「冥王来訪」の感想


 
コメント
統一のドイツよりも分断のドイツの方が発展いい、地政も経済も社会も。 
作者からの返信
作者からの返信
 
 ご感想ありがとうございます。

>分断時代の政治経済
 西ドイツは、欧州における西側の最前線でしたからね。
極東の最前線であった日本以上に米英の手厚い支援がありました。
西ドイツ軍の戦闘機パイロットはドイツ国内ではなく、米国で訓練と試験を受けました。
戦車部隊は、英国で半年以上教練を受ける制度になってました。
軍事力の維持のための負担は、日本以上でしたが、英仏の支援がありました。

 統一に関して、前向きだったのは意外なことに米ソ両国でした。
両国の経済的負担は大きく、ソ連は自身が抱えるコメコン諸国の扱いに関して1980年代初頭から苦慮し始めていました。
 ハンガリー大使の経験のあったユーリー・アンドロポフは、ソ連と東欧との差異を最初から認識していました。
アンドロポフは、ハンガリー動乱やプラハの春の大弾圧を主導した人物でもありますが、手を余す東欧に関しては、時間をかけてソ連寄りの中立国にした後、独立させる考えでした。
これは後任のチェルネンコ、ゴルバチョフも同様の考えの持ち主でした。

 逆に統一に否定的だったのが英仏です。
2度の世界大戦の事の原因を、ドイツの勃興と考えた彼らは、東西分割の状態で続いたほうが良いと思っていました。
サッチャーや3年前に亡くなったジスカールデスタンらの回想によれば、ドイツの再統一に非常な恐怖を持ってました。

 あと「シュバルツェスマーケン」では、西ドイツの工作員が東ドイツに入国するのが大変だったように書いてありますが、事実ではありません。
西ドイツは、東ベルリンに大使館業務を行う「ドイツ連邦常設代表部」という役所を置いていて、東ドイツ側はある程度、彼らを自由にさせていました。
(市民への接触や地方都市に事前申請なしで行ける程度の自由です。軍事施設や警察などはよほどのことがない限り許可が下りませんでした)

 東ドイツは、北朝鮮やキューバではありません。
日米は国交関係を結んでおり、旅行者も許可が下りれば、自由に旅行できました。 
少なくとも1950年代のソ連の様に、外国人に閉鎖的な体制ではありませんでした

(のちに作者の内田弘樹先生は、ツイッターで作中の東西ドイツを史実をもとにしたのではなく、南北朝鮮の姿をもとにしたとのべています)

 詳しい話は作中で述べますので、今後の展開をお待ちいただければ幸いです。