「冥王来訪」の感想


 
コメント
>武士の遺風

特にるろうに剣心での相手を許すので、シュヴァルツェスマーケンのあらすじを読んだ僕ではただの胸糞を感じています。 
作者からの返信
作者からの返信
 
>シュヴァルツェスマーケンのあらすじを読んだ僕ではただの胸糞を感じています。
 柴犬の執筆者である内田弘樹先生が影響を受けたのは、ボードゲーム原作者から架空戦記小説の作家になった故・佐藤大輔氏です。
色々と毀誉褒貶の多い人物ですが、その露悪的な作風は一定数のファンを魅了して、没後7年ほどたちますが、未完の作品が復刻刊行されるほどです。

 故・佐藤大輔の作風は、暗く露悪的な作風もあるのですが、登場人物をこれほどまでにかといじめた雄傾向にあります。
原作を務めた劇画の「レイド・オン・トーキョー」や「バトル・オーバー・北海道」も、何とも言えない救いのない最期でした。

 内田先生のそういう作風に、原作者の吉田社長のグロテスク趣味が悪魔合体してできたのが、柴犬の負の面だと思います。

 私などは少しばかり戦後史をかじってきた田夫野人ですが、1970年代のデタントという時代背景を考えれば、ソ連はあまりに冒険主義的な行動は出来ないと思います。
ベルリン暴動、ハンガリー動乱、チェコ事件とことあるごとに軍事介入を行いましたが、これはユーリ・アンドロポフという優れたKGB工作員の判断によるところが大きく、そういう彼でもアフガン侵攻というソ連崩壊へのミスを犯しています。
 アンドロポフは、KGB出身でありながら大使館勤務を通じて、東欧各国の実情を知っており、また西側の軍事力にソ連が太刀打ちできないのを十分把握していました。
KGBとして共産主義特有の腐敗に苦慮しており、反腐敗運動をしながら、上からの民主主義や東欧圏の自立化路線を考えていました。
上からの民主主義や東欧の自立化容認は、チェルネンコ=ゴルバチョフの路線で継承されましたが、これにはKGBが深くかかわっています。
ゴルバチョフは米ソのデタントを先に勧めた偉大な人間ですが、その一方KGBとは密着し、様々な工作を行っています。
情報公開もKGBの手助けがなければできません。
 東欧でその路線が起こったのはハンガリーやチェコがその機会を狙っていたというのもありましょうが、秘密警察がその路線に協力的だったのもあると思います。
東ドイツでも、中央偵察管理局の長官、マックス・ヴォルフが長官を辞任した後、体制批判をする作家活動をして、街頭演説をするのですが、東独市民にそっぽを向かれ、のちにソ連に逃亡します。
 ゴルビー路線の二番煎じを行おうとしたのを東独市民に見透かされたのでしょうね。

 話を戻しますと、ソ連はBETA戦争で人手が欲しいのに、東独の国内情勢に手を突っ込むほど余裕はないのです。
それに隣国は西ドイツですから、プラハ事件以上に西側に注目されるのですよ。
 西ベルリンから見れば、東ベルリンの動きは把握できますし、場合によっては米国からの軍事支援がストップする可能性があるのです。
 精々できるのは東欧各国に兵力を出すように指示するぐらいでしょう。
イラク戦争で協力しなかったフランスに対して米国がなんかしましたか?
今回のウクライナ戦争で非協力的な中央アジア諸国に対してロシアが何かしましたか?
 もし二正面作戦をやるのなら、それ相応の理由が必要でしょう。
柴犬はその動機付けが少し弱いと思いました。


 個人的には、史実をいじる以上、ある程度現実的な路線を書かざるを得ないと思っています。