雲は遠くて
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21章 G ‐ ガールズ の レコーディング (4)
21章 G ‐ ガールズ の レコーディング (4)
「悠太さんのスタジオのレコーディングは、
悠太さんのプロデュースは、もう抜群で、
才能やセンスは、最高なんだけど、
スタッフの、綾香さんや
裕也さんの お仕事も、
熟練というか、
正確で、的確なんですよね」
森川良がそういった。
森川良は、モリカワ・ミュージックの課長で、
このアルバム制作の総指揮を担当している。
「ありがとうございます」と、
スタジオ・エンジニアの山口裕也と、
スタジオ・マネージャーの沢木綾香は、
軽く、頭を下げて礼をする。
「悠太さんや、裕也さん、綾香さんたちのおかげで、
わたしのデビュー・アルバムも、質の高い作品になったのよね。
カバー曲ばかりのアルバムで、評判になるなんて
期待してなかったんですもの。ほんとうにありがとうございます」
そういって、微笑むのは、森川良と交際している
ポップス・シンガーの白石愛美である。
すべて、マライア・キャリーの、歌のカヴァー(cover)という、
デビュー・アルバムが、世間でも、人気となる。
愛美のかわいらしい容姿も、注目される要因であった。
「さあ、気合を入れて、Runaway girl (逃亡する少女)を、
仕上げましょうか!」
島津悠太が、そういうと、
「はーい!」と、G ‐ ガールズのメンバーと、
パーカッションの岡昇はいう。
「岡ちゃん、作品の出来は、
岡ちゃんのパーカッションにかかっているからね!」
そんなこと、岡昇に、森川良がいう。
「えええー!、おれ、責任感じちゃいますよ!
でも、期待に応えられるように、がんばります!」
岡は、ちょっと、緊張して、
素直な少年のようにわらった。
そして、コントロール・ルームを出て、
ロビー(lobby)から、メイン・スタジオへ入った。
コントロール・ルームから、ガラス越しに見える、
50帖の広さのメイン・スタジオに入ると、
さっそく、清原美樹たちは、演奏の準備を始める。
このスタジオの設計・施工は、イギリスの、
ビートルズで有名な、アビーロード・スタジオの
設計者に依頼したものであった。
長時間、スタジオで、仕事をしてもリラックスできる
空間のデザインになっている。
Runaway girl (逃亡する少女)は、16ビートの
アップ・テンポ(up tempo)なバラードである。
イントロ(序奏)は、水島麻衣の
リード・ギターと、大沢詩織の
サイド・ギターで始まる。
水島麻衣の、甘い音色の
ギターが鳴った。
Runaway girl (逃亡する少女) 作詞 大沢詩織(おおさわしおり )
作曲 清原美樹
夜明け前 誰かに 追いかけられている 夢を見たの
つかまったりはしないけどね パジャマで 寝ていても
逃げるのは クラス・メイトと 一緒だから だいじょうぶ
でも 追いかけられるのは こわいから 目がさめる
夢って 現実の 反映しているのかしら?
だって 現実の世界は こわいことや リスクも いっぱい!
こんな朝は ペットと お散歩すれば 気分も爽快
雲は白くて 空も 青く 晴れわたり 風も やさしいわ
うつくしい自然の中 鳥たちは 群れをつくって 飛んでゆく
うつくしい自然には いつも 危険も いっぱい あるけれど
鳥とか 獣のように 花や 樹のように
無垢な 心で 強く 生きてゆければ いいよね!
いつも 無垢なものたちと 生きたいよね?
いつも わたしは 逃亡する少女 かもしれないけれど
Would you like to live with pure things always?
(いつも 無垢なものたちと 生きたいよね?)
However I might be a runaway girl always.
(いつも わたしは 逃亡する少女 かもしれないけれど)
≪つづく≫ ーーー 21章 おわり ーーー
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