地の果て

レビュー

  •  樹形の如く枝葉を伸ばした、世界の一端。とある世界で、『存在方程式』と呼ばれる概念が発見された。人造の物であるはずの数字を以てして、文字通り存在を描き替える術。人はそれを、『錬金術』と呼んだ。
     その『錬金術』も習得範囲内に収める、日の本の国トップクラスの戦闘集団が一門、夜桜。暗殺者の育成に特化した一族である。
     夜桜一族当主・夜桜一夜の息子にして、次代の当主と見込まれる少年、夜桜十夜は、体術と剣術、そして『錬金術』の使い手。銃器好きの世話役や、ハイテンションな従弟、オタク気質の鍛冶屋を始めとする様々な仲間たちに囲まれ、その少女のような外見を散々ネタにされつつも、彼にとってはいつも通りの日々を過ごしていた。
     だがある日、一夜の命によって領地を出、街へと降りたことで彼の日々は一変する。知らない常識。平常だと思っていた異常。血色の髪の情報屋や、ドロップアウトした戦闘集団。そして、紅い髪の呪術師――――
     時を同じくして、その裏では十夜を起点として、とある計画を実行しようとしている一団がいた。彼らの言う『救済』とは。そして、『絶対者』とは。
     さぁ、物語の幕を切って落とそう。可能性を以て運命に抗う、人間たちの物語。「あり得ないということ自体があり得ない」。彼らの行く先――――
     地の果てには。
     血の果てには。
     一体何が、待っているのだろう。
     絶対者よ――――運命を、打ち壊せ。

     『樹形論プロジェクト』の根源の片翼を担う名作が、装いも新たに再起動! 動いていく運命を、体感せよ!