雲は遠くて
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31章 美女 と 野獣 (2)
31章 美女 と 野獣 (2)
「竜太郎さん、幸平さん、わたし、ステーキのお皿が、
こんなに、いつまでも、ぐつぐつ、沸騰しているのって、
初めて見みるわ。
さすが、アメリカの本格的なステーキですよね!」
そんな真央の言葉に、幸平は、物思いから、我に返る。
「ははは。真央ちゃん。この、ぐつぐつは、お皿が
高温だから、脂が、沸騰してるんだけどね。
このお店を アメリカで始めた オーナ (経営者)は、
ステーキ店に40年勤務していた人で、お肉を
おいしく食べる方法を、知り尽くした人なんですよ。
それで、お店をオープンさせると、
瞬く間に、大人気の超有名店になったんです」
幸平は、笑顔で、真央と蒼希(あおき) に、そういった。
「このピーターパン・ステーキハウスを、今回、買収できたことは、
ぼくも、正直なところ、非常に うれしいんです。
幸平も、この件では、ほんと、がんばってくれました。
エタナールも、幸平には、高い評価をしています。
この前のモリカワの買収の不成立もあったりしたけどね。
今回の成功で、逆転のサヨナラ、ホームランかな。
いつも、通算で、高打率をキープしている、イチローのような、
最優秀選手ってところだよな、幸平は。 あっはっは。
ほんとうに、ご苦労さまでした」
そういうと、竜太郎は、幸平を見て、
優しい 眼差しで、わらう。
幸平は、1991年3月16日生まれ、
22歳。身長、176センチ。
エターナルの M&A事業部で、企業の合併や買収 を
おもな仕事としている。
わらったりと、ゆったりとした気分で、4人が ランチを楽しむ、
そのダイニングルームには、4人がけの四角いテーブルが
35卓もあり、その140席は、すべて 満席で、
客たちの活気にあふれている。
店内は、18席のバー・カウンターや、10名収容の2つの個室、
総数178席・総面積約194坪と、広々として、
格調の高い、華やかさと落ち着きのある空間だ。
案内係の女性スタッフは、好感のもてる フォーマルな服装で
丁寧な接客をしている。
ウェイターや ウェイトレスも、いつも笑顔で、
暖かな 堅苦しくない
雰囲気で、客をもてなしている。
まだ 31歳の青年の竜太郎が、この店を経営する、
株式会社 エタナールの 副社長であることを、
店員たちも 知っている。
店長たちは、礼儀に 外れることのないように、
竜太郎たちに 挨拶をしている。
エタナールの、53歳の社長、新井 俊平の、
長男の竜太郎は、1982年11月5日生まれ、身長、178センチ。
31歳の独身で、優れた頭脳と スキル(技能)で、
エタナールの 副社長の地位に 上り詰めている。
「蒼希(あおき)さんと、幸平さんと、同じ歳とはね。
これも何かの縁かもしれないですね。あっはは。
蒼希(あおき) さんが、エアナールに来てくれるのなら、
ぼくらも大歓迎ですよ。待遇もご満足いただけるようにします。
ぼくは、いちおう、エタナールの最高情報責任者(CIO)
なんですけど、蒼希(あおき) さんのような、モバイル・テクノロジーに
精通した 優秀な方は、人材の不足なんです。
会社の経営戦略や成長においも、モバイルの分野は、
今後、もっとも、重要なポイント なんです。
ぜひ、よろしく お願いします」
「こちらこそ、よろしく お願いします」
「蒼(あお)くん、すてきなで、お話で良かったわね。
就職状況も、まだまだ、きびしいんだから。
わたしなんか、一応、教員、目指しているんだけど、
ちょっと無理かなって思っているから、
それで、モリカワ・ミュージックで、タレント活動を
始めたんだもの」
≪つづく≫
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