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東方変形葉

作者:月の部屋
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変化と不変の入り乱れ
  東方変形葉30話「白熱!in 守矢神社!」

 
前書き
霊夢「はあ~、2日酔いも治ったし、いい気分ね~。おっと、あいつがくるわね。神霊『夢想封印』っと。」
紫「ハロー、調子はどういたぁあああああっ!?」
霊夢「ふう、紫を痛めつけたし、いい気分ね~。」
紫「どういうストレス発散方法よ。それよりもこれ、本当の優勝報酬。」
霊夢「それを先に言いなさい!え~っと、何これ?」
紫「外の世界の食べ物がたくさん入った箱よ。」
霊夢「やったー!紫も稀にはいいことするじゃない!さっそくあけるわよ!」
紫「ま、稀には・・・?」
霊夢「・・・お米5キロと、・・・“あらゆるどんぶりのレトルト食品詰め合わせ”?れとるとってなによ。」
紫「外の世界の、手軽で簡単においしくできる優れものよ。わたしだって作れるわよ。」
霊夢「紫が作れるほど!?す、すごいわね。あの料理入門者以下の紫でも作れるだなんて・・・。」
紫「本格的に私の扱いひどくない?」
霊夢「それよりもこれ、どうやって料理するの?」
紫「お湯で10分ほど温めて、炊いたどんぶりのご飯の上にのせるだけよ。」
霊夢「へえ~、外の世界は便利なのね。」
紫「そうなのよ。早く幻想入りしないかしら。」
霊夢「あんたは外にも気軽に行けるんだからさ、あんたがたくさん買って持ってくればいいじゃない。」
紫「面倒よ。藍に怒られちゃうし。」
霊夢「ところで紫、なんだか今日はとても嫌な予感がするんだけど。」
紫「気のせいじゃない?」
霊夢「気のせいよね!」
 

 
朝になった。パンと目玉焼きを食べて、出かける準備をし、そして今から出かけるところだ。
スキマを開き、守矢神社へときた。
「ふう、一瞬で山に来れるのはいい気味だな。たまには登山もいいかもしれないけど。」
「やまだー!」
「やっほー!」
人形たちは相変わらず謎なほどに元気だ。少し純粋に作りすぎたかな?まあでも賑やかの方がいいからこれでいいや。
「あ、裕海さんじゃないですか!ついにここの信仰をしに来たのですか?」
奥から早苗が出てきた。
「しないよ。」
「ではどうしてここに?」
「信仰したいがためだけの施設か?ここは。ただ単に遊びに来たんだよ。」
「なるほど、その発想はありませんでした。」
なかったんかい。
「それでしたら奥に2柱とも座っておられるので、話し相手になってあげてください。掃除が終わったらお茶を出します。」
う~ん、できれば早苗とも話がしたいからな。この辺の掃除は骨が折れそうなほど葉っぱが落ちている。
「俺が一瞬で終わらせようか?」
「本当ですか?助かります。・・・爆破はやめてくださいね。」
「誰がするか。そんなことしたらここへ来た意味がないだろ。」
爆破の方がめんどくさいし疲れるし。
「“密度の変化”。ゴミ、塵、埃、落ち葉。もろもろ邪魔な物はこの一点に萃まれ。」
呼びかけると、すごい勢いでたくさんのゴミなどが集まってきた。指定したところの密度を高くして、指定した対象物だけが萃まる。こういう技を、この前萃香に教わった。
「すごいです!本当に一瞬で終わりました!」
「さて、集まったやつは・・・燃やすか。」
「ええっ!?爆破しちゃうんですか!?」
「だからしないっての。燃やす=爆破ってどういう公式さ。“焼失の変化”」
すっと扇子を集まったゴミに向けると、いい感じに燃えて灰になった。
「“消火の変化”これで始末完了っと。さて、中に入ろうか。」
「はいろー!」
「はいろ~!」
「はい!」



「おや、もう掃除終わったのかい。って裕海じゃんか。」
神奈子が座っていた。
「ああ。あれ?そういえば一昨日の大会で神奈子も諏訪子も見かけなかったな。誰におとされたんだ?」
そう質問すると、ため息まじりで返答した。
「あ~、私は麓の巫女にやられたんだよ。見事にでっかい陰陽玉と光る八つの弾でやられた。で、諏訪子はあの悪魔の妹にやられたのさ。早苗は確か・・・」
「はい、私は紫さんにやられてしまいました。かなり粘ったんですけど、『まだまだ未熟ね』って軽々と叩き落とされてしまいました。」
お茶を持ってきた早苗が話を繋げた。霊夢も紫も結構容赦ないな。
「あっ!裕海じゃん!優勝おめでとう!」
諏訪子が出てきた。
「ありがとう。まあ、結局霊夢と引き分けという形になったけどね。・・・そのあとは宴会で酒を無理やり樽2つ分一気に飲まされて。まあでも、意外と酔わなかったけどな。」
「おや、酒に強いのかい。いいこと聞いたねえ。今度私の酒に付き合いなよ。」
神奈子がおちょこを持つふりをして言ってきた。
「まあ、美味くなかったと言えば嘘になるけど、あまり酒は控えたいかな。」
そうかい、と残念そうに言った。
「あ、そうそう話の続き。私は聞いての通り悪魔の妹にやられたのよ。鉄の輪とか投げてもミシャグジ様とか呼び出しても全然ひるむどころか逆に盛り上がってしまってね。最終的にあのでっかい・・・レヴァーなんとかでやられちゃった。」
フランも容赦ない。そういえばフランは紫にやられたんだっけ。
「それよりも、せっかく来たんなら遊んでいきなよ!」
諏訪子がぴょんぴょん跳ねながら言ってきた。
「うん、そのつもりなんだけど。」
「飲み比べ」
「却下」
神奈子がさらっとデストラップを仕掛けてきた。かかるものか。
「じゃあ、神遊び」
「弾幕は今はいいや。疲れるし。」
「ならこれなんてどうですか?」
早苗があるものを出してきた。
「トランプ?あー、これを見るのは久しぶりだな。これにする?」
「いいね、たまには外の世界の遊びもしないと。」
「そうだね、じゃあコントラクト・ブリッジ」
諏訪子が提案した。
「世界三大カードゲームを出してきたな、あれは聞いたことはあるけどやり方は知らないや。神奈子と早苗は知ってるの?」
「いや、初めて聞いた。」
「私も初めて聞きました。」
「・・・諏訪子、4人用のカードゲームでどうやって一人でやってたの?」
もしかしてかわいそうな子か?
「あはは、私も聞いたことがあるだけでよくは知らないんだよー。」
人形たち含む全員がすっ転びました。
はい!おめでとうございます!人形たちも含めて5コンボです!って、提案した人がやり方知らないってどういうことさ。
「・・・もう神経衰弱でいいな。」
「そうですね。あ、私は昼ごはんの用意をしてきますので、後から参加しますね。」
「わかった。」
「あーうー。誰か知ってると思ったのに。」
無視。とりあえず全部一通り並べた。
「人形たちも参加オッケー?」
「いいよ~!」
「かまわんよ。」
「だってさ、2人とも。」
「わーいわーい!絶対優勝するよ!」
「それは私よ!」
人形たちが可愛くにらめっこしながら対立している。和むな。
「あ、能力は使っていい?」
「だめに決まってるでしょ。“透視の変化”とか使われたら誰も勝てないよ。」
それもそうか。
「じゃあ、諏訪子から。」
この後、結構白熱したが、最初はきらちゃんが勝ったんだけど、そのあと入ってきた早苗が勝ちを全部持って行った。どういうこと?まるで奇跡が起きたみたいに。



昼食を食べ終えて、また神経衰弱を再開した。よっぽど早苗に勝ちを持って行かれたことが悔しいらしく、しまいには早苗対全員となった。
「ぬぬぬ・・・これっ!!・・・おっと、わあっ!!」
カードをとる勢いのあまり、こっちに転がってきた。何とか受け止めた。
「えへへ、ごめんね~・・・!?」
諏訪子が俺に受け止められたままの姿勢で何やら固まった。
「・・・・・・」
「・・・諏訪子?諏訪子さん?どうされました?」
「い、いや、なんでもないの。それよりも続けましょ?あっ!このカード揃ってる!」
諏訪子を除く俺たちは不思議に思ったが、それは置いて、再び勝負に白熱した。

・・・早苗に、能力使用禁止が伝わっていなかったのに気が付いたのは、この3時間後だった。



「・・・疲れた。」
あれからどれくらい時間が経ったのだろう。外を見ると、もう外は夕焼けに染まっていた。
「う~ん、そろそろ帰るかな。あ、今日は飛んで帰るか。」
「あれ、もう帰るのですか?」
「ああ。そろそろ仕事もしなきゃと思ってね。」
人形作りの仕事が少しだけたまっていた。まあ、1時間もあれば片付くから心配はいらない。と、あることを思い出した。
「あ、そうそう早苗。一応これ渡しておくよ。」
渡したのは、ある紙だ。
「なんですかこれ?・・・幻想外雑貨店?への地図?」
「そこの店主とは友人関係でね。客が全然来ないからどうにかしろって。そこには外の世界の雑貨が売ってあるんだよ。その店主も外来人でね。外の世界の住民だった早苗とか、高度技術を持った天狗、河童とかに伝えたらそこに行ってくれるんじゃないかな?と思ってね。」
「ありがとうございます。外の世界の機械に飢えていたわけではないですけど、それでも欲しいものがあるかもしれませんので行ってみますね。天狗さんや河童さんにも伝えておきます。」
「よろしく。じゃあまたな。」



「はい。また今度。」
彼が飛んで行った。ふと、諏訪子様へ疑問があったので聞いてみることにした。
「・・・ところで、諏訪子様はあの時、どうして裕海さんに受け止められた時、固まっていたのですか?」
すると、意外な答えが返ってきた。
「・・・あの子の奥深くに、神力が潜んでいたよ。それも例えようがないほどとても強い神力がね。」
「・・・!?それってどういう・・・?」
諏訪子様は首を横に振って、わからないと仰った。



「ふう、たまにはこうやってのんびり飛ぶのもいいな。」
「そうだねー!」
「きもちいい~!」
さて、家が見えてきた。そして着陸して扉に向かって歩いた。
その時だった。背中に熱いものを感じた。痛みもあるが、その前に熱い感じが背中にあった。それはまるで、背中をとても深く切り裂かれたように。
俺は意識がもうろうとして、冷たい地面に倒れ込んだ。



続く
 
 

 
後書き
30話です。
裕海が何者かにやられてしまいました。次回はかなり重いですが、最後はきっと心があったまるかもしれません。
 
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