックルで食い破り、追手数百名の兵士を相手に大乱闘を繰り広げている。こうも大人数を相手にすれば逆にあの戦術機って言う代物を使うことはできないはずだ。それに、相手は兵士と言っても熟練と言うよりも若手の兵士ばかりが多く、肉弾戦に手慣れた相手はいなかった。
「ったく!さっさと帰ろう……」
倒れて積み重なる兵士達をバックに俺は地下牢の階段を上っていると、出口あたりにはひとりの老人が立っていた。白衣を着こなし、背の低いその男は俺を見ると不気味にほくそ笑む。
「クックック……お主が、白銀武じゃな?」
「ああ……そうだが?」
訪ねる老人に俺は、警戒して答える。すると老人は身構えする俺にこう続けた。
「単刀直入に言おう。白銀武よ?今すぐわしらの元へ来い!」
「はぁ?」
「お前しかできない役目がある。今すぐ来い!わしはお前を気に入ったんじゃ!!」
「やだ」
勿論俺はキッパリと断った。合った事も無い初対面の、それもこんな胡散臭そうな爺の元へついていけるかよ?
「どうしてもか?」
「どうしてもだ!」
「ほう……?給料を弾むと言ってもか?」
「ああ!どうせ極道染みたヤバい仕事だろうしな?」
「仕方ない……お前達!この若造を連れて行け!?」
すると、爺の隣からは黒づくめの大柄な男達がどっと現れてデカイ手を俺に伸ばしてくる。
「ケッ!そういう事かよ?」
俺は笑ってこの喧嘩を受けることとなった。どうせ強制的だと言う事はわかっていた。
「オラァ!」
一人目の男の顔面に、勢い付けた飛び蹴りをかまして一人は倒れる。さて、次はどいつだ?
「このガキィ!」
二人目が俺の背後から襲いかかるが。俺は背後から掴みかかる両腕を中腰になって交わし、振り向いて二人目の鳩尾をぶん殴る。
「ぐぁ……!」
鳩尾を抱えて倒れる二人目を目に、老人はさらにほくそ笑んだ。
「すばらしい……まさに「ゲッター」のパイロットに恥じぬ男だ」
「げ、ゲタ?」
「ゲッターだ!?」
聞き間違えたのか?俺は首をかしげると、爺はムキになってもう一度叫ぶ。
「ケッ!どうでもいいけどよ?俺をどうするつもりだ?」
「貴様にはゲッターのパイロットになってもらう」
「ケタだかゲタだかしらねぇがよう……」
「ちがう!ゲッターだぁ!?」
「!?」
そのとき、爺は不意をついて俺の肩に吹き矢を飛ばした。子供だましか?
「何だ?これは……まぁいい」
俺はそう言うと爺へ拳を向けた。
「のこるはテメェだけだな?爺さんよ」
「フン!青二才が……キサマはわしには勝てぬわ」
「んだとぉ!?」
俺は刹那、爺との間合いに入って奴の顔面をぶん殴ろうとしたが、
「……!?」
突然、俺の体中が痺れだして体が重くなる……
ついに耐えられなくなった俺は、爺を殴る直前に倒れてしまった。
「ふぅ……間一髪じゃったわい?像をも一瞬で麻痺させるこの痺薬を、ここまで耐え抜くとは?」
「博士……ご無事ですか?」
武によって横たわっていた男が腹部を抱えながら立ち上がる。
「問題ない……さて、お前達!早速この若造を運び出せ?」
「う…あぁ……」
俺は意識が遠のくまで呻きを続けていた……

「……?」
次に目覚めると、俺は一面真っ白な部屋に閉じ込められていた。ここはどこだ?
「ここは……」
目の前にある扉を開けようにも外からロックされているため開かず、俺は渾身の一撃で扉を蹴り破って室外へ飛び出した。長い通路を伝って俺は感を頼りに出口を探し回る。
「くそ!まるで迷路じゃねぇか!?」
俺は、迷宮並みの広くて長通路に苦戦し、息を切らして壁にもたれた。
「何処へ行きゃいいんだ……?」
いくら通路を進んでも中々外には出られない。息を整えながらふたたびこの果のないような通路を探索しだそうとした。
『今の道をまっすぐ進め』
「!?」
すると、俺は頭の中から何者かの声が響いて来た。当然俺以外誰もいない。
「誰だ!?」
『誰でもいい!俺の言うとおりに進め!!』
「ったく……次から次へ頭が痛いぜ!」
こうなればどうにでもなれってんだ!俺はその声の言うとおりに通路を突き進む事になる。
『そこを右だ!』
『次の角を左へ……ちがう!そこは右だ!?』
『そうだ……そのまま真直ぐ行け?』
口うるさい案内だが、俺はようやく出口へと辿りつけた……のだが、
「な、なんじゃこりゃ!?」
よく見ると、そこはただっ広くて薄暗いドッグであり、目の前には巨大な人型の上半身がつるされていた。
「こ、これは……?」
突如、天井からのライトが光り出し、つるされた上半身へ照らしだした。
その姿は、頭部の横には鋭い二本の角が生えた、紅い鬼……?
「どうやってここまで来たかは知らんが……よく来た!」
「その声は……!?」
上の高台から爺の声が聞こえて俺は振り返る。そこには仁王立ちするあのクソ爺が!
「テメェ!何の理由で俺を連れて来た!?」
「何度も言うよう、お前さんにはゲッターのパイロットを担当してもらう」
「げ、ゲッダン……?」
「ちがう!!ゲッター!?」
「よくわからねぇが、アイツを動かせってんだろ?」
俺は親指を後ろの上半身だけになった巨人へ刺す。
「けど、あのザマじゃあ動かせぇんじゃねぇの?」
「その他のパーツは整備中じゃ……三機の戦闘機によって分子変形合体を行うゲッターロボは、本来選ばれたパイロット三名がそろっていなくては真の力を発揮する事が出来ない。あいにくにもこの研究所にいるパイロットはお前だけじゃ!」
「俺が乗り込む前提で説明してんじゃねぇよ!」
「どうする?YESか!NOか!」
「唐突に問うな!俺は、行き成りこんな世界に迷い込んじまって頭の整理がまだついてねぇんだ!」
そうだ、いきなりこんなマンガのような世界に飛ばされちまってまだ混乱中だ。
「そんなことは知っておる!お前さんは、ゲッター線によってこの世界へ召喚されたのだ!!」
「!?」
俺は目を丸くして爺の説明を聞く。
「いや……正確に言うならば、社とかいう国連の小娘がお前の召喚に携わっている」
社?何だ……どこかで聞いたような?
「社……」
そのとき、突如ドッグ内に警報が走った。
『BETAの降下ユニットが研究場へ向かって落下しています!』
「エイリアン共め!狙いはゲッター線か?奴らがどうあがこうとも、ゲッター線はお前達の天敵じゃ!物にはできぬ……」
すると、爺はブツブツ呟くと、俺を見下ろしてこう叫ぶ。
「聞け!白銀武?お前さんはこれからゲッター1に乗ってここに振ってくる奴らの降下ユニットを破壊しろ!?」
「何だと!?」
「奴らにゲッターは阻止できぬが、わしらの身が危うい。ここでゲッター線を扱える人材を失うわけにはいかん!武、お前さんはすぐさまあの上半身のゲッター1へ搭乗しろ!?」
「ま、待てよ!手足もない状態のゲッターに乗れってのか!?」
「発射口を開いて撃ち上げてやる!お前はただのっていればいい!!」
「は、はぁ!?」
俺はなにやら強引にゲッター1の赤い懐のコックピットに閉じ込められてしまった。抵抗はしたものの、背後から変なヘルメットを被せられると、抵抗する力が途絶えてしまい、俺は言われるままにコックピットの座席に座らされているのだ。
コックピットは自動的に起動し、俺の周辺は全面がモニターとして映し出された。これなら、自分で振り向きさえすれば左右を視野で確認する事が出来る。
「では……撃ち上げるぞ?」
爺は俺をゲッターに収納したのを確認して、片手を上げる。
「ま、待てよ!?俺はこんなモン乗った事……」
「なら後で乗り方を十分に教え込んでやるわい!!」
そういうと、爺は上げていた片手をおろした。それを合図に、ゲッター1の上半身が展開された天井を発射口から飛び出し、上空へと飛びだって行った。
「ぐ、ぐうぅ……!?」
凄まじいGが俺の体にかかってくるが、妙に苦しさを感じないし俺は落ち着いていられた。爺が言っていたように、俺がゲッター線というのに選ばれたことで生じる事なのだろうか?
(武!聞こえるか!?)
コックピットから爺の声が聞こえた。
「じ、爺か!?」
(よく聞けぃ!今から一分後にゲッターは大気圏を越えてBETAの降下ユニットと接触する。奴らの宇宙船をゲッター1でぶっ千切るんじゃ!!)
「あ、あれか……!?」
モニターの映像に映し出されたのはゲッターのサイズを上回る巨大な落下物である。直径は東京タワーよりも遥かにデカイ。
「あ、あんなのとどうやって!?」
普通考えたらそうだろう。しかし爺は、
(体当たりしかない!右手の操縦桿を前回まで前に倒せ!バーニアで機動力が上がり、それと同時にゲッター線を濃く放出する)
「無茶言うな!あんなのに体当たりしたってダメージ与えるどころかこっちがやられるだろ!?」
(ゴチャゴチャ言わず言うとおりにしろ!!度の道、お前に選択権はないのだ!!)
「くっそ……なんて強引な爺だ!」
こうなったらやるしかない!俺は右手の操縦桿をグッと前に押し倒した。すると、機内に激しい揺れが起こり、ゲッターがグングンとスピードを上げて降下ユニットへ突っ込んで行く。だが、それと同時にゲッターが緑色に光り出した。
「こ、これは……?」
(これこそゲッターロボを動かす動力源の源、ゲッター線!!)
「ゲッター線……」
よくわからないが、これなら行ける!大きさなんざ関係ねぇ!俺の体からみるみる力が湧きあがってきている!!
「いっけえぇ!!」
ゲッター線に包まれたゲッター1は降ユニットの先端に接触、そして……ユニットを貫通した!
ズボッと、突き抜けたゲッター1の上半身は力を失い、そのまま地球の重力にひかれて落下していく。そして、降下ユニットはゲッター線を纏ったゲッターに貫通された事によってドロドロに溶解していき、そして大気圏で燃え尽きたのだった。
その後、ゲッター1の上半身は研究場からのコントロールによって近くの湖へと不時着して俺は救出された。
宇宙服も纏わず、長ランの身の人間がゲッターの凄まじいGに耐えられるとは、ゲッター線に選ばれたと言う事を確信するよりほかなかった。
「どうじゃ?ゲッターに搭乗した気分は」
暴徒の中で俺は爺にそう問われると、少し間を開けて俺は答える。
「……今は何とも言えねぇが、アイツは俺を選んだっていうのか?」
俺は逆に尋ねた。
「無論、あそこまでやれるとなるとお前さんは既にゲッターに選ばれたパイロットの一人だ。しかし、ゲッターの真の力を発揮するにはお前一人ではまだ不十分なのじゃ。あと二人!二人こそ揃えば、ゲッターは完全な力を発揮して地球を、いや!全宇宙を奴らの脅威から救えるじゃろう?」
「オーバーな……」
「それと武よ?お主は、この世界へ招かれた来訪者である」
「それがどうしたよ?」
「世界観は異なるが、そこに住む人間達は大抵お前の居た世界の人間と同一人物に当たる。勿論、この世界に住む白銀武だって存在する」
「え?」
これはまた、俺には理解しにくい話を持って来やがった……
「つまり、お前さんの世界に居る人間と同じ人物がこの並行世界にも性別や地位も異なるが存在しているということじゃ?」
「ええっと……じゃあこの世界にも俺みたいな人間がいるってことか?」
「お前みたいなではなく、お前さん本人じゃよ?この世界に住むもう一人のお前自身じゃ」
「よくわからねぇが……この世界にも別の俺が居るってことか?」
「一つの世界で同じ人物が二人も居たらややこしくなり、連合の連中に嗅ぎまわされる恐れもある。よって、お前は今から名前を改めろ?」
「名前を変えるのか?」
「そうじゃ、よい名が浮かばぬのならわしが名付けてやってもよいぞ?」
「いいや、俺で決めるから口出すな」
俺は腕組みしながらいい名前を考え出す。ネーミングセンスは良くないが、それなりに大した名前を口に唱えた。
「白銀武だから……白銀……シロガネ……クロガネ?黒銀(くろがね)紅牙(こうが)……黒銀(くろがね)紅牙(こうが)
こうして、俺はこの世界で名乗る新た名前「黒銀(くろがね)紅牙(こうが)」を手にして、未だ把握しきれていないこの並行世界での壮絶な日々を生き抜くこととなる……


 
 

 
後書き
次回予告

現れたのはゲッターに選ばれし二人目の戦士。しかし彼はこの世界を拒み、帝都城への襲撃を行う。そして、そこで彼は出会った・・・・・・
次回、「疾風が来る」
 
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