ハイスクールD×D~舞い踊りし剣舞姫~
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第五話
木場SIDE
僕は……復讐に駆られて…‥何があった?
僕は学園でフリードと戦いながらそんな事をを思っていた。
あの後、学園でコカビエル達がエクスカリバーを一つにしている所を目撃し、フリードと戦っている。
そして三本……いや、四本の統合されたエクスカリバーと僕は戦っていた。
部長達も加勢しようとしてくれているけど……しかしはぐれ神父達が邪魔をしてこちらに加勢に来てくれはしないだろう。
しかし部長達だけが戦っているわけじゃない。
「消し炭になりなさい!」
「凍てつく氷河よ、穿て!魔氷の矢弾!」
「凶ツ風よ、狂え!」
「燃え盛れ、紅蓮の炎────炎王の息吹」
そこにはこの学園の生徒である数名と先生であるルビア先生が戦っていた。
というのも僕等が間に合ったのは彼らが儀式の邪魔をしていたからだ。
しかしそれでも時間稼ぎにしかならなかったらしく儀式は完成してしまった。
その儀式によって完成したエクスカリバーと僕は戦っている。
僕には復讐しかなかった。
復讐しか……なかったんだ。
そして考えた。
復讐の先になにがあるのかを……答えは出なかった。
出るはずもなかった。だって復讐の先にあるのは……無、だけだから。
だから……僕は復讐をしない。
僕には……仲間がいる。皆が……部長が、朱乃さんが、小猫ちゃんが、神名君がいる!
すると先ほど無造作に投げ捨てられた結晶から光が漏れ出てくる。
『見捨ててなんかないよ』
『だって君はずっと、僕達のことを想ってくれていた』
『たとえそれが復讐なんだとしても、君が私たちを忘れた日はなかった』
皆の声が聞こえてくる。
『なら私達もあなたを大切に想う』
『あなたはひとりじゃない』
『一人の力は弱くても、みんなと一緒なら大丈夫だ』
『だから受け入れよう……』
受け入れる……そんなことを……
『歌おう…みんなで歌った歌を……』
僕の周りの光から、聖歌のようなものが響く……それは眷族達にも聞こえているようだった。
部長は驚いていて……それでも皆優しい表情をしていた。
『聖剣を受け入れよう』
『神が僕達を見放しても、君には神なんていらない』
『君には私達がいる』
『たとえ神が僕達を見ていなくても僕達はきっと…』
そうだね……僕たちずっと……どこまでも……
「一つだ…!」
僕はそう言うと、僕の周りにいた霊魂のような魂は僕の周りに光と成って纏う。
暖かい……暖かい。
みんなの気持ちが僕に入ってくる………僕は、一人じゃない。
「バルパー・ガリレイ。僕の仲間は僕に復讐なんか、望んでいなかった……優しい僕の仲間が、そんなことを考えるわけがない。だけど貴方はこれからも人を傷つけ、殺すだろう……」
僕は光に包まれながら魔剣を創る。
「僕は第二、第三の僕達を創らないために、貴方を、滅ぼす」
「黙れ!おい、フリード!ちょうどいい!エクスカリバーを使って私を守れ!それくらいは出来るだろう!」
バルパーはフリードに自分を守れと言うが……
「あ~あ……え?なんか言った?バルパーのおっさん?」
しかしフリードはどうでもいいと言った感じだった。
「いやぁ……正直、あんた守るメリットってやつを感じられないわけでして~」
「貴様、何を!」
「まあ、何だ……結構面白かったけど、あんたの計画もこれで終わりって事ですわ。俺は最初からあんたなんかどうでもよかったってわけだ!うひゃうひゃ!俺っちが求めるのはそう!力、力、力!!あのイッセー君と戦うための力が欲しいんすよ!!」
「……何を言って……」
「君も知ってんだろぉ?イッセー君のあの力!あれで俺様は目が覚めたんですわ……あんな力を見せられたら……ただ悪魔を殺すだけの日常が馬鹿らしくなってさぁ……」
「でもイケメン君、君もなかなか面白いぜ?あんな聖歌、聞いたことがない!───闘おうぜぇ!イケメン君!!このエクスカリバーちゃんでよぉ!!!」
僕にエクスカリバーを向けてくるフリード。
「僕は……負けない。僕の気持ちに応えろ、魔剣創造!!」
僕の声に呼応するかのように、僕の魔剣に黒いオーラと白いオーラが交互にまとわりつく。
僕の魔剣が……形状を変えた。
「おぉ!?なんすか、それは!!ここで俺を喜ばせてくれる強化ですか!?」
僕の魔剣は、白と黒の光を纏う一本の剣となった。
分かる……これが何か、何をするためのものなのか!
「禁手……双覇の聖魔剣……聖と魔を司るこの剣、受けてみるといい!!」
「最高!!イッセー君との戦い前の前哨戦では勿体ないくらいだぜぇぇぇ!!!」
僕はもう……迷いはしない!僕には皆が……仲間がいる!!
SIDE OUT
「エスト、大丈夫か……?」
-あの程度、造作もありません-
「ごめんな、俺が神威をあんまりコントロール出来ないから……」
そう、俺の自身の中に流れる神威は極微量だ。
俺の出身はまぎれもなく地球であるからである。神威とは元素精霊界で日常的に過ごしていく事で蓄積されていくいわば経験の塊なのである。
俺は出身は地球であるため、元素精霊界とは何の関係もない人間だ。それゆえに神威は少ない。精霊魔装は神威によって動くため俺では満足にエストの力を発揮させる事も出来ないのだ。
そんな俺はだからこそ剣術で誰よりも強くなろうと決めた。
おかげで元素精霊界では知らない程の剣豪になってしまった……女装した俺の事をだが。
元素精霊界では男性の精霊使いはいない。俺はたった一人の精霊使いなのである。
まあ、それにはある理由があるのだが……それは今は言わなくてもいいだろう。
俺はエストを持って走ると学園周辺に結界が張ってあるのが見えた。
「ソーナ会長」
「イッセー君、大丈夫だったのですか?」
「え?ああ、あの程度でしたら俺でも倒せますよ」
「いや、しかしですね……」
「心配性ですね。俺は大丈夫って言ったんです。それでコカビエル達は?」
「彼らでしたらまだ中にいます。私たちは結界を維持するためにこの場を離れられません……イッセー君、後は頼みます」
「任せてください」
俺はそう言って校庭に向かう。
そこでは……木場がフリードの持っている剣を真っ二つにしている所だった。
「……皆、僕等の剣は……エクスカリバーを越えたよ……」
何かしらのけじめがついた顔をしている。
憑き物が落ちたって感じだな。
「おいおいまじで!?……ああ、せっかくイッセー君と戦える力が手に入ったと思ったのになぁ……」
でもフリードは嫌に冷静だ。
本当にあいつは偽物じゃないかという錯覚に陥る。
「……でもまあ楽しかったらいいってことで!!ええっと、何だっけ?木場祐斗くん?君、俺の中の倒したいランキング上位にのりましたぁ!おめでとう!!―――いつか、絶対に潰すからね?それじゃあね、イッセー君もねぇ!!!」
そう言ってフリードはどこかに去っていく。
「ば、馬鹿な!?そんなことがあり得るわけがない!聖と魔、二つの相反する力が混ざり合おうなどと!!」
「そんなこと、どうだっていい。ただ僕は貴方を斬る。それだけだ!」
「そうか、わかったぞ!聖と魔、二つが混ざり合うということは、つまり神が創ったシステムは消失しているということ!つまり魔王だけでなく神も―――」
そこまで言って、バルパー・ガリレイが全ての台詞を言い終わることはなかった。
何故なら、彼の腹部に巨大な光の槍が刺さっているからだ。
そしてバルパー・ガリレイは……光の藻屑と成って消えていった。
「バルパー、貴様は非常に優秀だった。貴様がその真理にたどり着いたのは、優秀だからであろう……だがお前がいなくとも、俺は別に一人で何とかできた」
その光の槍はコカビエルの攻撃だった。
「聖魔剣にデュランダル、魔王の妹……だが足りないな。お前たちでは決して俺には届かない。所詮は雑魚だ。殺すに限る……と、思っていたが。どうやらメインディッシュが先に到着したようだ」
「ああ、来てやったぞ」
俺はエストを肩に担ぎながらコカビエルの元に歩いていく。
「っ、兵藤君!」
木場祐斗、お前は十分に頑張った。だから、休んでろ。
「ふん、精霊王といっても大した事はなかったという事だな」
……こいつはいきなり、何を言ってんだ?
「ちょっと!?精霊王様達への侮辱は許さないわよ!」
クレアは炎の鞭を握り締めてそう叫ぶ。
「本当の事ではないか。こんな人間に負けるなど……まあ、それも貴様の持っている剣のおかげだろうが……」
コカビエルの言う事も最もだ。俺の力は結局はちょっと強い剣術だけ。
それ以外はエストやレスティア。そしてレン・アッシュドールとアレイシア・イドリースの力による物が大きい。
そして、次のコカビエルの言葉に俺は我慢がならなかった。
「そんな奴等にも負けた《闇の精霊王》など、俺なら瞬殺だな」
「…………まえに………がわかる…………」
「ん?」
「お前なんかになにがわかるっ!《闇の精霊王》の苦悩が!」
レン・アッシュドールは自分の仲間達を助けようとした結果、死んでしまった。
こいつはそんな精霊王をバカにしたんだ……俺の剣術の師匠をバカにしたんだ!
こいつだけは、許せねぇ!!
-イッセー。冷静になれ-
と、その時。俺は俺の中にいるレン・アッシュドールに呼びかけられる。
-イッセー。お前が俺のために怒ってくれるのは嬉しい。だがそんな状態のお前では絶対に勝てない-
でも!
-……代われ。俺がやる。俺も少々我慢がならないからな-
…………わかった。でも、あんまり無茶はしないでくれよ?
-わかってるさ……最強の剣舞姫の異名は伊達じゃないって事を証明してくるさ-
…………人格変換。兵藤一誠からレン・アッシュドールへ…………
俺はそうして自身の深奥部へと向かい、そしてレン・アッシュドールが表に出てきた。
レンSIDE
さて……表面に出てくるのは久しぶりだな。
俺の手の中にいるエストは俺の事を感じ取ったのか少しだけ光っている。
「エスト。お前結構消耗しているだろう?」
-大丈夫です。この程度ならまだやれます-
「無理すんな。イッセーが悲しむぞ?」
-……そうですね……-
どうやらわかってくれたようだ。
「という訳で……レスティア、いくぜ」
-ええ……久しぶりね、貴方と剣舞を舞うのは。そうでしょ、カミト-
「そうだな……それとその名前で呼んでくれるんだな……」
気がつくと俺の手にあった聖剣は消えており、その代わりに漆黒の魔剣が左手に握られていた。
これがレスティアの精霊魔装、真実を貫く剣だ。
「先ほどから何を言っている?」
わからないだろうさ、それじゃいかせてもらうぜ……!
「俺が、最強の剣舞姫だ……!」
俺はそう言ってコカビエルのいる場所へと跳ぶ。
剣舞を舞う時だ……!
SIDE OUT
後書き
はい、レン・アッシュドールの正体は皆さんご存知の精霊使いの剣舞、原作主人公、カゼハヤ・カミト君でした。しかし原作そのままの彼ではありません。だって原作では魔王にもなってないでしょう?その説明も後々しますので。
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