ルドガーinD×D
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第十二話:ただ一人君の為なら
なんだ?さっき寝たはずなんだが…何だか体がゆすられてるような気がする……
オカルト研究部の方で何か問題でもあって誰かが家まで来たのか?
俺は重い瞼をゆっくりと開き俺を起こそうとしている人物を確かめる
「にゃん♪」
………誰だろうか、この着物をはだけさせた黒髪の妖艶なお姉さんは?
因みに凄く好みのタイプです、はい
いや待て、そもそも何で俺の家に知らない人がいるんだ?
よし、まずは落ち着こう、知らない人間が自分の家に入っている…この状況はつまり――
「不法侵入か」
「何でそうなるにゃ!!?」
うおっ!?俺はお姉さんのパンチを間一髪で避ける……っ!?この軌道、まさか!!?
「このパンチ……まさか、クロか!!?」
「何だか納得いかないけど……そうだにゃ」
まじか!!?猫って人に化けれたのか!!?やばい、猫歴五年目にして新たな発見!!!
「何だか勘違いしてるみたいだけど…私は猫又だから人型になれるだけにゃ」
「猫又って…確か妖怪の一種か……って俺、声に出してたか?」
「ルドガーの考えていることなら顔を見たら大体わかるにゃ!!!」
そう言って今にも零れ落ちそうな胸を張るクロ――っ////
まずい、この角度からだと見えてはいけないものがっ!!?いや、見たいけど!!!
「そ、それでどうして急に人の姿になんかなったんだ?」
とりあえず煩悩を振り切るために話題をこちらから振ってみる
「猫の恩返しにゃ」
そう言うとクロは艶っぽく笑い着物をスルスルと脱ぎ始めた――って、おいいいっ!!?
「今夜はルドガーの言うこと何でも聞いてあげるにゃ♪」
そう言って俺のパジャマも脱がせ始めるクロ、やっぱ、そう言う意味なのか!!?
良い子には見せられないあれなのか!!?
「ク、クロ、その、俺まだ高校生だし――」
「大丈夫にゃ、何も考えずに二人で一緒に気持ちよくなるにゃ♪」
まずい、俺の貞操が!!?いや、むしろこれはチャンスなのか!?
――っ!?
いや!!ダメだ!!!
十五歳で子供を産ませたあの糞親父と同じ運命を辿るのだけはごめんだ!!!
そう思いクロを止めようとして目を合わせる――
「クロ!?お前……っ!!」
「どうしたにゃ?ルドガー」
そう尋ねるクロの目は寂しさを湛えていながらそれでいて何かを決意した目をしていた
……ああ、この目を俺は知ってる、あの時エルがしていた目と同じだ――
『約束より…大切なものがあるんだ』
「……俺のとこから離れるつもりなんだろ?」
「な、何いってるにゃ?」
面白いぐらいに動揺して揺れるクロの目に少し笑みが零れる
「俺に嘘は効かないぞ?」
なおも問い詰めるとクロは観念したように溜息を吐いた
「……どうして……どうして、わかったにゃ?」
「家族だからな」
「え?家族?」
「ああ、クロは俺の家族だ、だから目を見れば大体のことは分かる……クロもそうだろ?」
そう言ってクロに笑いかける、さっきの仕返しだ
「そっか……ありがとうにゃ……」
寂しそうに笑い返すクロ……これは何があっても出て行く気だな……それも俺の為に
……しょうがない、なら、言いたいことだけでも言おう
「俺はクロが出て行くのを止めたりはしない」
「え?」
「それがクロの選択ならそれを止める権利は俺にはないからな……まあ、本音を言うとずっと一緒にいて欲しいけどな」
「っ///////////!!?」
クロが顔を真っ赤にする、まあ、プロポーズまがいの事をいったからな
でもこれが俺の本心なんだからしょうがないよな
「さっき、何でも言うことを聞くっていったよな?」
「っ!?…えっと……うん」
「じゃあ、今から言うことだけは絶対に忘れないでくれ」
今から俺が言うことは俺の自分勝手だと思う
でも、だからこそ、これだけは言っておきたいんだ!!
「よく聞いてくれ……クロがどこの誰であろうと、どんなことをしていたとしても――」
クロの目を真っ直ぐ見つめる、ホントの約束は目を見てするものだからな
「――クロは俺の家族だ……だから――俺はどんなことがあっても君を連れ戻す!!何度でも俺から離れたって構わない、でもな、その度に何度だって俺が連れ戻してやる!!もし君が約束を破っても、俺がその約束を本当にしてやるからな!!!」
―約束だ―
俺がそれだけ言い終えるクロは泣きそうな顔をして俺を見つめ返す
「あなた馬鹿にゃ……」
「かもな」
「私のせいであなたが危険な目に合うかもしれないのよ?」
「覚悟の上だ」
「世界を敵にまわすとしても約束してくれるの?」
「ただ一人君の為なら」
そこまで言うとクロは完全に泣き崩れて俺の胸に顔を埋めてきた
……胸からゆっくりと涙の温かさが伝わってくる
「ヒッ……グスッ……ずるいにゃ……そんなこと言われたら……ますます……離れたくなくなるにゃ……っ!!」
俺は何も言わずクロの頭をただ撫でる……俺だって離れたくないさ
……でもクロは選択しないといけないんだ、そのために俺に出来ることは――
「♪~♪♪♪~♪」
「っ!!?」
クロが怖がらないように、正しい選択が出来るように歌ってあげることだ
―兄さんが俺にそうしてくれたように―
そのままクロが眠るまで歌い続ける
しばらくすると穏やかな寝息が聞こえてきたので俺も目を閉じる
―しっかりとクロを抱きしめながら―
腕の中で何かが動く感触がして目を覚ますと顔を赤らめたクロと目が合う
「「…………おはよう」」
どちらとともなく交わした挨拶が被り可笑しくて笑い出す
「ふふ、シェフ、今日の朝食は何かにゃ?」
「本日のメニューはトーストとスープとトマトサラダです」
「ルドガーって本当にトマトが好きよね」
「トマトは俺のアイデンティティみたいなものだからな――っ////////!!?」
呆れた様子のクロにトマトのすばらしさを語ろうとするが
生まれたままの姿のクロに気づき頭がフリーズしてしまう
「にゃ?恥ずかしいのかにゃ?もう、一夜を共に過ごした仲なのに♪」
そういいながらクロは顔を背ける俺の背中に柔らかいものを押し付けてくる
「と、とにかく服を着てくれ!!!」
俺はそれだけを必死に叫んでクロから逃れるようにキッチンに向かった
後ろからクロの笑い声が聞こえたが気にしないことにした
何とか朝食を作って先ほどの光景を忘れようとしていると服を着たクロがリビングに来た
しかし…なんというか着物をはだけさせているので裸よりも色気を感じてしまう
最初はまた俺をからかおうとしているのかと思って注意したら、いつもこんな感じだと言われた
それにしてもやっぱり隠されているのが一番エロ―ゴホン
とにかくクロにはもう少し気をつけるように言っておいた
まあ、そんな感じで朝食も出来上がり、初めて人型のクロと一緒に食事をした
何でも猫舌なのでスープは少し冷まさないと食べれないとのことだった、さすが猫
そういうこともあって食事はいつもよりも時間がかかったと思う
……いや、本当はただ時間が過ぎて欲しくなくてゆっくりしただけだと思う
楽しい時間程直ぐに過ぎていくのは真理だ、今回もその例から外れることはなかった
「そろそろ、いくにゃ………」
「ああ………」
そうは言うものの中々動き出せない俺達……また証の歌でも歌おうか
「ルドガー」
そんなことを考えているとクロが話かけてきたので顔を上げる
「私の本当の名前は黒歌にゃ、覚えておいて欲しいにゃ」
「分かった」
「それと――」
俺の口が突如柔らかいもので塞がれる、目の前には黒歌の顔がドアップで映ってる
……これは……何だ?
「初めてのキスはイチゴの味っていうけど……ルドガーはトマトの味がしたにゃ♪」
ああ、そうか……俺キスしたのか………って、ええええっ!!?
「ルドガー、私、ルドガーのことが大好きにゃ……返事はまた会えたら聞くにゃ……」
顔を真っ赤にしながらそう言い残し、固まっている俺を置いて駆け足で出て行こうとする黒歌
そんな黒歌を俺は慌てて呼び止める
「黒歌!!!」
「な、何?」
「いってらっしゃい」
「っ!?……いってきますにゃ」
俺はそれだけ聞くとへなへなと座り込み唇を指でなぞる
「はは……ファーストキスがトマトの味か……」
ある意味納得だな、最近はトマトが主食みたいなものだし
「て、もうこんな時間か!!遅刻する!!!」
俺は慌てて身支度を済ませ家を飛び出してふと足を止める
「クロが笑顔で『ただいま』って言えるように俺もがんばらないとな……それじゃあ行ってきます!!」
へこんでる暇なんかないさ、なんたって俺には――大切な家族がいるんだからな!!!
後書き
黒歌が一時離脱することに……もっといちゃつかせたかった……
でもルドガーさんには困難を乗り越えて結ばれて欲しいから涙を飲んでこういう展開にしました
因みにこの作品ではサブヒロインはいません、あえて言うなら義妹予定の子猫ちゃんですけど
ルドガーさんは一人の少女のために世界を壊す人なので自分は一途だと思ってるのでそう言う設定にしています
次回はこれの黒歌sideを書きます
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