バカとテストと召喚獣~規格外の観察処分者〜
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終戦…そして案の定
前書き
更新が遅れに遅れてすいませんでした!orz
そして翌日、時は放課後
「ねぇ雄二」
「何だ明久」
まるでいつもの騒がしさは微塵もなく、嵐のあとの静けさとも言える程であった
それもその筈
「コレ……僕達、死刑は免れないよね……」
「そうか、なら死刑はお前だけ1人で受けてくれ」
天下分け目とは行かずとも、Fクラス自体にはとても重要であったAクラス戦
その結果は誰もが一瞬Fクラス勝利を錯覚した
だが、実力が物を思うご時世
Fクラスは惜しい所まで行ったが、敗北
その結果とし、机代わりであった卓袱台はミカン箱になった
「元はと言えば雄二が50点台の点数なんて取るから!」
「うるせぇ!何が左利きだ!右だったらお前は勝ててたのか!」
いつもの如く言い合いから取っ組み合いが始まる
「待て明久よ、お主だったら雄二が取った点数すら取れはしないじゃろうに」
「それについては否定しない!」
「いや、そこは嘘でも否定するところじゃろ……」
「……とりあえず、この事をどう説明するか」
「ま、まぁ、正直に言うしかないんじゃないかな?深羅もそこまで鬼じゃないだろうし……」
と言うか、吉井達は本当に深羅の事をどう思っているんだろうか……と飛鳥は心配をし始める程になっていた
「とりあえず今日はもう解散してくれ、これからの事は後々決めて行く方針で行く」
各メンバーは雄二の言葉に頷き、それぞれ帰り支度を始める
「そう言えば、霧島さんの言っていた何でも約束を聞くってアレ。結局どうなったんだろうね?」
ふと明久がAクラスへ宣戦布告へ行った時、どちらかが勝利した時に提示された条件を思い出した
結果としてAクラスの勝利だったため条件が言い渡される筈だったのだが、当の本人は何も言わずに退出していった
「さぁな?俺には関係のない事だしな」
「うーん……気になるといえば気になるんだけど……まぁ、そんなに思いつめたって分かりっこないか。霧島さん本人にしか分からないしね」
土屋や秀吉はその通りだと思い頷いたが、飛鳥本人はどうも胸騒ぎに近い違和感を覚えつつも、教室を後にした
◇
その一方、学校を休んだ深羅は徐々に熱は下がりつつあり、明日には登校出来そうな状態だった
「……何もやることがない……故に暇である」
テレビを付けても建前だけを並べる評論家や政治家、ゲームは気だるくやる気が起きない、漫画本は既に読み飽きてしまっていた
「……つか見舞いの1つくらいあっても良いんじゃないかなーとか深羅さんは思うわけですよハイ」
そんな独り言も深羅以外居ない部屋にただただ虚しく響くだけだった
その時、玄関からインターホンの音が鳴る
「お?もしかして明久達か?とか期待しちゃいますよ今の深羅さんは色んな意味で寂しいですからねぇ」
まだ熱があるのかと疑いそうになりつつ、少しの希望を抱きながら、自室を出て玄関へと向かう
ドアノブへと手を掛けるが、その瞬間謎の悪寒に襲われる
俺はまさかな……と思いつつ、ドアノブを捻り開ける
「……深r」
「スイマセンお引き取り願います」
俺はただ一言そう言ってドアを閉めた
そして一瞬にして断崖絶壁の窮地に立たされたような感覚に襲われた
「……深羅、開けて。中に入れない」
俺は恐る恐るドアを僅かに開き、声の主を再確認する
「……本日はどのようなお話で?拷問ですか?それとも拷問ですか?まさか拷問ですか?」
「……違う、深羅が風邪引いたって聞いて看病しに来た……ちょっとショック」
「そ、そうだったのか……あー、その、スマンかった翔子」
俺が翔子と呼んだ人物は小さい頃からの幼馴染みで、Aクラス代表でもある霧島翔子
学業優秀、成績トップ、容姿端麗、清楚可憐、コイツに当てはまる褒め言葉を挙げればこのような感じだろう
記憶した物は二度と忘れない、と言う某天才軍師と同じ性質を持つ、ある意味超人である
ここまで聞けば完璧超人とも思われるが、ところがどっこい
何を血迷ったのか俺こと、東條深羅に惚れているなどと冗談はヨシ子さん級の事を言っている
気持ちはまぁ、嬉しいのは確かだ。しかし、俺のようなカッコ悪ぃ上に観察処分者、それに不良っぽくて性格悪い奴よりいい男が居ると思う、決して謙遜なんぞ微塵もない。底から思うから俺はその気持ちを受け取れない
「風邪なのに、寝てなきゃ駄目……」
「明日には行ける状態だから大丈夫だっての」
「駄目、病気は何でも治りかけが一番怖いって言う」
むぅ、正論な為反論が出来ぬ
「だから、部屋に戻ってて…キッチン借りるから」
「お、おう……」
翔子に言われるまま、部屋に戻りベットに入る
……何だかいままで浮気だとかでスタンガンとかアイアンクローとか拷問のような仕打ちを受けてきたのに、急に今回になって嘘みたいに優しくなって……もう何か裏があるとかしか思えねぇ……
そんな被害妄想のような事を広げていると、いつの間にか翔子がおぼんに何やら器を乗せて立っていた
「何も食べてないと思ったから、うどん…作ってきた」
「おぉ助かる、ありがとうな」
確かにロクに作る気力も無いため、豆腐やら栄養ゼリーなどで飯を済ませる程度だったから、丁度良かった。
器と箸を受け取り、熱い出汁に浸かったうどんを口にする
「…………」
「……そんな見つめられると、逆に食いにくいんだが……」
「大丈夫、気にしないで食べて」
いや、気にするなと言われても気になるもんは気になるんだっての……
続いて二口、三口目…と啜っていく
「……どう…?」
「どうも何も……フツーに美味い」
「そう…良かった…」
味の感想を聞いた翔子は何やら嬉しそうな笑みを浮かべ、頬を手で押さえるようにしていた
「そういや今日、試召戦争だったんだろ。結果はどうだったんだ?」
「3対2で私達の勝ち……最後に雄二が挑んだ日本史の小学生レベル、ペーパーテストが決め手になった」
とりあえず明日アイツの頭をぶっ叩いてやろうと心に誓った
「ま、満点って事は無かった、だろ?」
「……97点、ちなみに雄二は53点」
ぶっ叩くどころじゃ済まさぬ、ガセ情報流してFFF団に粛清してもらうとするか
「大化の改新、645年……まだ間違ったまま覚えてんのか……馬鹿と天才は紙一重と言うが……混同してるなんて聞いた事ねぇぞ……?」
翔子が小学生レベルの日本史で100点を逃す問題なんて、その1つに限られてる。それも確信が持てる程に
「約束…絶対、忘れないって、私は言ったから」
「……勝手に言ってろ……」
正直、翔子の言った言葉は何故か恥ずかしさを覚え、それを隠すようにぶっきらぼうに答えた
「……風邪、早く治してね?」
「明日には行けるから、心配すんなって」
ごちそうさまと手を合わせ、どんぶりをおぼんに置く
うどんは美味かったし、翔子は変に優しかったが、まぁ良しとしよう。ある意味今日はいい日だったかもしれない
「なら━━」
しかし、その吉日のような今日を疑うような言葉が━━
「明日、デートに行く」
「………ゑ?」
発せられるなど、思いもしなかった。
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