魔法少女リリカルなのは 世界を渡りあるく者
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第三章 孤独だった者たち 〜海鳴 闇の書事件〜
第十一話 最終決戦② 闇の書の最後
空間がぐらぐらと揺れている
そとでなのはががんばっている証拠だ
それにさっきフェイトが外に出て行ったのが感じれた
そのせいもあってこの空間は不安定だ
今にも崩れようとしている
これが最後のチャンスだろう
これを逃せば後は無い
頑張ろう。あの二人にかっこ悪い姿見せられないし
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(なんで、なんでみんな私の前から消えて行くんや!?)
少女の心が聞こえる
(ただ、私はみんなと一緒にいたかっただけや。私がなにかしたか!?)
それは、絶望と悲痛で満ちている
(もう独りはいやや。全部、夢やったら)
「本当に独りなのか?」
(え?)
俺は、姿を出さずに声だけを精神に届ける
いや、どうせこの会話忘れるだろうから姿を見せてもいいけどさ
「それに、全部が夢だったとしたら、いつかは醒める。そっちの方が酷じゃ無いかな?」
(あんたは、だれや?)
意識がこちらを向く。生憎と相手の姿は俺には見えない。でも、今は言葉が通じればいいんだ
「そんなことは些細な事。それよりもほら、外を見てみて」
(いやや。私はもう嫌なんや)
現実を否定して、直視するのを避けている。それはそうだろう。大切な人達が目の前で消滅した
小学生でそれに耐えろというのは無茶な要望だ
「もし、全てを否定するのなら。それは君の大切な人達まで否定することになる」
(!!)
この子が見ている夢は、家族とヴォルケンリッターが一緒にいる夢だ、でもその二つが叶うことはない
この子の親が生きていれば、夜天の書は転生してこない
だから、親の死を否定するならばそれはヴォルケンリッター達の否定だ
そしてヴォルケンリッターの否定は、今日までの楽しかった日々の否定
ヴォルケンリッターの出現と今日の出来事は繋がっているから
(色々矛盾があるのはわかっとる。それでも、それでも私は孤独が嫌なんや!!)
「だから、もう一度言うよ。君は本当に独りなのかい?」
(何を言って...)
「外を、見て?」
そこで、やっと彼女は嫌々ではあるが外に目を向ける
そこには、彼女の為に体をはるなのはとフェイトがいた
(え...?なのはちゃんに、フェイトちゃん...?)
「彼女達は君の為に、君が帰って来て欲しいという願いで、ここにいる。それを見てまだ君は、独りというのかい?」
(それでも、シグナムやヴィータ達は....)
少し、心に明かりが差した気がする
これなら、もう少しだ
「彼女達を助ける為の方法も、君は知っている筈だよ?」
(........管理者権限....)
やっぱり、扱い方は記憶に入ってるみたいだな
それにこの子の心も、もう大丈夫だ
強いな、俺ならしばらくは戻れない位なのに
「君は独りじゃない。もう、大丈夫かな?」
(誰か分からんけど、ありがとう)
「どういたしまして。ここから先は、自分で歩けるね?」
(もちろんや!)
なんとかなりそうだな
よし、俺もなのは達の所に向かいますか!!
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俺は自分の体に戻すと、右腕にいるアルティメイタムを見る
「さあ、帰ろうか」
<おうよ!>
出るには威力の高い魔法攻撃が一番だ
正直大丈夫か不安だかやってみよう、フルドライブ
「エクストリーム....ドライブ!!」
俺のフルドライブーーエクストリームドライブはなのはのエクセリオンモードと似ている
普通では出せない出力を出すためのものという点では一致している
ただ方法が違う
向こうは魔力循環を使ったブースターシステムだ
デバイスに送られた使用者の魔力をデバイスと使用者の間で循環、安定させて運用する
普段は6割ほどの魔力しか循環させないため安全だがエクセリオンは10割の循環
つまりそれだけの魔力を身体、魔力強化に回せる
それに対しエクストリームドライブは魔力が出る場所を広くする
前のアルティメイタムのシーリングモードの強化版みたいなものだ
システムアシストとカートリッジの補助を受けてもっと魔力が出る場所を広くする
そうすることにより一度に出せる魔力量が多くなり出力もそれに伴い大幅アップだ
ただし、これは長時間続ければ体だけでなくリンカーコアにまでダメージが通る
これだけなら10分と持たない
だから対応策をとる
俺が持ってるのはリンカーコアだけじゃないのだから
「魔術回路、リンカーコアとの接続開始」
身体中に痛みが少しだけ走る
以前、自分の体をサーチした時にリンカーコアと魔術回路が繋がってるのを見つけた
それを見て今回のを思いついたのだ
もともとリンカーコアが生み出す魔力と魔術回路が生み出す魔力は非常に似ていた
エクストリームドライブの状態だと魔法を使った時に余剰魔力が体の中に出てくる
それは通る道なんてないため体を好き勝手にまわる
そのため、すぐにへばるのだ
ならばちゃんとした道を用意すればもう少し時間を伸ばすことができる
そのための魔術回路
魔術回路に余剰魔力を乗せて体を回せば負担は少なくて済む
これで20分はダメージ無しで動ける!
〈ソードモード・セカンド〉
アルティメイタムがフルドライブ用の形態に変化する
ソードモード・セカンド
これは片手剣の形状ではなく巨大な両手用の剣になる
長さにして魔術師としての俺の身長より少し長いくらいだ
カートリッジの場所は変わらない
そして剣の先端下部に小型のナイフで先に銃口みたいなのが着いているのがある
これは、ここから魔力刃を少しの長さだが出すこともできる
それからガンモード・セカンドもあるがこれもソードモードから直接変形できるようにしてある
「ディバイン....」
〈ディバインストライク〉
俺は剣を左腰に構え居合切りの態勢をとる
そして一気に振るう!
「ストライク!!」
振るった場所から空間にひびが入り、徐々に崩壊して行く
それと同時に俺の体も、外へと流されて行った
反射的に目を閉じ、身を任せた
目を開けたらそこには夜空が見えていた
「っと、あぶねぇ」
飛行魔法を切っていたため危うく地面に墜落する所だった
周りを見ると管制ユニットがナハトヴァールに殆ど侵食されている状況だ
そしてその近くになのはとフェイト、砲撃を構えながらその周囲には無数のスフィアが浮かんでいる
確か、あれは中距離殲滅だったかな?
「「ファイヤーーーーー!!」」
うお!!すっげえ威力
なのはとフェイトの砲撃見事だし、スフィアから放たれてる無数のレーザーによる威力も高い
確かに中距離殲滅だわ
あれは受けたくないな
無数の魔力砲により敵の周りの視界が悪くなったが確かに感じられた
「管制ユニットと防衛プログラムが分離したぞっ!!!」
よっしゃあ!!これで最悪は回避した!!
あとは防衛プログラムを壊すだけ
その秘策もある
「なのは、フェイト!!」
俺はなのは達が立っている岩の所に飛んで行った
「蒼炎!!大丈夫!?」
「ああ、お前こそ大丈夫か?フェイト」
「うん。大切なものをもらって来た」
そっか。あそこで何かを受け取ったのだろう。目に宿る意思も増してる
「なのは、エクセリオン使って平気なのか?」
「うん。ちょっとつらいけど大丈夫なの」
「無理だけは、するなよ」
なのはが頷き、俺たちは目の前の光へと目を向けた
それは眩い光を放ち、縦に走る
周囲には4色の魔法陣が回っている
白銀の光が消えると、その魔法陣の上に人が現れた
それは、夜天の主を守護する騎士達
そして中央の、白の魔法陣の上に立つは、それらを従える夜天の主
「はやてちゃん!!」
なのはとフェイトは喜び、顔に笑みが走る
夜天の主は手にもつ杖を空高くあげる
そしてその体の近くには紫の光が浮遊する
「夜天の光に祝福を!リインフォース、ユニゾン・イン!!」
その紫は主の体の中へと入り、一体化する
たちまちに変化は訪れた
騎士甲冑が増え、帽子をかぶり、小さな黒い羽をつけ、髪は白く、目は青色とかした
これこそが、夜天の魔道書の本来の姿
主とそれを補助する魔導書、さらに守る騎士達
その姿が、数百年ぶりに現れた
それに俺は見惚れていた
「これが、夜天の魔導書のあるべき姿。なんて綺麗なんだ」
全てが自己完結するシステム
こんなものをよく作ったと思う
たしかに、ロストロギアとはオーバーテクノロジーだな
こんなものを作れと言われても無理だ
ああ、本当に
羨ましい
でも、俺にももう守りたいものはある
それだけで、一人じゃないって思えるんだ
「さあ、最終決戦だ」
さて、守護騎士達と主たちの感動の再会を見ていて若干どうしていいのかわからない俺たちだが
「とりあえず、時間ないからあそこに飛び込もうか」
俺が苦笑いでそう言うとなのは達もそれに連れて笑い
一緒に飛んで行った
「初めまして。俺は遠藤蒼炎、なのは達の友達、でいいかな?」
「あ、あの時の助けてくれた人や!」
は?
え?
「記憶には無かったんやけどリインフォースが教えてくれた。とりあえず呼び方ははやてでええよ?」
「おい、やて...じゃなかったリインフォースさんや?話したんです?」
『我が主の恩人だ。記憶に残ってないのは不憫だろうとな』
「おうふ...はっずかしい」
「なんで?かっこよかったで??」
ああ、キョトンとしてるはやてさん、そんな目で見ないでください
男には色々あるのです
あんな会話なのはたちには「え?はやてちゃん。蒼炎君となにかあったの?」ぎゃあああああ
「頼む、それだけは。それだけはどうか勘弁を...」
「えー。どないしよ」
はやてさんがすごいいい笑みを浮かべている。これは、将来叶わない人になりそうだ...
「すまない。水を差してしまうんだが」
「クロノおおおおおお。今ほどお前に感謝したことはないいいいい。後でなんか奢るわあああ!!」
神や、神が降臨しなはった!!(困惑)
クロノは飛行魔法で俺たちがいる所に着地し、話し始めた
「あー、えっと。ゴホン!とりあえず落ち着け。僕は時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ」
ユーノとアルフも合流し、現場メンバーが全員揃った
「時間が無いので簡潔に事態を確認したい。あそこの黒い澱み、あれが夜天の書の防衛プログラムで後数分で暴走を開始する。間違いないか?」
クロノが海上のある一点、黒く澱んでいる場所を差してはやてに聞いた
はやてはそれに答えた
「うん。自動防衛システム、ナハトヴァール」
リインフォースも小型で現れる(ホログラムみたいな存在ではあるが)
「周辺の物質を侵食し、ナハトの一部にしていく。臨界点が訪れない限りこの星ひとつ位は飲み込んでしまう可能性がある」
最後の一言により、なのはとフェイトは息を飲んだ
「停止のプランは用意してある、後は此方でなんとかする。といいたい所だが」
クロノはその手にもつカード型のデバイスを待機状態から起動状態に移行させる
形状は杖に変わり、四つのビットが現れた
「協力者は多いほどいい。守護騎士のみなは闇の書と言われる由縁を終わらせるため、なのはとフェイト、蒼炎はこの街とこの世界を守るため、協力してもらえるか」
はじめにはやてが頷き、続いてなのは、フェイトも頷く
「クロノ、その停止プランっていうのは」
俺は唯一の気掛かりをクロノに聞く
「このデュランダルは氷結魔法に特化したデバイスだ。防衛プログラムを氷結し、どこかに封印するという手が一つ」
「そりゃ無理だ。あんな莫大な質量を氷結させて永久封印は無理がある。それに無限再生がある以上いずれ破られる
「あとはアルカンシ」
「却下。あんなトンデモ兵器使ったらこの街が吹っ飛ぶ」
「じゃあどうするんだ!」
クロノが若干きれた。まあ即却下だから頭に血登るのも仕方ない
「手は、ある。但し、俺が面倒くさいことになるが。まあいいか、どうせアイアス見られてる以上追及は免れないな」
クロノが難しい顔をする。恐らくは俺が使おうとしていることを察したのだろう
「俺がいいって言ってるんだ。だから気にするな。ただ、やってもらいたいことがある」
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「よし、全員配置についたな」
みんながそれぞれペアを組んで岩の上に立っている
俺が頼んだのは複合バリアを破き、コアを露出させて欲しいということ
これからしようとすることはバリアが貼られていたら成功するかどうかわからない
そしてコアを露出させてないと届くかわからない
だから頼んだのだ
俺は準備で全く動けなくなるからな
「「始まる」」
俺とクロノが見事にハモったな
前の澱みは先程よりも大きくなり、真ん中から巨体が現れる
「夜天の魔導書を呪われた闇の書と呼ばせたプログラム、ナハトヴァールの侵食暴走体」
はやてがそうつぶやく。まるで覚悟を固めるかのように
「闇の書の、闇!」
その巨体はまるで獣だ。近づくもの全てを消し去る獣
「みんな!頼んだ!!」
俺がみんなにそう呼びかけるとそれぞれに声を返してくれた
有難い、それだけでがんばれる!
さあ、紡ごう。世界を変える詩を
今からすることを管理局に見られたらたまったもんじゃない
悪あがきだけど、やってみるだけはやろう
「かつて一人の少年がいた」
目をつぶり、意識を内面に集中させる
「その少年は異能の塊だった」
時折聞こえる雑音も全部カット
「周りからは恐れられ、迫害された」
みんなを信じて、現実から意識を切る
「しかし、絶望はしなかった。共に歩く人がいたから」
思い浮かべる風景は、やっぱりあのゲーム盤か
「今は会えぬその人に感謝を」
夜の海と砂浜だけの世界。孤独だった頃の俺を表す世界
「そして思い出の風景をもって、手向けとしよう」
ああ、そうだ。あいつはいつだってともにいるんだったな。ならこの1章節も加えよう
「共にいる、親友の約束と一緒に」
さあ、開け。ここが俺の世界だ
「思い出の風景!!」
目を開く
世界は海はそのまま、陸地だけが砂浜に変わっていた
みんな突然の事で驚いていたが事前に話していたため墜落なんてことはなかった
もうバリアは破けているらしい
なのは達がブレイカーを貯めている所だった
と、あれはクロノか?
クロノの周囲の温度が極度に下がってる
あれが、氷結系最高難度魔法
「凍てつけ!!」
エターナルコフィンか
ナハトヴァールに向かって氷結のビームが飛んでゆく
それは敵に当たり周囲に拡散されて行こうとするがその位置にはビットが待機していた
ビットにより反射されたビームはナハトヴァールに向かっていく
あれはそういう役割なのか
すぐにナハトヴァールは凍ったが見た感じすぐに動き出しそうだ
でも、ブレイカーまでの時間は稼げる。ならば
「借りるぜ、アルトリア」
俺は、アルトリアとのやり取りを思い出していた
ーー貴方はアーチャー、シロウを救ってくれました。だから、これを貸します。もう私は使わない、ならば貴方が真に誰かを守りたいときに使ってください
カケラを渡るときにそう言われて、それ以降、俺はアルトリアとのラインが繋がっていた
今が、その剣を振るうときだ
「かの気高き騎士王が持ちし剣。それは過去現在未来を通じ、戦場に散って行く兵士が、今際のきわに懐く悲しくも尊きユメ。栄光という名の祈りの結晶、それを星が汲み精錬した最強の幻想斯くあれという思いが重なった、奇跡の真名は」
俺は、あの騎士王が手に持っていた美しい剣を想像する
それが鮮明になっていくと同時にそれと同じものが虚空に現れる
その剣は実体をもっていくと同時に黄金の光を放ち出す
その光はあっという間に収まったが、威圧感だけは変わらない
それを掴むと同時に三人の声が聞こえた
「「「ブレイカーーーーーー」」」
三人の思いを乗せた魔力砲はナハトヴァールを容易く飲み込み、消滅させんとしていた
しかし向かうも往生際が悪く、負けじと再生を繰り返す
だが、こちらの思いが勝ったのかそれは弱まり、だんだんと中心部が見えてくる
俺は剣を最上段に構え、腰を低くする
聖剣は俺の思いに応え、俺の魔力を吸う
それは光となり、周囲に散らばる
いつしか、俺の周りだけでなくあたり周辺に黄金の光が舞い、誰かがこういった
「綺麗」
「幻想的じゃないか...」
次第に魔力は剣の周りを渦巻き、暴れようとする
流石に担い手ではない俺には反発するか
聖剣はまだ魔力を寄越せと言わんばかりに俺の中から吸い出す
いいだろう。ならばもってけ
ーー我が命は流転する
命も魔力に変えて、剣に送る
ーーーこの時、蒼炎の身体からも黄金の光が漏れていたのを誰も気がつかなかった
臨界に達しようとした所でシャマルさんから声がかかった
「みーつけた!!」
ユーノとアルフがコアを固定。こっちに位置を送ってくれた
そしたら二人はすぐに退避
みんなが安全圏に行ったことを確認して、俺は剣を振るう
「約束されたーー勝利の剣」
放たれた黄金の光は闇を塗りつぶすかの如くナハトヴァールを包んだ
断末魔すらも飲み込み、跡形もなく消滅させる
光が通り過ぎた後に残ったのは、夜空を移す海だけだった
「終わった、のか」
その言葉と同時に俺はエクスカリバーを戻し、固有結界を解除した
アースラとの通信が戻りーー事前に作戦プランは説明したーー観測をする
その結果
「再生反応なし、状況終了だ。協力に感謝する」
みんなが喜びに包まれる中、俺は身体に激痛が走る
やっば、無茶しすぎたかな
ーーリミットオン
これでよし、エクストリームドライブも止めた
そして、俺とはやてが同時に意識を失い、落下した
後書き
今回も少し長め
次でA's編は終わりです
空白期はやらないと思います
さて、今まであまりかかなかったあとがきですがこれからは次回予告にしますかな
試験的に
全てが終わった。何もかも
さあ、これからの話をしよう
次回、最終話 夜天の魔導書の終焉 そして未来へと...
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