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真似と開閉と世界旅行

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突入〜

 
前書き
くっ・・・説得は、苦手だ・・・!ではどうぞ。 

 
・・・というわけで、グランコクマの軍本部にて、ゼーゼマンから話を聞く。

「待っていたぞ。エルドラントはプラネットストームという鎧を失った」

「キムラスカ・マルクト連合軍はプラネットストーム停止と同時に出兵準備に入った。貴公らに助力するためだ」

「ありがとうございます」

・・・そして、エルドラントの対空砲火には発射から充填までにタイムラグがあるらしい。・・・つまり、ノエルが弾を回避しきり、そのタイムラグの間にエルドラントに突入する・・・という算段になった。

「地上部隊はこちらの突入にあわせて下さい」

「うむ。しかし優先すべきはヴァンだ」

「ええ。分かっております」

連合軍はケセドニアに集まっているらしい。俺達も向かおうとした時・・・

「アッシュ・・・!」

「・・・プラネットストームが止まったようだな」

「よかった!そのことをお前に伝えようと思ってたとこだったんだ」

「いや、すぐにわかった。だから俺はお前・・・」

ルークが駆け寄り、手を出したアッシュに・・・宝珠を渡した。

「なんだこれは・・・」

「前に言っただろ。ローレライを解放できるのは、被験者のお前だけだって」

「・・・」

「俺はみんなと一緒に全力でお前を師匠の元へ連れていく。お前はローレライを・・・」

「・・・ろう」

「・・・え?」

「馬鹿野郎!!誰がそんなことを頼んだ!」

「何を怒ってるんだよ。一緒に師匠を止めないっていうのか?俺がレプリカってことがそんなに・・・」

「うるせぇっ!大体何時までも師匠なんて言ってるんじゃねえっ!」

「・・・アッシュ」

「しかもこの期に及んでまだ止めるだぁ?何時までもそんなことを言ってる奴に、何が出来る!お前甘過ぎなんだよ!あの人は・・・本気でレプリカの世界を作ろうとしている。それが正しいと思ってる。・・・確信犯なんだよ。俺が馬鹿だった。もしかしたら・・・こんなレプリカ野郎でも協力すれば奴を倒す力になるかもしれねぇって」

アッシュはどんどん捲し立てる。

「お前は俺だ!そのお前が自分自身を劣ってるって認めてどうするんだ!俺と同じだろう!どうして戦って勝ち取ろうとしない!」


アッシュの怒りは全然収まらない。

「どうして自分の方が優れているって言えない!どうしてそんなに卑屈なんだ!」

「違う!そんなつもりじゃない。第一、俺とお前は違うだろ」

「・・・な、何・・・」

「俺はお前のレプリカだ。でも俺は・・・ここにいる俺はお前とは違うんだ。考え方も記憶も生き方も」

「・・・ふざけるな!劣化レプリカ崩れが!俺は認めねぇぞ!」

「お前が認めようと認めまいと関係ない。俺はお前の付属品でも代替え品でもない」

アッシュはルークに宝珠を投げる。

「アッシュ!何をする・・・」

「おもしれぇ!ならばはっきりさせようじゃねえか!お前が所詮はただの俺のパチモンだってな!」

「アッシュ、俺はお前と戦うつもりはない!」

「うるせぇっ!偉そうに啖呵を切っておいて逃げるつもりか?お前はお前なんだろう?それを証明して見せろ!でなけりゃ俺はお前を認めない!認めないからなっ!」

ナタリアの静止も聞かず、エルドラントで待つと言ってアッシュは去る。


「・・・ここに来て立場逆転か・・・」

ルークは死を目前にして、人になった。だがアッシュは自立したルークを認められず、衝突した。・・・この戦いは避けられない。・・・そしてケセドニアに到着。

「作戦決行は明日。マルクト・キムラスカ連合と合流した後になります」

「ってことは今日1日は時間があるよな」

「ええ。出兵前の兵士には24時間の自由行動が与えられますからね。その間は暇があります」

「じゃあ、私達も自由行動しようよー!」

「構いませんよ。ですがケセドニア付近からあまり離れないように」

「は~い♪じゃあ撫子、黒羽、ナタリア、行こう!」

「は、はい」

「ああ」

「よろしいですわ」

「知也、君の銃を見せてくれないか?前から気になってたんだ」

「ああ、構わないぜ」

みんながそれぞれ散っていく中、ルークとティアはノエルに連れられて何処かに行った。















「んで、俺はアンタに付き合ってる訳だが・・・」

俺とジェイドは酒場にいた。

「もう少し気の効いた場所で飲みたかったですけどね」

「なあ、ジェイド。この一件が済んだらどうする?」

「私は軍人ですからね。普通に軍生活に戻るだけですよ。ただ・・・」

「ただ?」

「おかしいですね。私は帰ったら改めてフォミクリーの研究を再開したいと思っているんです。レプリカという存在を、代替え品ではない何かに昇華するために」

「・・・変わったな」

「変わったのは私達全員ですよ。・・・ところで、いいのですか?アリエッタは・・・」

「・・・勝っても負けても消えるのは変わらないんだ。それに・・・どうもアリエッタにそういうこと言えなくてな・・・」

「・・・最初の頃から、あなたはアリエッタが絡むと判断がおかしくなりましたね」

「正しくは家族が絡むと・・・だ」

「では、リグレットとエイは平気ですか?」

「・・・」

「間違いなく彼女達はエルドラントで待ち受けているでしょう。あなたは・・・」

「・・・殺させない。二度と家族は失いたくないんだ」

「それはリグレットも同じでしょう。彼女はあなたを失い、預言の真実を知ってヴァンに加担した」

「・・・だったら俺が生きている時点でその加担する理由はないぜ。・・・姉貴ってさ、昔から一度決めたら意見を変えない頑固な人でさ。だから恋人もできないし、部下からも鬼教官って恐れられるわ・・・」

「ははは。思わぬ情報ですねぇ」

「・・・だからこそ。俺だけが本当の姉貴を知ってたんだ。厳しいけど・・・本当は優しい人だって」

「だったら意地でも説得しなさい。もし駄目なら・・・汚れ役は私が引き受けます」

「・・・じゃあ、ジェイドに出番はないな」

「そうですか。なら結構です」

・・・こんな話をしながら、時間は過ぎていく。そして翌日・・・


「よし、ルーク。最後だし、号令かけてよ」

「お、俺が?」

「だってもうあなたがリーダーのようなものよ」

ルークはみんなを見渡したあと・・・

「わかった。みんな、必ず俺達の世界を守るぞ!!」

アルビオールはエルドラントの下で待機。あとは軍隊が援護してくれるまで・・・


「な、なんだ?」

いきなりアラートが響く。

「ルーク!あれっ!?」

ティアが焦りながら上を見ると・・・なんとエルドラントが突っ込んできた。

「お・・・おいおい!?」

なんとか対空砲火も回避する。

「なんとか逃げられたけど・・・」

「まさかあちらから飛び込んでくるとは・・・しかもエルドラントは特攻する推進力を得るために記憶粒子を逆噴射した。おそらく地核のタルタロスは完全に破壊されたでしょうね」

ズガン!

「・・・くっ!エルドラントが落下しても対空砲火は生きているようです」

「・・・いえ、待ってください。エルドラントの左翼・・・と言っていいのか、とにかく左の対空砲火が死んでいます!」

「了解!そこに着陸します!」

ノエルは勢いを殺さずに安全地帯に着陸する。・・・そして・・・

「あれ、アストンさんのアルビオールだろ!?」

「そう言えば三号機はアッシュが乗り回していたな」

大破したアルビオールの中からギンジさんが歩いてくる。

「お兄さん!?あの対空砲火を潜り抜けたの!」

ノエルがギンジに駆け寄る。

「危険だが、そうするよりなかった。迎撃装置の死角から飛び込んでアルビオールの船体をぶつけたんだ」

「無茶をする・・・」

ギンジはノエルに任せ、俺達は内部に入る。


ダン!

「来たか・・・」

「ローレライの鍵、渡してもらおう」

やっぱりジゼルか・・・

「みんな、下がってくれ」

「咲さん・・・」

俺は空間からベルヴェルクを取り出す。

『咲さん・・・』

「悪いな。今回は・・・ジゼルと同じ武器で行きたい」



『分かったッス・・・気をつけて』

「ああ」

俺はジゼルの前に立つ。

「・・・どうあっても私の邪魔をするのか」

「それはこっちの台詞だよ。ジゼル、なんでヴァンに加担する?」

「預言を滅ぼす為だ。預言が存在していたら、人の意思など存在しないも同然だ」

「・・・じゃあジゼルの意思は?ジゼルだって振り回されてるんじゃないのか?」

「私は自分の意思で閣下に協力している。あの方は私を孤独から救ってくれた」

「・・・ったく、姉貴も変な奴に惚れたもんだ。相変わらず男の見る目がないな」

「・・・戦場で無駄口は死に繋がる。分かっているだろう」

「・・・ちょっと怒ったみたいだな。・・・なあ姉貴・・・俺に色んなことを教えてくれたよな」


「・・・」

「戦術や戦法・・・だけど俺はどう足掻いても姉貴に一度も勝てなかった」

「当たり前だ。私が簡単に負ける訳ないだろう」

「ああ。だから俺は不安になった。姉貴に認めてもらってない。姉貴の中じゃ俺は弱いままなんだって」

「・・・」

「だから・・・もう話し合いはいらない」

ベルヴェルクを構える。

「今日こそジゼルから一本取る!そんで俺達の意思を知ってもらう!」

「・・・やれるものならやってみろ!」

「・・・認めさせる!俺が・・・俺が力を得たかったのは・・・!」

ジゼルが撃つ弾を避けながら、俺もベルヴェルクを撃つ。

「ダァ!」

弾を避け、前に転がりながら蹴りを放つが、それをジゼルは防ぎ、銃口を向けてくる。

「・・・っと!」

それを再び転がって避け、膝を立てながらベルヴェルクを撃つ。

「くっ・・・まだ甘い!」

ダァン!

弾が腕を掠める。

「まだだ!」

背後に飛び、空中でベルヴェルクを乱射し、弾幕を張る。

「その程度で!」

ジゼルは華麗な身のこなしで弾を全て避けきる。

「ちっ・・・」

オリジナルのベルヴェルクなら全弾当てるのも可能なのに・・・!



「それで終わりか」

ジゼルが銃を構える。

「トール!」

ミサイルを発射。爆風で視界が見えなくなる。

「なに!?」

「アサルトスルー!」

肩から相手にタックルをぶちかます。ジゼルは吹っ飛ぶ・・・かに見えたが、

「・・・ふっ!」

自ら体を仰け反り、手を付き・・・そのまま反動で俺の頭を足で挟む。

「しま・・・」

「・・・せいっ!」

ジゼルが勢いで仰け反り、俺の体もそのまま脳天から叩きつけられる。

「ぐっ・・・お・・・」


揺れる視界を気にせず、すぐに飛び退ると俺がいた箇所に銃弾が撃ち込まれる。

「・・・ふー・・・」

「・・・なるほど。確かに強くはなっている。だが・・・」

ジゼルの頭上に火の玉が出現する。

「・・・その程度で勝てると思うな!」

火の玉が打ち出される。・・・避ける余裕はない。

「バレットレイン!」

ズガガガガガ!

「フェンリル!」

ドドドドドン!

「ちぃ・・・もう一度トール!」


ズガァァン!!

遂に火の玉を撃ち破った・・・瞬間だった。

ズガァ!

「ごは・・・」

ジゼルの膝蹴りが直撃していた。

「注意力が足りない」

「・・・!!」

すぐに距離を取る。

「その選択は安易過ぎたな」

ジゼルの周りに音素が集まる。・・・しまった!秘奥義か!?

「これで終りだ!プリズムバレット!!」

光線が俺を貫く。

「があっ・・・!」
『咲さん!!』


また・・・負け・・・?・・・いや!

「勝つんだ・・・今日こそ!」

足を踏ん張り、硬直しているジゼルに向かって踏み込む。

「なんだと!?」

「ウオオオオ!」

全弾ジゼルに叩き込み、身体を捻りながら飛んで更に撃ち込み、ベルヴェルクを合わせる。

「ヴァルキリーベイル!!」


ズガァァン!!

ジゼルの体がゆっくりと崩れる。

「・・・ジゼル!」

俺はジゼルを抱き抱える。

「・・・初めて、初めて姉貴に勝った・・・」

「・・・ええ、強くなったわね・・・」

「・・・なあ、姉貴。預言なんて単なる可能性の一つなんだ。それに、みんな預言を必要としなくなってきてる・・・」

「・・・そうじゃないわ。少なくとも・・・預言は存在するだけで・・・駄目なのよ」

「でも、俺は生きてる」

「・・・」

「止めよう、ジゼル。姉弟で殺しあいなんて馬鹿げてる」

「ここまで来て・・・今更ジゼルに戻れないわ・・・」

「ならリグレットのままでもいい。俺はただ・・・これ以上家族を失いたくないんだ」

「サキ・・・」

「預言を無くす方法なんて山ほどある。だから・・・帰ってきてよ」

「・・・私は・・・」

「・・・また、やり直そうよ。ちゃんとお互いの誕生日を祝おう。空白の数年間を・・・新しい思い出で埋めよう」


「・・・サキ」

ジゼルが微笑む・・・が、次の瞬間、急に顔を強張らせて俺を突き飛ばした。

『咲さん!背後に・・・!』

「え・・・?」

その直後だった。・・・雷の刃がジゼルを貫いた。

「嘘・・・だろ・・・」

再び・・・ジゼルの体が崩れ落ちた。

「あ、姉貴ーーーーッ!!!」


「ーーー駄目じゃないかリグレット。ヴァンを裏切ろうとしちゃあ」

「シンク・・・!」

「この!」

知也がシンクを撃つが、シンクはそれをかわす。

「悪いけど、まだ分が悪いからね。もっと奥で待たせてもらうよ」

シンクが居なくなるが・・・そんなのどうでもいい。

「ジゼル!ジゼル!しっかりしろ!」

「サ・・・キ・・・ごふっ・・・」

「ジゼル!あ、あぁ・・・血が、血が止まらない・・・」

頭の中が真っ白になる。

『咲さん!薬ッス!まだクレスさんの薬が残ってる筈ッス!』

「っ!!」

俺は慌てて空間を開き、薬を取り出す。

「ジゼル、これを飲んで!速く!」
何度も吐き出しながらも、ジゼルに薬を飲ませる。

「ティ、ティア、ナタリア・・・お願いだ、姉貴を、姉貴を・・・!」

「ええ!教官を死なせはしないわ!」

「任せてください!」


・・・本来なら、自分の術で助けたかった。・・・だけど、今は・・・二人に任せるしかない・・・

「・・・傷が」

やはりクレスの薬の効果は凄まじい。みるみる内にジゼルの顔色が良くなる。

「ジゼル・・・!」

ジゼルはうっすらと目を開く。

「・・・サキ・・・これを・・・」

ジゼルは自身が使っていた銃を差し出してくる。

「・・・」

「あなたが私より強くなった・・・記念よ・・・」

「・・・ジゼル」

「行きなさい。・・・必ず、戻ってきて来なさい」

「だけど・・・」

「・・・知ってるわ、体の事は・・・だからこそ、帰ってきなさい。あなたの姉として・・・やり直したいから・・・」

「・・・」

「・・・行ってきなさい。私は・・・平気よ」

俺は頷き・・・立ち上がる。

「・・・わかった。行って・・・きます」

「・・・ふふ」

ジゼルは微笑み・・・その目を閉じた。

「ジゼル!?」

「大丈夫、眠っただけよ」

「ここに放置するのは不味い。アルビオールまで運ぼう」

「わ、分かった」

俺はジゼルを抱え上げ、アルビオールに運ぶ。・・・待っていてくれよ、姉貴。必ず終わらせて・・・帰ってくるから。

 
 

 
後書き
サキ
「ふー・・・」

リョウ
「三連チャンス行くか?」

サキ
「詠を助け出せたら三連確定だぜ・・・」

リョウ
「・・・お前は大変だな。相手多すぎだろ」

サキ
「まったくだ。作者は俺に恨みでもあんのかね・・・ま、それじゃまた次回!」

 
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