バカとテストと召喚獣~規格外の観察処分者〜
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『Aクラス宣戦布告…の筈だった』
前書き
お久しぶりです風薙です
今回は少し長めです
Bクラス戦から2日後、Fクラスの面子は大方集まっていた。明久へのご親切な教師方の指導も終了した事だしな
雄二は軽く咳払いをし、口を開いた
「まずは皆に礼を言いたい。周りの連中に不可能だと言われていたにも関わらずここまでこれたのは、他でもない皆の協力があっての事だ。感謝している」
「ゆ、雄二、どうしたのさ。らしくないよ?」
その事には俺も同感だ。滅多に感謝の言葉なんざ言わない奴なのに、今回に珍しく口にした…槍でも降るんじゃねぇか?」
「おい、筒抜けだぞ深羅」
「キノセーダ」
……つっても、何かダルいし頭痛ぇんだよな~、風邪か?
「さっきの言動は自分でもそう思う。だが、これは偽らざる俺の気持ちだ」
「勉強や学力だけが全てじゃねぇって所を、教師や上位クラス、ましてやAクラスに見せつけてやれ!」
『おぉ!』
『そうだー!』
『見せつけてやろうぜ!!』
D、Bクラスと言う戦いを勝ってきた自信、そしてクラス全体の指揮を上げてきた雄二と深羅、この相乗効果で更にメンバーの自信を高ぶらせる
「皆ありがとう。そして残るAクラス戦だが、これは一騎打ちで決着を付けたいと考えている」
雄二のその発言にクラス全体がざわつき始める
『どういう事なんだ?』
『東條と学年主席がやるのか?』
『いや、司馬さんとかもしれないぞ?』
『どっちにしろ、相手が飲んでくれる訳が無いだろ』
等々、様々な憶測やら何やらが飛び交う中、雄二は教卓をパンパンと叩く
「落ち着いてくれ、それを今から説明する」
全員が雄二の言葉を待つ
「やるのは当然、俺と翔子だ」
代表戦なのでAクラスの霧島翔子とFクラスの坂本雄二が戦う事は、基本的には当たり前なのだが━━
「バカの雄二が勝てる訳なあぁぁぁ!」
明久が全体に思った事を口にした瞬間、雄二が投げたカッターが頬を掠めた……だからバカなんだっての
「次は耳だ」
「僕らって友達だよねぇ!?」
「あー、ちょいと保健室行って寝てくるわー」
話の腰を折るように言う……いや、実際そうなんだけどね?痛いのよ?頭が
「深羅は一戦目、頼むぞ」
「おー、任せんしゃーい」
気の抜けた返事をした途端━━━
「あ、こりゃヤヴェ…」
バタッ
「し、深羅!?」
「…熱、早めに保健室へ」
「お、おう! 明久は鉄人を呼んでこい!」
◇
「……ん……イツツッ、ここは…?」
目を覚ますと白い天井が広がっていた…真面目にどこ?
「目、覚めた?」
ふと声が聞こえた方を見ると――
「……飛鳥、か?」
「親友の顔すら忘れちゃ…!?」
飛鳥はいきなり顔を背けた……え?え?
「飛鳥? 何かしたのか…?」
「い、いや、何でもないよ!?」
声も上擦ってるし……何なんだ?
◇
何……この美少女とも取れる深羅の顔!?
顔は熱のせいで赤みを帯び、目はトロ~ンとしてていつもの目つきとは違うし、声はハスキーボイスと取れる…髪は長髪の部類に入るくらいだし、ここに吉井君達が来ると……秀吉君と同じ状況になるよ、絶対
「ん~? どうした?」
「す、少し考え事」
…何で深羅にこんな緊張しなくちゃならないの……いつも通りに接すればいい筈なのに、ハァ…
なんて事を思っていると――
「深羅、大丈夫!?」
あぁ…来ちゃったよ…
◇
雄二との作戦会議を終えた明久は、倒れて保健室に運ばれた深羅の元へ向かった……が
な、何なんだこの美少女は……!?
今ベットに居るのは深羅だけの筈、なら他クラスの人かな? いやでもあんな美少女ならムッツリ商会に出回っている筈!?
「司馬さん、深羅は大丈夫なの?」
「う、うん、一応はね…」
何故か少し顔をそらしながら答える……う~ん、どうしたんだろう? まずは深羅の場所を聞いてみよう、伝える事があるしね
「で、深羅はどこに?」
「あー、えっとー、うん……」
何やら口ごもっている……何かあったのかな?
「深羅に何かあったの?」
「いや、そう言う訳じゃないんだケド…ね」
「ん~? お~明久か」
突然美少女に名前を呼ばれた!? って何で僕の名前を……まさかこの声
「……えっと、東條深羅さんですか?」
「ん~? そうだけど?」
僕らの天災鬼神がこんなに美少女な訳がない!?
「嘘だ! あんなヤクザみたいな風格をしている深羅がこんな美少女になるなんてぇぇぇ!?」
「……次は眉間だバカ久」
どこからともなくピンセットが頬を掠った……ハイ、間違いなく深羅さんです
「で、でも何でこんな風格に!?」
キリッ としているいつもの感じとは違い、クールな声の反面見た目は美人と言えるくらいのギャップ!
「……俺の嗅覚を舐めるな…」
「ム、ムッツリーニ!?」
ふと隣を見るとカメラを構え、ムッツリ商会を営む本人……ムッツリーニこと土屋康太がそこに居た
そして深羅に向かってカメラのフラッシュを
焚いている真っ最中である
「……勝手に撮るな康太」
「……例の写真、新作入荷した……」
「…柄は?」
ムッツリーニはどこからともなく4枚の写真を取り出した
「……黒と白、それと例の子も偶然「気の済むまでやりやがれ」……成立」
く、黒と白!?ムッツリーニと深羅は何の取引をしているんだ!?
ま、まさか、女子生徒のスカートの向こうにある桃源郷【アガルタ】の写真あると言うのか!?
「……明久、一応念の為に言っておくが、お前の思っているような写真じゃないからな?」
「……そ、そんな事分かってたさ……」
「だったらその残念そうな顔を止めてコッチを向け」
べ、別に残念とか思ってなんてないんだから!
「で、結局何の写真なの?」
「別にいやらしい写真じゃねぇからんな怪訝そうな顔するなや飛鳥
……ったく、お前ら2人して人をエロ魔人みてぇな言い方しやがって……猫だよ、わりーか」
………へ?猫?
「猫、catだ。何か知らんけど動物に好かれない体質?みたいでな……俺は好きなんだけどなー…」
恐らくそのヤクザ的な風格が問題なんじゃないかなと思ったが、殺られかけないのでそっと心に閉まっておく
「あれ?そう言えば深羅の家に猫居なかった?」
「いや、アイツにはどーやら嫌われてるらしくてな……姉貴しか懐かねぇんだよ………つか、明久は俺に何か用があって来たんじゃねぇのか?」
そういえばすっかり忘れてた!………深羅怒ったりしないかな……?
「あ、それで明日のAクラス戦だけど……司馬さんと深羅は出場不可になったんだ……」
「……やっぱりかー」
深羅の言葉に耳を疑った
「え、深羅はこれを予想してたって事!?」
「いやいや、予想っつーか……どう考えても俺>Aクラスじゃね?出場許可するなんざ自殺行為、そりゃアイツが許す訳ねーよ
……雄二もダメ元で交渉したが、結果的には俺と飛鳥の使用しない戦争になった……だろ?」
……ん?アイツって、Aクラスに知り合いでも居るのかな?クソ雄二はあの霧島さんと幼馴染みとか言ってたけど
「あー……まぁ、翔子が許すわけないよね……この危険分子の二人をさ」
「アレ?司馬さんって霧島さんと知り合いなの?」
「うん、一年生の時にね。あと深羅は坂本君と翔子と幼馴染みだし」
司馬さんはニッコリと笑いながら僕の導火線に松明を落とした
「貴様もかあぁぁぁぁ!!」
「病人相手にカッターを突き付けるバカがいるかど阿呆!こちとら頭痛やら気だるさがマックスなんだよ!」
構うもんか!この異端者を殺った後は雄二、貴様も深羅と一緒に葬ってやる!!
「あ、鉄人」
「!?」
しまった!?鉄人にこの場を見られたら生徒指導室行きは免れない!
確認の為、後ろを振り向くが……
「なんだ居ないじゃ腹部が突き抜けるように痛いぃぃぃぃぃ!!」
いつの間にか深羅の足は明久の横腹を直撃していた
「とっとと帰れバカ久!」
「りょーひゃい……」
横腹を押さえつつしぶしぶ退却した……雄二、覚えておけよ……!!
◆
………頭痛治まったと思ったらまた来たじゃねぇかバカ久が………
「……ま、とりあえず明日は治療に専念って事か……」
「だね…んじゃ気晴らしに賭け、してみる?」
珍しい、飛鳥から賭けを持ち掛けて来るなんて滅多に無いのだが……
「明日の戦争、どっちが勝つと思う?私はAクラスに賭けるよ」
「自分のクラスに希望すらねぇのかよ………ま、部の悪い賭けは嫌いじゃないからFに賭ける」
「それじゃあ、勝った方が敗者へ何でも言う事をきかせるってのはどう?」
飛鳥はニヤリと若干怪しい笑みを浮かべつつ提案した
何でもか………スイーツ巡りでもさせてもらいますかね
と、考えつつ俺もニヤリと口角を上げて笑い
「オッケー、その賭け乗った」
何らかのフラグが建設された気がしたが、頭痛と共に感じた気の所為だと思う事にした
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