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東方変形葉

作者:月の部屋
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全国10カ所の妖気
  東方変形葉43話「幻想郷戦乱」

 
前書き
藍「左だ!」
魔理沙「おっと、サンキュ!」
藍「礼には及ばん。それよりも、お前少しばててきていないか?」
魔理沙「ああ、ちょっとな。だけど問題はないぜ!恋符「マスタースパーク」!」
藍「ふっ、その意気だ。」
妖怪『ぐっ!いってえな。くたばれ!』
魔理沙「来るぞ!」
藍「わかっている!」
 

 
人里。上空より様子を見る。すると、里の人間は捕えられていた。虐殺こそはされていないが、身動きができない様子だ。ここの人たちを殺させるわけにはいかない。
“無力の変化”で、こっそりと妖怪たちの能力を無力化。“意識の変化”で、妖怪たちを一点に集めるようにする。
「“封印の変化”」
石を投げ、その中に妖怪たちを封じる。
これで人里にいる犯人全てを封じたと思ったが、一人だけ残っていた。俺の能力が効かなかったのか?
『派手なことしてくれたねえ。』
「それはこっちのセリフだ。」
扇子を相手に向ける。そして相手は、嫌らしい笑いを浮かべた。



「あらあら、もうおしまいなのかしら?」
紫は倒れた相手の腕を踏むと、相手は言葉にならない悲鳴を上げた。
『ぎぃがぁやがぁ!』
「幻想郷に汚い足を踏み入れないで頂戴。美しく残酷にこの大地から往ね!」
その言葉とともに、爆音が響き渡った。



『ぐっ!?お前、本当に人間か!?』
「はぁ、俺は人間だよ。ちょっとだけ変わった、ね。」

神変「無限変幻 閃」

近距離まで詰め寄り、スペカを放つ。相手はとうやら、あらゆるものを流す程度の能力のようだ。それで、俺の能力が自然と流れてしまったのだろう。
『がぁぁあああぁああ!』
妖怪は瞬く間に傷だらけになり、意識を失った。
「“束縛の変化”これで、お前は人の子一人殺すこともできない。」
人里のゴミ箱に詰める。さて、あの子たちは大丈夫だろうか。実は、姫雪と人形たちは別の場所に向かわせていたのだ。
それは・・・



『がぁぁああぁぁあぁあぁ!』
光の矢は妖怪の胸を貫いた。
「大変です師匠!四方八方から妖怪が来ているとの情報です!」
「まずいわね。姫を出すわけにはいかない。私たちにもさすがに限度がある。これは不利ね。」
やがて、妖怪の軍団の姿が見え始めた。やるしかないか!とそこに・・・
「援護します!」
うどんげの横からスキマと思われるものが開き、そこから姫雪が出てきたのだ。そして、
「衝撃波の矢!」
ぴゃっと矢を放つと、妖怪たちのほとんどが吹っ飛ぶ。

戦乱「アロウ・ウォー」

スキマが無数に開き、そこから矢が勢いよく飛ぶ。矢は妖怪たちを貫いていく。どうしてこの子がスキマを使えるの?
・・・いいや、違う。誰かが合わせてスキマを開いているのだ。それは誰?裕海かしら?いえ、あの子の気は人里にある。妖怪の賢者?いえ、あの人の気も遠くにある。そもそもスキマから感じられる気がその二人とは違っている。
もっとも、その気はどこか裕海に似ていたが。
「来るよ!電撃の矢!」
ぴゃっと矢を放つ。相当な威力らしく、妖怪たちはかなり悶え苦しんでいる。
「あなた、どうしてここに!?」
「裕海様に、永遠亭が危ないだろうから援護しに行けと言われたの。」
裕海はいつ帰ってきたのだろう。・・・それよりも、まさか読んでいたの?この状況を。



「た、助かったぜ。」
「君、いつ帰っていたのだ?」
俺が妖怪をゴミ箱に詰め込んているところに、妹紅と慧音が来た。
「幻想郷がやばいって聞いたから一旦帰郷。それよりも、慧音。ここの人里の歴史をいじって隠すことはできる?」
「ああ、できるぞ。」
よかった。それなら安心だ。
「人里の人間を人質に使われたらとんでもないことになるからな。頼んだよ。俺はあっちこっちで援護してくるよ。妹紅は万が一の時のためにここにいてくれ。」
「わかった、お前も気をつけろよ。」
2人に手を振り、少し厳しいところを探した。



紅魔館
『赤い館だ。』
「何の用でしょう?」
妖怪が紅魔館を見上げ、つぶやいたところに美鈴が立ちふさがる。
『用?簡単だ。ここに住む紅い悪魔を倒して幻想郷を支配するのだ。』
「そんなことはさせません!私が相手になります!」
『ふっ、おもしろい。ではくたばれ!』
妖怪は蹴りを突き出した。しかし、それはすっとかわされ、
「甘いですよ!」
妖怪の鳩尾に突きを入れた。その時の音は凄まじく、誰もが「決まった!」と叫ぶ場面だった。
しかし、妖怪は悶絶どころか痛がる様子もなく、ただ立っていた。
『甘いのは、どちらかな?』
と、驚いていた美鈴の頭を蹴った。
「がぁっ!」
頭から血を流している。美鈴はなんとか立ち上がった。
しかし、打ち所が悪かったのか、すぐに倒れ込んでしまった。
『ふん、たかが武道で俺に敵うなどと思うな。』
「あらあら、美鈴は何をやっているのかしら?」
と、一瞬の間に倒れて意識を失っている美鈴の傍にメイドが現れた。
そのとき、妖怪の周りにはいつの間にかナイフが配置されていた。妖怪が気が付いた時にはもう遅く、それらを全部体に受けた。
『いてっ、何をしてくれる!』
「タフなのね。ならちょうどいいわ。あなたにずっと理解できぬ恐怖を与えられるじゃない。」
メイド、咲夜は不敵な笑いを浮かべた。しかし、妖怪は全く動じてはいなかった。
『ふん、人間風情がよくわからないことを。喰らえ!』
妖怪は目にもとまらぬ速さで蹴りをかます。
しかし、そこには咲夜はいなかった。
「あら、どこを狙っているのかしら?」
『なっ!?』
妖怪の背後にいつの間にか回っていたのだ。

幻符「殺人ドール」

ナイフは華麗に咲夜の周りから妖怪の体に飛んでいく。
『いてっ、いてっ。ふん、そんな程度の攻撃が通じるとでも?』
「・・・なんてタフなの。」

速符「ルミネスリコシェ」

ナイフはあっちこっちを飛び回る。
「追加よ。」

幻葬「夜霧の幻影殺人鬼」

咲夜からナイフがばっと散っていく。
『いたっ、いててててててて。』
飛びまわっていたナイフが妖怪の急所に当たり、それに続いてその急所一点に次々とナイフが飛んでくる。
しかし、そんな急所一点攻撃でさえ、全くダメージを受けている様子はなかった。
『俺の番だ。』
と、咲夜の背後に回り込んで、重い蹴りをかまそうとした。
しかし、微妙にずれ、咲夜には当たらなかった。
『っ!?』
「むだよ。あなたがどれほどタフであろうが関係はない。あなたは私に傷一つつけられない。」
咲夜は勝ち誇った口調でいう。
『・・・くくく。』
しかし、妖怪は動揺するどころか逆に楽しそうな雰囲気をかもしだしていた。
『これならどうだ?』
ぱちんっと指を鳴らす。すると、
「!?」
炎の陣が咲夜を囲んだ。さらに、炎の陣のなかで火柱が咲夜を襲う。
「(くっ!ここまでか!お嬢様、申し訳ありません・・・。)」
咲夜に火柱が当たる寸前だった。
「”鎮火の変化”」
急に炎は引っ込んでしまった。妖怪も咲夜も驚いていた。
「はあ、間に合ってよかった。」
そこに、一人の少年、葉川裕海が現れたのだった。裕海は呆れた表情で妖怪を見た。
「さてと、さっさと始末しちゃうか。」
『ぐっ、貴様!何者だ!』
「何者?決まってるだろ?幻想郷の守護者だ。」
と、裕海はばっと飛び上がった。そして空間の裂け目、スキマを多数展開した。裕海が少し構えると、
『がぁあああああぁあぁあぁああ!?』
そこから光線がいくつも出てきたのだ。その光線は妖怪の肩を貫き、腕を焼き、足を焼いた。
『ぐっ!なぜ人間ごときがこんな力を・・・!』
「一ついいこと教えてあげる。俺の弱点は・・・ひとつもないのだよ。」
低い声でそう言い、光線をゼロ距離から撃ち、妖怪を気絶させた。
「ゆ、裕海?どうしてここに?」
「ああ、ちょっと幻想郷を守りに来た。じゃあ俺は別のところを援護してくるから。」
そういって、彼はスキマの中へと消えていった。



『妖精ごときが・・・やってくれるじゃねぇか!』
「ぐっ!!」
氷の妖精、チルノは今かなりまずい状況になっていた。妖怪の腕は凍りついていたが、構わずその腕を振るい、チルノの横腹に入れたのだ。
「ち、ちる・・・の・・・ちゃん・・・」
大妖精は、妖怪にやられて重傷を負っていたが、それでもなお友を助けようと必死に立ち上がっていた。
『はん、まだ動けるか。これで終わりだ!』
重い突きは、大妖精の鳩尾に入ってしまった。
「だっ、だいちゃぁぁあぁあああん!」
チルノは友の名を悲痛な声で叫んだ。大妖精は意識を失っている。
「よくも・・・よくも・・・」
『妖精風情に何ができる。さて、2人まとめてあの世に行きなあ!』
妖怪の拳骨がチルノの頭に当たる瞬間だった。
「えいっ」
『がああああああぁあぁあ!?』
チルノの目の前には、葉川裕海が立っていた。妖怪の腕を叩き落とし、光線で体を吹き飛ばしていた。
「お前、弱い者いじめしすぎなんだよ。少し痛い目にあわせてやる!」
結界で囲み、妖怪を閉じ込める。そして、
「”分解の変化”」
結界内の水蒸気、すなわち水を分解し、水素と酸素に分かれさせる。そして・・・
「着火。」
結界の内部の一部に火が灯る。すると、
『ぎぃぃぃぃいいいぃぃあああああ!』
大爆発を起こした。妖怪はまだ生きてはいたが、もう戦えない状態になっていた。
「さてと、まだ息はあるな。”癒しの変化”」
意識を失って木にもたれかかっている大妖精を、回復姿勢という楽な姿勢をとるようにして寝かせた。そして手を大妖精に向けた。すると、傷はどんどん塞がっていき、流れていた血も引いていく。
「チルノ、大丈夫?」
「あたい、弱い者じゃないもん!」
「あはは、ごめんごめん。大丈夫、チルノも大妖精もすごく強いよ。少なくとも、あそこに倒れている妖怪の頭よりはね。」
そういってチルノの傷を癒してスキマに入った。



『どうしたどうした!その人形どもはお飾りか!?』
「ぐっ!」
アリスの人形はどれもこれもが吹き飛ばされ、アリス自身も吹き飛ばされそうな状態だった。
『人形の火薬程度、我には効かぬわ!そんなへんてこな人形を捨ててしまいな!』
アリスに妖怪の手が伸びる。
ぱしっと妖怪の手ははじかれた。しかしそれはアリスによるものではなく。
「お前、人形達に何を言った?へんてこりんだと?」
半分キレ気味の裕海がいた。妖怪が裕海を襲おうと思った刹那、妖怪は吹き飛ばされた。
「火薬が効かないとか言ったな。試してみよう。」
裕海は近くにあった使い古しの火薬を集め、投げた。
『はっ、人間の頭はそれほど腐っているか。使い終わった火薬で俺を倒せるとでもがぁあああああ!?』
大爆発だ。妖怪は一瞬で戦闘不能に陥り、気絶した。裕海はぼろぼろになった人形達を拾い上げると、それらを全て修復した。
「あなた、どうしてここにいるの?」
「う~ん、人形たちの悲鳴が聞こえたからかな。」
よく分からないことを言った瞬間にスキマの中へと入った。



無名の丘。ここには鈴蘭の花畑がある。しかし、今はもう焼失していた。
「す、鈴蘭の花を・・・よくも!」
『ししし、これでお前はもう動けまい。さあ、喰らうがいい!』
妖怪はメディスンの頭に光線をかまそうとした。しかし、
「花は大事にしないとね。」
ばっと妖怪の腕を持ち上げ、光線を放った。
『なっ!?』
「はい、たっぷり毒で煮込みましょう。”毒の変化”」
妖怪の体内で毒が回り、妖怪は泡を吹いて倒れた。死に至るほどの量ではないのか、まだ息はあった。
「お、お、おにいちゃぁぁぁああああん!」
がばっとメディスンが抱きついた。それを受け止めると、優しく抱きしめた。
「まってて。今鈴蘭を元通りにするよ。”再生の変化”」
すると、鈴蘭の花畑は元通りになり、綺麗な花をつけていた。



ふう、これで危ないところは全部回ったか。
「・・・あの犯人どもは恐らく博麗の巫女である霊夢を殺そうとしているな。」
愚かなことだ。霊夢に勝てる奴なんていない。スペカ戦ではなく本気の勝負ならば俺でも恐らく無理かもしれない。もう相手の敗北だ。そういえば姫雪たちは大丈夫かな?人形たちの能力を塗り替えておいてよかったよ。姫雪の人形たちスキマ戦法は活躍しただろうか。
俺は、勝利は確信したものと思っていた。

だが、”本当の”戦いはこれからだった。



続く
 
 

 
後書き
43話です。
本当の戦いとは一体なんでしょうか。 
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