久遠の神話
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最終話 あらたなはじまりその八
「これからは」
「はい、宜しくお願いします」
スペンサーが差し出した手をだ、上城は握り返した。上城と樹里は二人とカレーを食べながら話して心と心の交流をしたのだった。
そうしてだった、カレーを食べてからだった。
上城と樹里はスペンサー、そして王と別れた。そうしてだった。
二人でゆっくりと歩いて中田のいる場所に向かう、そこはというと。
「大学だけれど」
「八条大学ね」
商店街のアーケードの中を進みながらだ、樹里は上城の言葉に答えた。
「あそこに行くけれど」
「結構、何かあるとね」
「休日でもよね」
「中田さん大学におられるよね」
「そうよね、いつもね」
「大学が好きなのかな」
上城はだからではないかとだ、樹里に言った。
「それでいつもおられるのかな」
「ううん、うちの学園結構色々と揃ってるし」
「道場もあるしね」
「博物館も美術館もあって」
巨大でしかも多くの蔵書を誇る図書館もだ。
「それに動物園や植物園、水族館もあって」
「凄い設備が揃ってるからね」
「だからね」
それでだとだ、樹里も言う。
「休日に行っても飽きないから」
「だからよくおられるのかな」
「部活だけして終わりじゃないから」
他の場所も巡るからだ。
「それでね、中田さんもね」
「あそこにおられるのかな」
「そうじゃないかしら」
「だからかな」
「とにかくね」
樹里はそうした話をしつつ上城に言った。
「今からね」
「大学に行ってそこの道場で」
「中田さんに稽古つけてもらいましょう」
「是非ね」
こうした話をしてだった、二人で。
歩いて八条学園まで来た、すると高等部の入口に。
一台の見事な黒い車があった、そこから丁渡人が出て来た。その出て来た者はというと。
権藤だった、上城は彼の顔を見て目を丸くさせた。
「えっ、権藤さんがどうしてここに」
「君達か」
権藤も彼等に気付いた、それでいつもの厳しい顔で言ってきた。
「奇遇だな、ここで会うとは」
「あの、どうしてここに」
「恩師に会いに来た、それだけだ」
権藤は上城の問いに簡潔に答えた。
「高校時代のな」
「そういえば権藤さんは」
「そうだ、この高校の出身だ」
大学は八条大学である。
「つまり君の先輩になるな」
「そうでしたね」
「今日寄ったのはその先生と連絡をしてな」
「それで今日ですか」
「お会いしてだ、昼食を一緒に食べたのだ」
そうしたというのだ。
「先生のお勧めしてくれた店でな、この学園の中のな」
「だから今日ここにおられるんですね」
「その通りだ、今先生をここにお送りする」
高等部、そこにというのだ。
「そこで君達に会ったのだ」
「本当に奇遇ですね」
「もう君達との接点はあまりない」
剣士でなくなった、高校の先輩後輩といった程度だ。
「私から何もすることはない」
「僕もです」
「そういうことだ、君達は私の政治家としての活動を見ていてもらう」
「総理大臣になられるんですよね」
「首相になり日本を繁栄に導く」
そこまで見据えての言葉だった、ただ総理になることが目的ではなく。
「そうしていく」
「頑張って下さい」
「見ていてもらう、その私をな」
確かな声でだ、権藤は上城と樹里に言ってみせた。
「私はその道を歩いていく」
「わかりました」
権藤との話も終わった、権藤は年老いた紳士上城達も見たことのあるその先生を丁寧に案内して後頭部に入って行った。そうして彼とも別れた。
権藤と別れた後大学に入った、するとそこにも人がいた。
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