「冥王来訪」の感想


 
コメント
シュヴァルツェスマーケンでは、もしホーエンシュタイン家族が西ドイツへ亡命することが成功だとしても、その家族は西ドイツの内でシュタージに拉致されると東ドイツへ連れ戻されるでしょうが。 
作者からの返信
作者からの返信
 
 史実の世界においては、KGBを始めとする社会主義国の諜報機関による亡命者の暗殺や誘拐は、結構な数がありました。
原爆スパイ団を裏で操ったパーヴェル・スダプラトーフ少将なども、若い頃はフランスに亡命したウクライナ独立運動の指導者を爆弾テロで暗殺などをしました。
 通常、スパイ組織も人員に限界がありますから、暗殺や誘拐はある一定の目標を決めて行われます。
 大体は海外に影響力を及ぼすほどの社会的地位に就いた人物やその親族などです。
ホーエンシュタイン家が仮に対象に選ばれるかというと、そもそも疑問に思います。
 仮に対象者になるとすれば、ノーメンクラツーラーの個人情報を知っていたとか、秘密警察の実態を暴露する本を出版しようとしたなどぐらいですかね。
 一度、外に出た人間を連れ戻すのは容易ではありません。
KGBやFSBも重要視しているのは内部への監視で、亡命者や脱出する人物を生まない監視体制ですね。
 いくら、兵力が不足したからと言って、西ベルリン以外に逃亡した東ドイツ人を再度連れ戻すのは、費用もリスクも、見合うものではありません。
万が一あり得るとしたら、マレーネ・ホーエンシュタイン(リィズの生母)がメルツィーデス・ベルンハルト(ユルゲンとアイリスディーナの母親)のように、誰かの情婦、特にSEDの最高幹部の情婦になっていた場合ですね。
国家指導者の下半身問題が西側に暴露される恐れがあるのですから、その場合は全力で阻止すべく暗殺隊や誘拐部隊を送り込むでしょう。
あるいは西ドイツ国内にいる非公式協力者を使って、秘密の作戦を行うか……

 物語としては面白い展開にはなるでしょうが、それをその人物に対して行うかは考えると、あまりにもかかる費用もメリットも少なすぎるのです。
SEDの正式党員なら、自分たちの不始末を隠すためにあり得ましょうが、ただの劇作家です。
 精々やることは、シュタージが人手を割いて東ドイツの政治的主張の宣伝要員になるように接触することぐらいでしょうか。
これはソ連初期のチェーカーがソ連からの亡命した知識人に対して、その様に行動しました。

 以上が現実世界の諜報機関を前提にした、マブラヴ世界のシュタージがするであろう行動に対する見解になります。