「冥王来訪」の感想


 
コメント
アイリスの兄はお花畑の脳を持ってるのか?と思えるし妹のアイリスが苦労するのがわかりますね。 
作者からの返信
作者からの返信
 
ご感想有難う御座います

ユルゲン兄さんの議場荒らしの話は、残念ながら公式の設定なのです
彼の言動を見ていると東独の社会主義政権下では凄い危ういのです
(チェコやハンガリーの社会主義政権だったら、開放政策をしていたので許されたでしょう)

父が持っていたアメリカ映画を見たり、闇で手に入れた洋書を読んだりしてます
(この時代の東独は、ソ連の著作物まで発禁です。所有自体が刑法犯です)

ベアトリクスのところに押しかけて逢瀬を重ねたり……
妹の姿見たさに、士官学校まで遊びに行ったりしてます

士官学校主席卒業で、秀才であるのは間違いないのですが、抜けてるんですよ
多感な10代の時期に、父親の精神病院入院(幽閉)と母親の出奔(シュタージ職員との不倫)が有ったせいで、常識というか、感性がずれているんです
一応、ボルツ老人が夫婦で育ててくれたのですが、彼等も働いているので、ほぼ『鍵っ子』状態で放置されてます

両親からの愛情を受けなかったせいか、他人の愛情や好意にも、すごい鈍感です。
帰国してすぐ、軍服姿のまま、ブレーメ家を訪問するのですが、ベアトリクスをガン無視して、アーベルに『今後のドイツ経済』の事を相談しに行くのです。
アイリスディーナから指摘されるまで、ベアトリクスが、其の事を非常に憤慨していたことを気が付きませんでした

アイリスディーナは、物心ついた時から、両親が居ませんでしたから、両親の愛情を知りません。
両親との離別のショックはものすごく、結婚は諦めていると、兄にほのめかす場面があります。
(彼女自身は、『両親に捨てられた』と亡くなるまで信じていました)
666中隊での過剰とまで言える面倒見の良さは、その辺の愛情不足が起因しているのかもしれません
(もっとも、彼女自身は非常に心の優しい人物なので、本性なのでしょう)

そう考えると、ベルンハルト兄弟は正しく社会主義政権の被害者なのです

小生は、ユルゲン・ベルンハルト青年の言動を見て、むしろ憐憫(れんびん)の情を禁じ得ませんでした

彼が、シュタージに家庭を壊されなければ、外交官の息子として、それなりの暮らしも出来たはずです
両親の愛情を十分に感じて、社会主義政権下の貧しい生活でも仲間たちと手を取り合って暮らしていけたでしょう
(皮肉なことに、西独の方が、アメリカの物質文化が流入して個人主義が進み、家庭崩壊が多く、東独の方が、家族主義で、古風なドイツ社会が温存できていたのです)

長々と書き連ねましたが、今後の展開をお待ちいただければ幸いです