遊戯王GX 〜プロデュエリストの歩き方〜
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エピソード2 〜プロ認定〜
デュエルが終わり、さっさと控え室に戻ろうとすると待ち伏せしていた記者にインタビューされていた。
ー勝利おめでとうございます。
「ありがとうございます。」
ー今回のデュエルはどうでしたか?
「初ターン目にサイバー・ツイン・ドラゴンが出てきた時は焦りましたね。
やはり、サイバー流は強いですね、」
ーその割には余裕の勝利に思えたのですが?
「結果的にそうなっただけです。今回は用意してきたデッキがよく回ってくれたのでよかったですが、一歩間違えば、負けていましたよ。」
ー今回はナチュルというカードを使っていましたね。具体的には、どういったカードなんですか?
「ナチュルは相手の行動をトリガーに効果が発動するのが多いですね。
主にパーミッションやロックのデッキが多いですが、今回はモスキートを軸に置いたカウンターデッキを組んできました。」
ー今後については?
「うまくプロになれたら、幾つかリーグに参加したいですね。」
ーどのリーグに参加する予定ですか?
「まぁ、それはプロになってから考えよう思っています。」
ーそうですか。ありがとうございました。
「ありがとうございました。」
◆
「はぁ、疲れた……しつこいぞ、あいつら。」
やっとのことで控え室に戻ってこれた紫苑は疲れ果てた様子で座る。
黒髪のカツラとカラコンを取り変装を解くと、備え付けの鏡台を覗きこむ。そこには、銀髪を肩甲骨まで垂らしたスミレ色の目をした人がいた。
どっからどー見ても女性の顔立ち。
「はぁ、やだなぁ、髪の毛染めようかな…」
はぁと盛大にため息をつく。
鏡に映っていたのは、紫苑だった。
「あぁ、けど染めたら染めたで姉ちゃんがうるさいしな〜〜…」
とほほと項垂れる。
そんな事をしていると…
「入るぞ」
「え、ちょ…まっ…」
問答無用で海馬社長が入って来て、
「フフ、どう見ても男とバレないだろその見た目は。いっそのこと女として、デビューしたらどうだ。」
「嫌だよ!?俺は男だから!!」
開口一番これである。
「ほう、これはまたデュエルの時とはすごい豹変ぷりですね。
やはり、年相応のしょうじ…少年だということですか。」
「鮫島さん!?てか、今少女とか言いかけたでしょ!」
もうヤダと突っ伏す紫苑
「で、何の用で来たんです?試験の結果発表ですか?」
そうだと頷きが、
「俺がおまえのスポンサーになる条件として、この試験の他にもう一つあると言っていたのを覚えたいるか。その件だが、デュエルマシーンとデュエルをして、500連勝してもらう。」
プロデュエリストとなるには、プロデュエリスト認定試験とあと、サポートをしてくれるスポンサーが無ければなることはできない。そして、海馬瀬戸が紫苑のスポンサー企業となるかどうかを決めるために提示した条件が、デュエルマシーン相手に500連勝。
「500ですか……」
うーんと少し考え込むと顏をあげる
「こっちからもそのデュエルに条件を付けてもらっていいですか?」
「いいだろう、言ってみろ。」
ニヤリと不適な笑みを浮かべると驚きの提案を出す。それは海馬、鮫島両者を驚かせることになった。
「フフフ、いいだろう。やれるものならやってみろ。」
そう言うとその場を後にした社長。
「いいんですか?あんな条件でデュエルして…」
おずおずと訪ねてくる鮫島
「えぇ、策があるからこそ提案したんですよ。まともに500戦もデュエルしたらどれだけ時間がかかることか。」
「そ、そうなんですか。」
「あ、そうそう。鮫島校長、プロになったらそちらのアカデミアの高等部に入学する予定なのでその時はよろしくお願いしますね。」
にこりと笑う紫苑。
「そうですか、あなたのような強いデュエリストが入ってくれれば、生徒たちにいい刺激になりますよ。むしろ、こちらからお願いしたかったくらいですよ。」
「じゃあ、僕はもういきますので。今日はありがとうございました。お疲れ様。」
ぺこりと一礼して、控え室を出て行く紫苑を見送るとはぁとため息をつく鮫島
「あの子ならホントにやってしまいそうですね。しかし、普通あんな条件で勝てるのでしょうか?」
◆
時は移って、海馬コーポレーションの地下にあるデュエル場に備え付けられているデュエルマシーンと対峙していた。
「では、叢雲紫苑改めて、望月シオンの契約試験を開始する。
と、始める前にルールを確認しておきます。」
KC社の社員であろう黒服の人物がルールを読み上げる。
要約すると…
・デュエルマシーンに対し、100連勝する。
・デュエルは一体一。
・先攻は望月シオンからとなる。
・マシーン側が負けた場合は次のデッキで手札五枚の状態で再スタートする。
・望月シオン側が勝ってもLP、手札は変化しない。
・マシーンのデッキが変わる場合でもシオン側はデッキを変更しない。
・マシーン側が負け、デュエルが再スタートされる場合でも互いの場、墓地は引き継がれる。
正直、この条件ではデッキ切れで負けることが確定している。それを克服したとしても我が社のデュエルマシーンはプロデュエリストにも匹敵するから紫苑でもそう簡単には勝つことができなくなる。
(さぁ、どうやってこの条件で勝つと言うのだ…見せてもらおうじゃないか。)
「では、始めます。」
「「デュエル」」
「ドロー。魔法カード【成金ゴブリン】二枚を発動して、二枚ドロー。相手はライフを2000ポイント回復する。ついでに【手札抹殺】を発動。手札を全て捨てて、捨てた枚数分ドロー。僕は五枚ドロー。カードを五枚セットしてターンエンド。」
マシーン1LP:4000→6000
「あの子は相手のライフを回復させて何がしたいのでしょうか?」
ちゃっかり来ていた鮫島が海馬に訪ねる。
「俺にもわからん。だが、あいつにはあいつなりの策があるのだろう。」
「ドロー。速攻魔法【サイクロン】ヲ発動。中央ノカードヲ破壊スル。」
「真ん中のカードは【ゴブリンのやりくり上手】だから、それをチェーン発動。ついでに、もう一枚【ゴブリンのやりくり上手】をチェーン発動。さらに速攻無法【非常食】。やりくり二枚を墓地に送って、ライフを2000ポイント回復。次はやりくりだけど、非常食の効果で二枚、さっきの抹殺で一枚墓地に送られているから合計四枚ドローして、手札をデッキボトムに一枚置く。次もやりくりだから四枚ドローして、一枚デッキボトムに。サイクロンは不発だね。」
合計六枚ドロー
一気に手札アドバンテージが相手と並ぶ。
「ワタシハ手札カラ【ライオウ】ヲ召喚スル。」
「トラップ【奈落の落とし穴】を発動して、ライオウを破壊して、除外する。
「ワタシハカードヲ二枚伏セテターンエンド。」
「じゃあ、永続トラップ【心鎮壷】を発動して、今伏せた二枚のカードを使用不可にする。」
紫苑
LP:6000
手札六枚
魔法・罠:
永続罠【心鎮壷】
場:無し
マシーン1
LP:6000
手札二枚
魔法・罠:伏せ二枚(使用不可)
場:無し
「僕のターンドロー。【黒魔道士クラン】を守備表示で召喚。」
【黒魔道士クラン】☆2 DEF0
ゴスロリ風の黒いドレスを来た幼女が登場する
鮫島が目をキラキラさせて、クランを見ている。ソリッドビジョンであるはずのクランがひいてるように見える。
「おぉ!クランちゃん!……っあ…ゴホン!つ、続けてください…」
マスター鮫島の意外な一面を見てしまったが気にしないことにしよう…
「カードを二枚伏せて、ターンエンドです。」
「ワタシノターンドロー。」
「永続トラップ【宇宙の収縮】発動して、チェーンしてトラップ【おじゃまトリオ】を発動。三体のおじゃまトークンを相手の場に出して、さらに宇宙の収縮の効果で互いに場に出せるカードは5枚までとなる。」
【おじゃまトークン】☆2 DEF1000
「ロック完了。」
うまくいったと笑みを浮かべる。
「・・・・・・・ターンエンド」
シオン
LP6000
手札四枚
魔法・罠
永続罠【心鎮壷】
永続罠【宇宙の収縮】
場
【黒魔道士 クラン】☆2 DEF0
マシーン1
魔法・罠:伏せ二枚(使用不可)
手札3枚
場:
【おじゃまトークン】×3 ☆2 DEF1000
「ロック完了って…どういうことですか、紫苑さん?」
まだ理解できていないようで、鮫島が聞いてくる。
海馬社長は理解しているようだが…
「えーと、説明するのめんどうなんですよね。
まず宇宙の収縮の効果で五枚までしかカードが出せなくなってますよね。
で、生贄にできないトークンが3体と使用不可になってる伏せカードが二枚これで相手は何もできなくなるんです。」
「えぇ、そこはわかります。しかし、魔法カードなどであなたの場のカードを破壊すれば……あぁ、そうか!!」
「ふん、ようやくわかったようだな。魔法カードは発動する時、一時的にでも場に存在することになる。そうなると五枚以内という制約に引っかかってしまう。よって、相手は何もできなくなる。
全くこんなややこしいことをよく考えたものだな。しかも、二ターンでロックを完成させるとは、最年少は伊達ではないか。
だが、幾つか問題があるのではないか?」
「それすらもクリアしてますよ。じゃあ、続行しますよ。ドロー。このスタンバイフェイズ時にクランの効果で相手の場のモンスター一体につき300ポイントのダメージを与える。相手の場には、三体のおじゃまトークンがあるから900ポイントのダメージを与える。」
マシーン1LP:6000→5100
クランが三つの黒い魔弾をドヤ顔で放つ。生贄とかにしたらどんな表情をするんだろ…
「クランを生贄に【マテリアルドラゴン】を召喚。」
目を潤ませてこちらを睨んでくる。
正直、可愛いだけなのだが多少罪悪感がある…
「でもって、永続魔法【黒蛇病】を発動します。このカードは僕のスタンバイフェイズ時に互いに200ポイントのダメージを与えます。その後の僕のスタンバイフェイズ毎に与えるダメージは倍になっていきます。
しかし、僕の場には【マテリアルドラゴン】が存在するので、効果ダメージは回復になります。
あと、カードを一枚伏せてターンエンド。」
「ドロー。・・・・・・・ターンエンド」
シオン
LP6000
手札三枚
魔法・罠:伏せ一枚
永続罠【心鎮壷】
永続罠【宇宙の収縮】
永続魔法【黒蛇病】
場:
【マテリアルドラゴン】
マシーン1
LP5100
手札四枚
魔法・罠:伏せ二枚(使用不可)
場:
【おじゃまトークン】×3
「僕のターン、ドローフェイズ時に通常のドローの代わりに墓地の【マジックブラスト】を手札に加えます。
そして、スタンバイフェイズ時な【黒蛇病】で互いに200ポイントダメージを受けますがマテリアルの効果で回復になりますが、この時に【黒蛇病】にチェーンして、永続罠【シモッチの副作用】を発動します。これで、相手の回復は効果ダメージとなります。よって、僕はライフを200ポイント回復し、相手に200ポイントのダメージを与えます。
ターンエンドです。」
シオンLP:6000→6200
マシーン1LP:5100→4900
「さて、自分からルールを変更したんですが、もうこのデュエル意味ないですよね。だから、終わりでいいですか?
二人目からはもう僕がスタンバイフェイズを迎えれば、即終了。デッキの方も【マジックブラスト】の効果で通常のドローの代わりに手札に加えられるから、手札制限やら、コストやらで墓地に落とし続ければ、デッキ切れの心配もない。それでも続ける必要ってあります?」
正直、成功するかは賭けだったが、中々上手くいったので良かった
「フハハハ、うまくおまえに嵌められたということか。いいだろう契約試験デュエルは合格だ。我々KC社はお前のスポンサー企業として契約してやる。ありがたく思え。
ついでに、このことをペガサスにも伝えておく。恐らくだが、あいつもおまえのスポンサーになってくれるだろう。」
「それはどーも。じゃあ、疲れたので帰りますね。」
そういうとさっさと地下デュエル場を後にする紫苑だった。
◆
その後、約一週間後にI2社とKC社が望月シオンのスポンサーとなりことが発表され、晴れてプロデュエリストとなった紫苑だった。
後書き
今回のデッキは通称【コスモロック】と言われるデッキですね。
嵌ればほぼ確実に抜けられないロックですね。
抜け道としては、【トラップイーター】とか、【オオアリクイクイアリ】とかの魔法・罠をコストに出てくるモンスターなんですがまず入れる人はほぼいない。
あと、手札から直接カウンターしてくる【宣告者】も弱点ですね。
ついでに、今回あんなややこしいルールにしたわけは、一人目からコスモロックを完成させて、『フィールドの状態を引き継ぐ』というルールでコスモロックを維持させていくためです。
ついでに【黒蛇病】の効果で相手に与えるダメージが倍になっていくので、
200 →400 →800 →1600 →3200 →6400……
三、四人目からは紫苑君がターンを迎えた瞬間に終わります。恐ろしや…
カード持ってる人がいたらぜひコスモロック試してみてください。やったら最後、友達に嫌われます(笑)
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