真似と開閉と世界旅行
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悲願〜
前書き
誰か・・・誰か僕に言語力を・・・!二話連続説得は辛すぎる・・・!・・・ええー、あらかじめ言っておきます。今回は微妙です(泣)ではどうぞ。
俺達は決着をつけるため、急いでヴァンの元へ向かう。
「・・・アッシュは何処だろう」
「アルビオールの様子を見るには、あまり時間は経っていない。すぐに追いつくでしょう」
「そうか・・・アッシュ・・・」
ルークが走る速度を上げる。
「おいルーク!あんまり先ばし・・・」
俺がルークの近くまで寄った時・・・地面の感覚が消えた。
「うおっ!?」
「落とし穴ぁ!?」
「咲さん!」
撫子が影を伸ばしてくるが・・・それより速く入口が消滅し、影が途絶える。そのまま落下していき・・・
ドサッ!
「っ・・・」
俺とルークは何処かの広間に落ちた。
「おまえは・・・」
声がした方向を見ると・・・
「アッシュ!おまえ、どうしてここに・・・」
「フン、こっちの台詞だ。・・・ファブレ家の遺伝子ってのは余程間抜けらしいな」
つまり、コイツも落とし穴に落ちたのか・・・
『・・・間抜けッス』
「お前が言うな」
「レプリカまで同じ罠にかかるとは・・・胸くそ悪ぃ」
「・・・そんな言い方をするなよ!・・・ここを出る方法はないのか?」
ルークが聞くとアッシュはひろまの中央にある紋章に音素を流し込む。すると奥の扉が開くが、アッシュが手を離すと、扉は閉まる。・・・完全に隙間もないため、俺の開閉能力では開くことができない。
「誰か一人はここに残るって訳だ」
それを聞いてルークはアッシュに宝珠を差し出す。
「・・・なんの真似だ」
「どちらか一人しかここを出られないなら、お前が行くべきだ。ローレライを解放して・・・」
「いい加減にしろ!!おまえは・・・俺を馬鹿にしてやがるのか!」
「そうじゃない。俺はレプリカで超振動ではお前に劣る。剣の腕が互角なら、他が有利な奴がいくべきだろう」
「・・・ただの卑屈じゃなくなった分、余計にタチが悪いんだよ!」
「アッシュ・・・」
「他の部分で有利だ?何も知らないくせに、どうしてそう言える。どちらかが有利なんてわからねぇだろうが!」
「だけど俺は・・・」
「黙れ!」
アッシュは剣を引き抜く。・・・その時だった。反対側の入口が開き、一人の少女・・・詠が歩いてきた。
「・・・私の命令は、ローレライの鍵を始末すること・・・」
「詠・・・」
詠は俺を睨み付ける。
「アンタは・・・アンタは一体何なのよ!!」
「・・・」
「私はヴァン総長に助けて貰った!だからヴァン総長の為に戦うと決心したのに・・・アンタを見てると、私がわからなくなる!決心が薄れてしまう!」
「・・・お前、記憶の・・・」
「あの人・・・月って誰よ!?この間からずっとその名前と顔が浮かんで気分が悪いのよ!・・・こうなったのもアンタが・・・アンタがいるから・・・」
詠はサーベルと小太刀を構える。
「アンタを倒せば・・・この苦しみから逃れられる!!」
「・・・いいかレプリカ。これは俺達の存在をかけた戦いだ」
「どっちも本物だろ。俺とお前は違うんだ!」
「黙れ!理屈じゃねえんだよ・・・過去も未来も奪われた俺の気持ちがわかってたまるか!俺には今しかないんだよ!」
「・・・俺だって、いや・・・生きる全ての奴にだって今しかねえよ」
「詠・・・いいぜ、相手をしてやる」
俺はダークリパルサーを、ルークはカトラスを同時に構える。
「奪われるだけの過去もない。それでも俺は俺であると決めたんだ。お前がどう言おうと、俺はここにいる」
「もう説得しても無駄なのは分かった。だけど諦めるつもりはない。全力でぶつかって、必ず思い出させてやる!」
俺とルークが走り出す
「・・・それがお前の言う強さに繋がるなら、俺は負けない!」
「・・・ショック療法だ。一発ぶん殴って直してやる!」
「よく言った。その減らず口、二度と利けないようにしてやるぜ。行くぞ!劣化レプリカ!」
「うるさいうるさいうるさい!倒す・・・必ず倒す!」
ダークリパルサーとサーベルが甲高い音を立てて弾きあう。
『さ、咲さん!いいんスか!?』
「前にも言っただろ。・・・例え傷付けてでも連れて帰るって」
『でも、万が一・・・』
「・・・そん時は、そん時だ。・・・今は最悪を想定する訳にはいかない」
「何を一人でぶつぶつと!」
サーベルと小太刀の連続攻撃をダークリパルサーで弾く。・・・太刀筋が鋭くなってる。
「はぁぁっ!」
「なっ!?」
剣にばかり意識が向いていたせいで、詠が放つ回し蹴りに反応出来ずに蹴り飛ばされる。
「っ・・・!体術まで覚えやがったか」
「・・・アンタを、倒すためよ。私は・・・強くなりたかった」
ガキィン!
詠の一撃を弾き・・・返す剣で斬るが、それは小太刀で軌道を逸らされる。
「だけど、だけど・・・!」
詠の剣に迷いが生じる。
「アンタを倒すために強くなる度に私は思った・・・“私は、誰?”・・・って」
「ふっ・・・!」
カァン!
「そこでアニスがモースに報告したのを聞いた。そして混乱した」
「そう、か・・・!」
「私を知る男がいる。けど、そいつは敵だった。でもリグレットやアリエッタとも知り合い・・・もしかしたら、こちらに来るかもしれない・・・そう思った」
「だけど俺は仲間にならなかった。ヴァンを倒すと決めていたからな」
「私は諦めたわ。記憶なんていらない、今は命を救ってくれた恩を返せればいいって」
「・・・!」
話しながらもお互いに剣を振る手は休めない。
「そしてアリエッタとアニスが戦っていたあの時・・・アンタの言葉で・・・!」
「・・・記憶の混乱が起きた訳か」
「・・・なんなのよ、アンタはサキ・オスローじゃないの!?」
俺は一旦離れ、ダークリパルサーを両手で構える。
「・・・ああ。俺は五十嵐 咲。そしてお前は董卓軍、軍師・・・賈駆文和、真名を・・・詠」
「・・・っ!」
カラン、と小太刀を落として頭を抑え・・・
「くっ・・・また、また気持ち悪い・・・!私に、変なことを・・・言うなぁぁぁ!!」
詠は剣を構えて走り出す。
「虎牙破斬!」
ガキキン!」
「しまっ・・・」
二連撃で防御を崩される。
「終わりよ!」
「く・・・闇よ!」
俺と詠の周りに力が集まる。
「ダークネスバインド!」
「私の目の前から消えろ!魔神・・・煉獄殺!」
ズガガガ!!
二つの秘奥義が激しい衝撃波を生み出す。
「どうして・・・どうして私の邪魔をするのよ!」
「邪魔?・・・あえて言うならお前を連れ帰るためだ!」
「・・・どうしてアンタはそんなに私に拘るのよ!」
「・・・一生傍にいるって約束したからだ!!」
ズガァァン!!
「ぐあ・・・!?」
「きゃあ・・・!?」
お互いに突き飛ばされ、詠が俺より速く立ち上がる。
「どうして・・・どうして・・・」
ヒュオン!
詠が突きを放ってくる。
『咲さんっ!!!』
俺と詠の距離が零になり・・・しばらく、時が止まった。
「・・・どうして・・・」
不意に詠と目が合った。・・・その目には・・・涙が、あった。
「どうして・・・ボクは・・・咲とこんなことをしているのよ・・・」
詠の突きは、俺の脇を通りすぎていた。
「詠・・・お前・・・」
記憶が・・・
「咲・・・ボク、気付いてた・・・だけど、咲を殺そうとした事実を認めたくなくて・・・」
本能的に本来の記憶を封じてた・・・か。
「ボク・・・さ、咲に剣を向けて・・・あんなに酷いことを・・・う、ぁぁ・・・!」
俺は詠を・・・抱き締めた。
「・・・俺も、ごめん。そもそも俺に力があれば・・・詠の手を離さずに済んだんだ・・・」
「咲・・・!ボク、ボク・・・会いたかった・・・!」
「ああ、俺もだ・・・!」
ガキャン!
音がした方を見ると、ルークがアッシュにカトラスを突き付けていた。
「くそ・・・被験者が・・・レプリカ風情に負けちまうとはな・・・」
アッシュがそう言ってルークにローレライの剣を投げる。
「そいつを持っていけ」
「アッシュ・・・俺は・・・」
ルークが何か言いかけた時、神託の盾騎士団が大勢やって来る。
「ここは俺が食い止める!早く行け!」
すると詠は涙を拭い、アッシュの隣に立つ。
「ボクも残るわ!」
「詠!?何を言って・・・」
「俺も一緒に戦う!」
「ざけんじゃねぇ!今大事なことはここの奴等を一掃することか?違うだろうが!」
「止めてくれ、詠・・・俺はもうお前を失いたくない・・・!」
詠は微笑み、俺に指を向ける。・・・その指には指輪が付けられている。
「大丈夫。もう離れないわ。・・・咲、ヴァン総長を・・・止めて」
「詠・・・」
「さっさと行け!」
ルークがアッシュにカトラスを投げ渡し、ローレライの剣を持って走り出す。
「・・・約束しろ!必ず生き残るって!でないとナタリアも俺も・・・悲しむからな!」
「うるせぇっ!約束してやるからとっとと行け!」
「詠、気を付けろよ!」
「ええ、また後で!」
俺もルークを追って走り出す。そしてしばらく先で・・・
「ルーク!サキ!」
「みんな!」
仲間達と合流する。
「無事だったのね!」
「ああ・・・アッシュとエイが助けてくれた」
「アッシュが!?それで彼は・・・」
「敵を食い止めてくれてる」
「詠さんが・・・?咲さん、それって・・・」
「ああ、詠は記憶を取り戻した」
「だったら急ごうぜ。あの二人が何時まで持ちこたえるか分からない」
黒羽の言葉に頷くが・・・
「助けに行きませんの!?」
ナタリアの言葉にジェイドが返す。
「どうしてアッシュが憎んでいるルークを行かせたんです?何か事情があるのでしょう」
「・・・そうですわね・・・でも・・・なんだか嫌な予感がしますの」
「ナタリア・・・」
「気のせいですわよね。ごめんなさい、行きましょう」
詠・・・頼むから死ぬなよな・・・!
後書き
リョウ
「お疲れ。つかおめでとう」
サキ
「ああ!これで後は恋だけだ!・・・っと、もちろん思春と明命もな」
リョウ
「いや、それは・・・」
サキ
「なに今更遠慮してんだよ。俺の“全員連れ帰る”には呉も入ってんだぜ?」
リョウ
「・・・ああ、ありがとう」
サキ
「おう。それじゃ、また次回!」
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