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ロックマンX~朱の戦士~

作者:setuna
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第七十三話 Recycle Center

 
前書き
復活したゼロ。
ゼロは女神に促され、ルナの拠点に向かう。 

 
ゼロは女神に言われた通り、北へ突き進む。
しばらくするとそれなりの規模の施設があった。
扉の前に立つとルナが現れ、息を荒くしてゼロを見上げた。
どうやら作業中にも関わらず、急いで出て来たようだ。

ルナ「ゼロ…お前…じいさんから連絡があって…生きてたんだな…?」

ゼロ「心配かけたな…」

ルナ「もういいよ。生きていてさえくれればさ。じいさんからある程度のことは聞いてると思うけど、今世界中でナイトメア現象が起きてるんだ」

ゼロ「知っている。俺に似たナイトメアもいるということもな」

ルナ「なら話は早いな。ここから東にあるリサイクル研究所があるんだ。あそこでナイトメア現象が多発してる。」

ルナ曰くリサイクル研究所はかなり昔に廃棄され、ゴロツキのレプリロイドが住み着いていたらしいが、現在ではナイトメア現象が多発する危険地域と化している。

ゼロ「…調べてみる価値はありそうだな。危険な分、得る物は大きそうだしな」

ルナ「だな。けど気をつけろよ。ナイトメアはかなり厄介だ」

寄生を得意とするナイトメア相手に迂闊な接近は自殺行為だ。
遠距離の攻撃手段に乏しく、必然的にセイバーを用いた近距離戦が主体となるゼロにとって、ナイトメアはまさに天敵と呼べる存在だ。

ルナ「そうそう、こいつを渡すの忘れてた」

ルナは近くの棚からビームサーベルの柄を取り出した。
ゼロのZセイバーと同タイプのビームサーベル。

ゼロ「これはZセイバーか?」

やや出力が足りないが…。
それをルナには言わない。
恐らく殆ど丸腰の自分のために急いで造ったのだろう。
自分の記憶にあるセイバーより少し不格好だった。

ルナ「コピーだけどな。出力を上げるのかなり大変だったんだぜ。後はこいつらだな」

手渡すのは、チップと腕輪のような物とバスターショット、トンファーのような武器である。

ゼロ「これは…」

ルナ「えっとな、トリプルロッドとチェーンロッドを造ろうにも時間が足りなくてな。まずこのトンファー型の武器がリコイルロッド。チャージすることでトリプルロッド同様に敵を吹き飛ばせる。この腕輪はシールドブーメラン。見ての通り、腕に装着するタイプ。回転させるとビーム刃が真ん中の円盤状から出てチャージして勢いよく振ると、ブーメランのように飛んでく。盾としても使えるぜ。あのアルマージの装甲にも用いられていた合金が使われてるんだ。で、最後のがあんたの拳のエネルギー収束率と腕力アップのチップ、ゼロナックルだ!!チップを掌に組み込んで…」

工具を取り出し、ゼロの掌にチップを組み込んだ。
ゼロはシールドブーメランを腕に嵌め込む。
シールドブーメランの円盤部分はゼロの腕より少し大きい位だ。
リコイルロッドを少し振るってみる。
思っていたよりも扱いやすい。
ゼロナックルは丸腰になった時の保険と言ったところか。

ゼロ「ルナ、少し頼みがあるんだが」

ルナ「ん?」

ゼロ「俺のバスター何だが、性能が低下していく一方でな。外してくれ」

ルナ「え?いいのか?」

ゼロ「構わん。バスターショットがある以上、これは邪魔にしかならん」

ルナ「分かった。じゃあ少し待ってな」

再び工具を取り出し、ゼロの腕からZバスターのICチップを取り出した。

ルナ「んじゃあ、このチップは破棄しとくからな」

ゼロ「すまん。では行くぞ」

ルナ「了解」

ルナに道案内を頼み、リサイクル研究所に向かう。




































リサイクル研究所はレプリロイドを処分して、また新たなレプリロイドを生み出す場所。
しかし廃棄された後は廃墟特有の不気味な雰囲気を醸していた。
自分達レプリロイドの墓場だなとゼロは自嘲した。

ゼロ「それでは行くぞ」

ルナ「はいはい」

ゼロとルナは一気に施設内部に突入した。





































リサイクル研究所はレプリロイド達の墓場であり、彼らのDNAデータを保管する役割も果たしていた。
かねてからデータをつけ狙う輩は後を絶たなかったが、ナイトメアに占領された今、研究所は鉄壁の布陣を敷いていた。
ゼロが初めて見たナイトメアウィルスへの感想は気色悪いの一言に尽きた。
蛸のようなメカニロイドの姿をしたウィルスはゼロとルナに寄生しようとするが、ゼロもルナも一流の戦士。
ルナがバレットのチャージレーザーでナイトメアウィルスを撃ち抜き、怯んだ隙にゼロがZセイバーの斬撃を見舞う。

ゼロ「おい、ここは廃棄されたんじゃないのか?」

ルナ「そのはずなんだよなあ、多分ナイトメアウィルスの影響で稼動してるんだと思うぜ」

「そこにいるのは誰!?」

ルナ「うお!?」

女性の鋭い声がかかった。
紫色の長髪。
手にはレイピア型のビームサーベルを持っていた。

「あなたがあのゼロ先輩の亡霊…?まさか本当に会えるなんて……」

ルナ「おいゼロ。亡霊扱いだぜ?」

ゼロ「俺は亡霊なんかじゃない。あんたこそ誰だ?こんな所で何をしている?」

亡霊呼ばわりに怒りを覚えたゼロは訂正すると女性は警戒をしながらレイピアを下ろした。

「私はレイヤー…イレギュラーハンター養成学校のオペレーター志望の者です」

ルナ「え?じゃああんた戦闘型レプリロイドじゃねえの?」

ゼロ「その前に訓練生が何故こんな所にいる?」

今のイレギュラーハンターは訓練生の力も借りなければならない程弱体化しているのか?

レイヤー「あなたの亡霊…それからレプリロイドに起こった異変を調べるためです。今ではイレギュラーハンターも激減しており、私のような非戦闘員も出撃します」

彼女の話によれば、最近レプリロイドが狂い出す現象がここらで頻発しているらしい。
突然混乱したり、酷い時には暴走を始めたり、自らをデリートしてしまうこともある。

ルナ「どうやらビンゴだったようだな」

ゼロ「そのようだ。とにかくここは危険だ。プレスマシンが稼動しているしな。死なないうちにとっとと帰った方がいい」

レイヤー「私なら大丈夫です。訓練生ですがオペレーターとして施設の内部は把握済みですし、このレイピアで戦うことも出来る」

ゼロ「そういう考えが死を招く。俺は自分の力を過信して死んでいったハンターを山ほど見てきた。」

ゼロは先輩としてハンターとして鋭い調子で言った。

レイヤー「ではあなたは帰らないのですか?」

ゼロ「俺は…そんな死線を潜り抜けてきたハンターだ」

ルナ「それこそ過信じゃね?…痛え!?」

ツッコミを入れたためにゼロから頭に拳骨を喰らい、しゃがみ込む。

レイヤー「だ、大丈夫ですか…?」

ルナ「おう…」

レイヤー「とにかく私も参ります。危険だと判断したらすぐに帰りますから」

ゼロ「…仕方ないな」



































事実、レイヤーはよくやった。
施設の奥。
プレスマシンとベルトコンベアが本格的に稼動していなかったせいもあるだろうが、彼女はゼロとルナに遅れることなくついて来ている。
息も荒く苦しそうではあるが、本来ならレイヤーは非武装タイプのレプリロイドであることを考えれば戦闘型レプリロイドの中でもトップクラスであるゼロとルナについて来れるのは大したものだ。

ルナ「ゼロ、結構やるな彼女」

ゼロ「ああ、大したものだ」

ルナもゼロもレイヤーの実力を高く評価する。

ゼロ「それにしてもここの管轄はどこの穀潰しだ。スクラップの処理を怠りやがって……」

周りに散乱しているスクラップの山を見遣りながら吐き捨てるゼロ。
そこには金銀財宝など見当たらず、一面にガラクタの敷き詰められた空間が広がっていた。
そのガラクタこそ盗人が求める金銀財宝の正体なのだが、ジャンク屋でもないし研究者でもないゼロは何ら価値を見いだせなかった。

ルナ「いや、このスクラップこそが宝の山なんだよ。スクラップから取れるパーツの中には滅多に手に入らない高級なパーツが紛れてることもある。例えばこの装甲の破片とかな」

ルナが取り出したのはオリハルコンの次に硬いと言われているセラミカルチタン合金の装甲の破片である。

レイヤー「…それにこれは寒冷地仕様の大型メカニロイドに使われるパーツです。確かにジャンク屋の方達や金儲けを企む盗人達にはこのリサイクル研究所は宝の宝物庫でしょう」

パーツを手に取りながらレイヤーも肯定する。

ゼロ「そうか…とにかく急ぐぞ。最深部はすぐそこだ。油断するな、何が待っているか分からん」

扉の向こう。
部屋には先客がいた。
紫の金属で造られ、鋭い目をした鮫型レプリロイド。
蛇のような鋭く、狡猾な瞳でゼロ、ルナ、レイヤーを迎え入れた。

ゼロ「戦闘型レプリロイド…強敵だな。ルナ、レイヤーを頼んだぞ」

ルナ「了解。久しぶりにうんと暴れてきな」

レイヤー「先輩…お気をつけて」

ゼロは謎のレプリロイドと対峙するとリコイルロッドを構える。

「ひっひっひ、死に損ないが何の用だ?」

ゼロ「ここに現れるという俺の亡霊とやらを調べに来た。お前こそ何をしている?」

レプリロイドは嫌らしい笑い声を立てて答える。

「DNAデータが欲しいんだよ!!素晴らしいDNAが!!でもよ、あんたのDNAデータはもう要らねえんだよ」

ゼロ「(もう要らない…?以前は必要だったということか…?何のために?それに“もう必要ない”とは…?)」

疑問に思う。
同時に腹ただしい気持ちになった。
勝手にデータを盗まれることに関して苛立ちを感じていた。

ゼロ「お前に渡すデータなど1ビットもない」

「じゃあ、丸ごと潰すしかねえか?」

笑みを零してレプリロイドは突っ込んで来た。

「死ねやあああああ!!」

錨の先端がゼロに迫る。

レイヤー「危ない!!」

ルナ「大丈夫、ゼロを信じな」

ゼロは寸前でかわし、レプリロイドの鳩尾にチャージしたリコイルロッドの一撃を喰らわせる。

「ぐあっ!?」

ゼロ「この程度か?」

ゼロには余裕があった。
武器を振る姿も美しく、舞っているかのよう。
部屋の隅で見つめるレイヤーにはそう見えた。
彼女が見惚れている間にゼロはリコイルロッドを主軸とした戦いで相手の体力を容赦なく奪う。

「ぐっ…この程度で済むわけねえだろ!?」

レプリロイドは気勢のいい声を発し、謎のレプリロイドを呼び寄せた。
カメレオンの姿をした青白いレプリロイド。
ゼロは以前見たことがある。

ゼロ「カメリーオか…亡霊を呼び出したか…」

それはシグマが初めて反乱を起こした時、シグマに従ったレプリロイドだ。
レンジャー部隊に属し、トリッキーな攻撃を仕掛ける強敵である。
カメリーオは長い舌を伸ばしてゼロを縛り付けようとする。

ゼロ「だが所詮はコピーだ。大した敵じゃないな!!」

シールドブーメランを投擲し、カメリーオを両断する。
そしてリコイルロッドによる連撃を浴びせる。
リコイルロッドで攻撃するうちにレプリロイドはボロボロになり、身体から火花を上げ始めた。

ルナ「流石だなゼロ。リコイルロッドもシールドブーメランも難無く使いこなしやがった」

ゼロ「そういえば名前を聞いていなかったな」

「へっへ…教えてやるよ。メタルシャーク・プレイヤー様だ…。へっ…」

メタルシャーク・プレイヤーと名乗ったレプリロイドは薄ら笑って大破した。
爆風がゼロの金髪を靡かせ、止んで辺りは静寂となった。

ルナ「お疲れさん」

ゼロ「ああ、結局俺の亡霊とやらは現れなかったな…」

ゼロは微かに落胆した。
何のためにここに来たのか…。
溜め息混じりにセイバーを納めた時であった。

レイヤー「皆さん、あれを!!」

レイヤーが叫んだのは。



































~あの花の名前~

時間軸はX7後。

ルナとアクセルは買い物帰りに街を歩いていた。

ルナ「悪いなアクセル、荷物持ちさせちまって。今度何か埋め合わせに何かやるよ」

アクセル「全然!!新しい武器なら火力の高い奴がいいな。バズーカでもいいけど」

歳が近いために仲がいい2人は並びながら歩く。

アイリス「あら、アクセル君にルナ。買い物?」

ルナ「ああ、新しい武器を造るからな。部品が足りないから買い足しに行ったんだ。」

アイリス「じゃあ一緒に帰らない?」

アクセル「勿論!!」

3人はハンターベースに向かって足を進めるが、途中でアイリスは自身の名と同じ花を見つめた。

アイリス「(あの花は…)ねえ、2人共、あの花の名前は知ってる?」

アクセル「へ?」

ルナ「花?」

アイリス「ほら」

アイリスが指差した方向を見遣ると紫色の花が咲いていた。

ルナ「えっと…俺は機械や戦闘関係以外には疎くて…」

アクセル「チューリップやタンポポじゃないのは確かだね…」

疑問符を浮かべるルナとアクセルにアイリスは苦笑するとルインを見つける。

アイリス「ルイン、ルインはあの花の名前分かるわよね」

ルイン「あの花?ああ、勿論!!」

アイリス「本当!?」

ルイン「菖蒲(あやめ)だよね」

アイリス「っ……!!」




































ハンターベースのアイリスの部屋の前でルインが扉を叩いていた。

ルイン「アイリスーッ!!どうしたのー!!?間違えちゃった!?私間違えちゃったの!?アイリス!!アイリスーッ!!!!」 
 

 
後書き
メタルシャーク・プレイヤー撃破。 
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