儚き運命の罪と罰
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第三話「地球での生活 文化の違い」
前書き
ガンガン投稿するぜ!・・・といいたいけど相変わらず下書きをちまちましてからになりそうだorz
「…くそっ。まだ痛む...。」
「大丈夫ですか?坊ちゃん。」
五分前に恐るべき一撃・・・例えるなら神の眼と全てのソーディアンマスターを同時に相手をしたときにでもうけそうな威力の攻撃を頬にもらった。
ビンタと書いて「乙女の一撃」と読むそれの威力は全次元世界共通であることだろう。
「ど、どうぞー...」
どこかおずおずとした様子でその大威力の一撃を放った張本人である少女、フェイト・テスタロッサは扉を開けた。
「全く、どうして僕がこんな目に遭わなくてはいけないんだ...」
顎がはずれそうなダメージは体だけでなく精神も害したようで今リオンは恐ろしく不機嫌だった。
(思えばあの女が僕の部屋をケチったからこうなっているのか。)
リオンは激しくプレシアを恨んだ。それこそ電撃を食らわせてやることを考えるくらいに、
「そ...それは、リオンさんだって悪いんですよ!いきなり入ってきたりするから!」
フェイトからして見たらそうである。なにせ自分の部屋にいきなり良く知っているわけでもない男が上がってきて自分の裸体(もちろんタオルは巻いていたが)を見られたのだ、動揺もすることだろう。
さりとてリオンに悪意があった筈もない。
「僕は何も知らなかったんだ!プレシアからも何も聞かされていなかった!それに幾ら風呂上りだからとは言ってもあの格好でリビングにいた貴様はどうなんだ!
…まさかとは思うがあのバリアジャケットの格好に慣れて、戦闘時以外にも素肌を見せつけようとか思ってるんじゃないだろうな!」
「それは関係ありません!それに私だって今日貴方が来ることを知らなかったんです!」
よもやただの喧嘩だ。そうとしか言いようがない。
「…なあアンタ、これどうやって収拾つけりゃあいいと思う?」
いつの間にやら来ていたアルフがそうシャルティエに聞いた。
事情に端的に彼は返答した。
「さぁ?」
「『さぁ?』じゃないよ!アイツ、アンタの主じゃないのかい!?」
「それを言ったらそちらもでしょう?」
アルフは「うっ、」と言葉に詰まった
「うう、そこはそうなんだけどさ...アタシあんな風なフェイトはじめて見たからさ...」
そうアルフはここまで感情的になったフェイトを今まで見たことがなかった、ゆえに止めると言ってもそんな方法などわかるはずもないのだ。
「…ハァ、しょうがないですねぇ。
アルフさん、なにか甘いものあります?」
「♪~」
シャルティエのきった鬼札、アイスキャンディーによってリオンの機嫌をいっきに平常、いや良好な物にすることに成功した。
「「ってえええええええ!!??」」
これにはアルフもフェイトも驚いた。なにせさっきまでこの笑顔でアイスキャンディーを舐めている少年は灰色を通り越してブラックなオーラ(瘴気とも言う)を撒き散らしていたのだ。
「坊ちゃんは甘いものが大好きなんですよ。」
「な!?べっべつに好きな訳ではない!・・・嫌いじゃないだけだ。」
普通に人間なら反応しなくてもいいシャルティエのごく普通な紹介に過激に反応したことこそが何よりの肯定の印だった。シャルティエも慣れた物で、「ハイハイ」と軽く流す。
「へ、へぇーっそうなのかい。そりゃあまた...。」
「今回はアイスキャンディーでしたが...クリームたっぷりのプリンなんてあればさらにこの手は有効ですよ。」
「プリン?」
「いや無いから坊ちゃん。そんな反応しなくても...」
「そ、そうか...なっなんだこの微妙な空気は!だから僕は別に!」
「「ハイハイ」」
「聞けよ!」
怒ってはいてもさっきより遥かに態度は軟化していた。恐るべしシャルティエ。・・・じゃなかった、恐るべしアイスキャンディー(甘い物)。
「くっ...まあいい。それよりも今日はもうおそい。そろそろ僕の寝る場所を決めないといけないな。」
「まあ僕たちは言ってしまえば客ですからね。僕にいたっては剣だし。僕は坊ちゃんの傍ならどこでもいいですよ?」
一緒にアイスキャンディーを舐めていたフェイトにリオンは聞いた。
「お前はいつもどこで寝てる?」
「えっと...疲れてるときはここで...
これからの彼らの生活に関する会議で夜は更けていく...
次の朝
「・・・・・」
「坊ちゃーん、朝ですよー。」
「…ん、シャルか。」
「おはようございます。坊ちゃん。」
「ああ、おはよう。シャル。」
シャルティエに起こされゆっくりと目を開けた。同居人の少女はまだおきていないらしい。
結局リオンは居間の外れに寝泊りすることになった。
「にしても、無駄にいい調度品だな。ソファーで寝るのは最初は抵抗があったが...これなら問題なさそうだ。」
「ええ、本当に。プレシアはなんで自分の家...なのかな?まあいいや。時の庭園のあの陰鬱な雰囲気をどうにかする方には金を使わないんでしょうねぇ?」
「さあな。まあいい。今の僕らには関りのない話だ。」
そんな他愛のない話をシャルティエとしていると、
「ああ、アンタ。起きてたのかい。」
「朝起きられないような自堕落な生活を送っていたことはないからな。」
「へぇーそうかい、フェイトも何時もは割りとすぐに起きてくるんだけどねぇ...」
今日に限って起きて来ないんだよ、昨日アンタが来て夜更かししたからかねぇ、と肩をすくめながら言った。
「そうか、まあそれはいい。それより今ジュエルシードとやらは幾つ集まっているんだ?」
「あの鬼ババァの手元にあるのも合わせると・・・って言うかそっちの方が本命だったか、4つだよ。」
「それで?昨日聞いた限りでは21個あるらしいじゃないか。残りはどうやって探すつもりだ?」
あらかじめ、プレシアにも彼女達にも、自分は戦闘はできるが探索は不得手だとリオンは伝えている。また、空を飛ぶことは擬似的にならできるが、長時間は不可能だと言うことも。
リオンとしてはできないことを雇われる身で期待されたくは無かった。
「アンタ、本当に魔道士じゃないみたいだね・・・魔力の反応を探すのさ。」
さも当然のことのようにアルフは答えた。
「ジュエルシード位、デカイ魔力ならこの町中どこでだってわかるんだよ。」
「ほぉ・・・そうなのか。」
「ま、今は正直別の問題もあるんだけどね・・・」
「勉強になりましたね、坊ちゃん。」
「ああそうだなシャル。」
そんな風に三人(二人と一匹?一人と一匹と一本?)で話を話をしていると、
「おはよう…」
「今日は随分遅かったじゃないかい、フェイト。」
この家の本来の...と言う言い方も妙だが家主たる少女が起きだしてきた。
「ご、ごめんアルフ。」
「別に怒っちゃいないさ。さ、朝ごはんにしよう。」
そういって菓子パンとこの世界で呼ばれているそれを渡す。
「・・・随分と手抜きだな。」
「嫌なら食べなきゃ良いんだよ。」
そう言われればリオンも黙るしかない。それに渡されたメロンパンはリオンの口にとても良くあった。
「むぐむぐ・・・。」
「・・・やっぱアンタの言うとおりアイツ甘党なんだねぇ。」
「味覚はおこちゃまですから。」
「おいシャル!どういう意味だ!」
「訂正しても良いですよ?ちゃんと野菜もたべるなら。」
ムッと低くうなって黙り込んだ。ピーマンやにんじんを他人のこっそり移すなどと言う前科があるリオンにとってそれはアキレス腱にも等しい部分なのだ・・・そこをついて被害がないのはシャルティエともう一人しかいないだろうが、
「へぇー以外に可愛い所あるじゃないかアンタ。」
現にニヤニヤしながらそれをからかったアルフは、
「…調子に乗るなよ!」
「え!?ちょっそれ何って...」
「ふん、駄犬の躾にはこれ位がちょうどいいだろう。」
「ちょっタンマって...ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」
リオンの電撃をお見舞いされた。
プスン...プスン...
真っ黒焦げである。もし現地人(特に大阪よりの人間)が見たらド○フを連想しそうな光景だ。
「カハァッ...あ、アタシが悪うございました...すみま...」
バタァッ
そんな音を立てて口から何やら黒い煙を吐きながら倒れた。
「アルフ!?大丈夫!?しっかりして!」
「あー・・・また坊ちゃんの電撃の犠牲者が・・・」
「フン...調子に乗るからだ。」
そういったリオン、彼は何かを思い出したようにフェイトに尋ねた。
「そう言えばこれはなんて食べ物なんだ?」
今しがた食べたメロンパンを指差していた
「・・・包みに書いてありますけど?」
「そう言えばそうか・・・ん?」
メロンパンの包装を見て何やらリオンは首を捻った、
「なあ、これのどこに書いてあるんだ?」
「え?それは真ん中に大きく...」
フェイトからして見れば意味が解らなかった、当たり前だろう。商品の一番目立つところにその名前が書いてあるのが当たり前で何でそれを態々聞くのか...?
(まさか...)
「…成程ね。そりゃあ坊ちゃんや僕には解らない訳だ。」
「フン、そう言う事か。」
リオンとシャルティエは同じ結論に到達したようだ
「フェイトさん、確認するけどこの『記号』みたいのが文字なんだね?」
「…ええそうです。と言うことは」
「ああ、僕はこんな文字を見たことがない。どうやら僕の見てきた文字とこの世界で使われている言葉は違うようだな。」
フェイトを彼女に何もさせずに圧勝したリオンにとって思いがけない敵の登場だった。
「盲点だったな、言葉は通じるからてっきり文字も同じでいいと思ったが...」
「これは勉強の必要がありそうですねえ。」
そういいながら二つ目の菓子パンに手を伸ばしていた
「ほう?同じような形でも味は全然違う物なんだな。」
クリームパンもお気に召したようだった。
「で、一つ聞きたいんだが。」
「はい、何でしょう?」
「お前も今知った通り僕とシャルはこの世界の読み書きを学ばなければならない。これからのためにも。」
そこでだ、といって一端言葉を切った
「お前は教えられるか?」
「…ちょっと自信ないです。私もまだ地球に来て間もないので。だけどバルディッシュなら…大丈夫?」
最後のは自らの愛機に尋ねた
「了解です、サー。」
バルディッシュに搭載されている人工AIには当然言語のプログラムもあった、まだ慣れていないフェイトやアルフよりも適任と言える。
「そうか...なら頼めるか?」
「そうですね、ではまずは教材を買いに行きましょうか。」
「ああそうだな...一応聞きたいんだが、この世界の通貨は『ガルド』か?」
まさかこの様な金の質問をするとは夢にも思っていなかったな、リオンは思った。あのがめつい女は真っ先に聞いただろうが、
「いいえ、『円』ですよ。…ああそうか、まだリオンさんはお金を持ってないんでしたっけ。」
「ああ、その通りだ...さて、参ったな、これじゃあ流石にどうしようもない...」
「ああ、それは私が貸します。」
そうフェイトは言った、その後思い直して
「あ、私も行きます。リオンさんはまだ土地勘ないでしょう?」
「至れり尽くせりですね、坊ちゃん。」
「…あのケチが給料を出したら必ず返す。」
リオンは未だ部屋の一件について根に持っていた、
「…そう言えば」
モクモクモクモク・・・
口から未だ煙を出し続けてるアルフ。
「忘れてた...!アルフ!大丈夫?」
「ああ...なんとかね...コホッ。」
最後に黒煙を一煙吐いて立ち上がった。
「さあ行こうか...ていうかアンタその剣小さくできたり隠せたりしないのかい?」
「シャルか?無理だな、何か問題でもあるのか?」
「この世界は帯刀が法律で禁止されているんだよ。」
銃刀法についてアルフはリオンに言った
「なに...?それでは戦闘の時どうするんだ?」
「その時はそのときでやりようがあるのさ...でも今は置いてってくれないかい?幸いなことにここいらは治安がいいから盗まれることも無いからさ。」
「そういうことなら仕方が無いですね、坊ちゃん。僕はお留守番してますよ。」
「それじゃあジュエルシードの反応があった時どうするんだ。…いや待て、見えなければ問題ないんだな?」
「?ああそうだけど。」
「なら話は早い。」
そう言ってシャルティエをナップザック(元からあったがフェイトとアルフが使わなかったため放置されていた)に入れた
「ああ、成程ね。これなら僕も一緒に行けそうだ。」
「じゃあ行こうか。」
「そうですね、行きましょうか。」
「ここが本屋か...。街中を歩いているときにも思ったが随分明るいんだな。」
文明の差をひしひしと感じずにはいられない・・・プレシアの時ほどではないが。
「ああ、あったあった。これが言語の教材のブースですね。」
「・・・随分いっぱいあるな。」
「ああ、この世界では地域によって喋る言葉が違うんですよ。」
「こりゃあ覚えることが沢山ありますね。坊ちゃん。」
アメリカと言う地域では「英語」、ここ日本では「日本語」、ミッドチルダでは...と最後のは地球ではなかったがともかく色々な言葉があるようだ。
「これが良いでしょう。『よくわかる地球の言語』。」
「なんだその怪しいタイトルは...まあいいだろう。そう言えばお前。」
フェイトに言った。
「何か欲しい本は無いのか?」
フェイトは驚いたようでまごついた
「え?私は特に...」
「そうか?ならいいが、あるならついでに買ったほうが手間がかからなくていいだろう?無かったとしても見てくるだけ見てきたらどうだ?僕にはまるでわからないがお前は多少ならこの世界の言葉が読めるんだろう?」
「え、ええと...良いんですか?」
「僕を長時間待たせることがないならな。」
女の買い物が長いことは知っていたが自分だけ用事を済ませるのも忍びないとリオンは思った。それに
(どれほど長かったとしてもあの守銭奴よりは短いだろう...)
フェイトはアルフと一緒に走っていった
「ふう...。」
そう溜息をついて近くのベンチに座った。
「さっきの本、読んで見ますか?」
ナップザックからシャルティエが語りかけてきた。思わずギョッとして
「おいシャル、お前の声が聞こえる人間が多いのをわすれたか?静かにしろ。」
「問題ないと思いますよ?僕の声がフェイトさんやアルフさんに聞こえるのは彼女たちの魔法で言う『念話』に近いからだとバルディッシュ君も言っていましたし。」
「それはあくまでも仮説と奴も言っていただろう...まあいいか。」
周りが特に反応をしていないようなので小声で容認した
「というか、僕一人じゃあ読めないぞ、お前も無理だろうシャル。」
「あ、それもそうでしたね。後で家に帰ってからバルディッシュ君に教わるとしましょう。」
「ああ、そうだな。」
そうシャルティエと話していると
「リオンさん。」
「お前か、欲しい本か何かは無かったのか?」
フェイトは首を横に振った、
(そういう仕草は共通...本当に会話にはこまらなそうだな。)
(ていうかもやもやしますね...脳内の変換はきっと彼らとは全く違うのにつうじるなんて。)
「それじゃあその本のお金払って帰ろうか。」
最後にアルフがそう言った
「それじゃあ開いてみましょうか。」
「ああ。・・・ふむ随分といろいろ載っているな。」
「それはこの世界の言葉は100種類は多分ありますから...とそれじゃあどこを見ればいいのかわからないだろうから私が教えますよ。例えばこの例文は...」
帰るとすぐにフェイトからバルディッシュを借りて言葉の勉強を始めた。
「熱心だねぇ。」
「うん、本当に。…私も暇があったら勉強したほうがいいかな?」
・・・この『ブンディエンドヤ』と言うのはどういう意味だ。
・・・それはロンダウ語ですね。『我が剣は稲妻』と言う意味です。
・・・じゃあこの『ヴァンデスデルカ』って言うのは何だ?
・・・それは古代イスパニア語で『栄光を掴む物』と言う意味です。
「…なあ、アイツら。買った教材間違えてないかい?」
「…そうかも。」
授業の様子を聞いた二人はもう一度本屋に行くことを決意した
後書き
最後の言葉の元ネタがわかった方。
貴方は俺と同族(テイルズファン的な意味で)・・・かもしれない。まあヴァンデスデルカのほうは割りとメジャーですけどね。
ちなみに今回はほのぼのとしてた日常でしたが次からはかなりシリアスになります。
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