魔法少女リリカルなのは 世界を渡りあるく者
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第三章 孤独だった者たち 〜海鳴 闇の書事件〜
最終話 夜天の魔導書の終焉 そして未来へと...
「またか...他人に無茶するなっていってこの様か」
目を開けるとそこは覚えのある天井だった
アースラの医務室。そこのベッドで俺は寝ているようだ
エクストリームドライブによる重度の負荷、それだけでなく魔術回路も併用した宝具使用
それによって魔術回路に傷が付いたわけではないが一時的に魔力循環の乱れが起こったようだ
それにより意識を失っていた、との診断結果だった
もちろん、限界を超えて魔力を消費したこともあるらしいが
幸い、以前同じような状況があったのと治療のエキスパートであるシャマルさんがいてくれたおかげでもう日常生活に支障が無いレベルまで回復している
そして、悲しい知らせも聞いた
夜天の魔導書の破損は治すことは出来ないらしい
元のデータが無い以上歪んだままでしかいられない
俺も元のデータを探しては見たが現データとの差異修正だけでは、下手すればリインフォースの記憶、さらに守護騎士達の感情プログラムなどなどがリセットされてしまう可能性がある
元のデータをそのまま渡そうかと思ったが予想より容量が大きく、俺の頭に入らない
俺は何も出来ないまま、最後の日を迎えた
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「そろそろ始まる頃かな」
まだ大規模魔力に長期間当てられると身体に危険があるとのことでお別れは俺の病室で済ませてある
話したことは少なかった、というか話すことがなかった
ただ彼女から
「あなたは我が主の絶望を払ってくれた。どうかこれからも我が主を頼みます」
と言われた。それに応えないわけにはいかない
「もちろん。じゃあ、行ってらっしゃい」
それだけしか話さなかったが充分だった
俺は外を見る。まだアースラは軌道上に待機しているため外の景色は宇宙が見え、青い地球が見えるだけだ
「今頃、海鳴は雪が降ってるんだろうな」
雪の中でのお別れ、か
「奇跡は...どうだろうな。起こるかもしれないし起こらないかもしれない、いや違うか。掴むもの、だっけか」
俺は、ある一つの可能性を頭に思い浮かべている
リインフォースが完全に消えない方法
まあ、殆どの人からしてみれば消えたことにはなるんだが
それは、奇跡としかいえない確率で起こりうる
でも、もしかしたら
はやてと、守護騎士達の思いがあればあるいは
「届くかもしれないな」
そんなハッピーエンドを想像しながら、俺は欠伸をした
「まだ体が重いな、少し寝るか」
起こしていた体を横にして、目を閉じる
その後、俺はすぐに寝てしまった
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ーーもっとリインフォースといたい。それが私たちが望んだことだった
ーーもっとリインフォースとお話がしたい。それも私たちが望んだことだった
ーー望んだのはこんな運命を飛び越えること。ただそれだけだった
ーーだれにだって幸福になる権利はある。それはリインフォースだって同じの筈なのに
それらの想いは重なり、強く願う心は、奇跡を呼び起こす
結局魔法なんてものは強く願う、ただそれだけでいい
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「ん、んー」
誰かの声が聞こえた気がした。夢なんてすぐに忘れてしまうから、だれの声かは分からない
よく寝た気がする。今の時間は...ってまだ30分くらいかい
うーん、まあいいか。眠気覚めてからいいとしよう
そして俺は目を開け、体を起こす。そうすると目の前にいたのは以外な人物だった
「ほぇ?」
変な声が出たのは許して欲しい。いや、まさか本当に起こるなんて微塵も考えちゃいなかった
「リインフォースか...」
(私が見えるのですか?)
声が直接頭に聞こえる。こりゃ間違いなく魂、というか上位世界とここの狭間にいるパターンだな
(うん。俺は上位世界の魔術師って話はしたよな?だから見えるし、触れる)
最初に目が覚めたあと、アースラスタッフとなのは達、守護騎士達には全部説明した
俺の力について、それでもみんなが受け入れてくれたときは嬉しかった
(リインフォースは、これからどうしたい?)
(そうですね。我が主と騎士達の生活を見守りましょう。この体ではそれくらいしかできませんから)
(そんなこと聞いてない。どうしたいかって聞いた、不可能なんて思わないで本心を教えてくれないか?)
リインフォースは少し考えた後、答えた
(主と共にいたいです。主ともっと話したい)
(分かった)
(か、可能なんですか!?)
リインフォースが俺の肩をいきなり掴んできてびっくり
(お、おう。但し、夢の中とかだけだけど)
(それでも構いません。教えてください!!)
今度はそのまま前後に揺すられた
酔うからやめて、いやまじで
その思いが通じたのかやめてくれた
(それはだな。ずばり、これから産まれるであろう新たなはやての融合騎のなかにお前の魂入れること)
(え、そんなこと出来るんですか?)
(可能。だって力の欠片は残ってるんだろう?恐らくそれをはやては入れるはず。ならそこに意識が若干残ってたー、的なノリ使える)
(そ、そんな大雑把でいいんですか...)
(魔法なんて思い込みだから)
リインフォースは微妙な顔してるけど頷いて
(わかりました。ありがとうございます、これで助けてもらったのは二回目ですね)
(気にすんな。とりあえずはやての所に行ってやんな。今なら声くらいは届くさ)
(そうですね。では)
俺にお辞儀をしてから消えた
本当に奇跡起こしやがったよあいつら
ああ、今日は気分がいい
この気分のままクロノにいいにいくか
「あ、クロノか?ちょっと話したいことが有るんだが....」
その時の俺の顔は、とても穏やかな物だったらしい
もうすぐ、新しい年がやってくる
俺の新しい生活も、そこからスタートしてみよう
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6年後
「これとこれ、頼むぞ」
「りょーかい、提督殿」
なのは、フェイト、はやては中学3年になりながらも管理局に勤めている
はやては特別捜査官
フェイトは執務官
そしてなのはは戦技教導官兼捜査官
俺はというとだ
「そういえばこの後の任務って」
「比較的平和な任務だよ、それにみんな揃う」
「そういえばクロノ君の艦長就任以来初めてじゃない?」
「まじか、じゃあ終わったら打ち上げでもしようか、就任祝いも含めて」
「賛成!!」
エイミーさんが手を挙げて答える
ここはアースラ。その艦長はクロノだ
そして、提督でもある
まさかそんなに出世するなんてあの時は夢にも思ってなかったな
ああ、そういえば俺だったな
「お前も佐官になってから初めてじゃないのか?」
「お!じゃあ蒼炎君の分もだねー」
今の俺の肩書きは
時空管理局所属特殊捜査官
遠藤蒼炎三等空佐
クロノの要望により海にも陸にも属してない
何かあったら両方から呼ばれるって感じだな
勿論事務もやってる
まあ、今は主にクロノの補佐をしながら色々学んでいる
学校には通ってない
もともと学校に通う必要もなかったし
いつまでも誰かに甘えるわけにもいかないからな
まあ、今でもなのは達とはよく会うが
「さって、じゃあちゃちゃっとこの事務終わらせてみんなと合流しますかね!」
独りだった少女達は友達を得て
独りだった少女は家族を得て
独りだった少年は守りたいと思える仲間を得た
これからはみんな前を向いて行くのだろう
苦しくても、辛くても、誰かの手を取り合って、笑いあいながら
もう一人じゃないのだから
第三章 完
後書き
舞台は闇の書事件から10年後、地球からミッドチルダへと移る
管理局としての経験を積み上げたなのは、フェイト、はやて、蒼炎
彼女達は有る思いを胸に新たな部隊を設立した
その名は機動六課
この部隊を中心に、物語は再び動き出す
次回、新章突入
第四章 完成 自分たちの部隊 〜ミッドチルダ レリック事件〜
第一話 新たな教え子達
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