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東方変形葉

作者:月の部屋
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変化と不変の入り乱れ
  東方変形葉18話「Let's go 月面旅行 ぱ~と1」

 
前書き
―月へ行く1週間前―
裕海「こんにちは~って、スキマできたのは良いものの、紅魔館には今レミリアと咲夜がいないんだった。とりあえず、図書館と地下に行こうかな。まずは図書館!」
小悪魔「図書館ですか?図書館はあちらです。」
裕海「ああ、どうも・・・で、君は誰?」
小悪魔「あ、そういえば会ってませんでしたね。私は図書館の司書を務めております、小悪魔です。」
裕海「ああ、俺は葉川裕海。よろしく、小悪魔。・・・ところで。」
小悪魔「はい?」
裕海「重くないの?そんなに本を抱えて。20冊はあるよ?」
小悪魔「重いですよ。でももう慣れましたから。」
パチュリー「あら、裕海じゃない。どうしたの?レミィなら出かけてるわよ?」
フラン「あ!おにーちゃんだー!おーにーいーちゃーん!!」
裕海「あ、パチュリーとフラン。いや、ここへはなんとなくできただけだよ。それとフラン?飛びついてくれるのは別に構わないんだけど、顔に抱きつかないで。・・・息が苦しい。」
フラン「え~っ?おにいちゃんは妖怪みたいな人間って聞いたからきっとえら呼吸でもしてると思ったんだけど。」
裕海「・・・えら呼吸っていう時点で妖怪“みたいな”じゃないよね。清々しいほどに立派な妖怪だよね?」
パチュリー「まあせっかく来たんだから、レミィの部屋でも漁って行きなさい。きっといいものが出てくるわよ?」
裕海「友人の発言としてどうかと思うけど、とりあえず本でも読んでいこうかな。あ、ここって本借りられる?」
パチュリー「『借りてくぜ!』と言って永遠に返してこないやつがいるから貸し出しは禁止してるわ。」
裕海「誰?」
パチュリー「魔理沙。」
裕海「ああ~・・・なるほど。」
小悪魔「あの人はかなり厄介ですね。本を借りてい・・・もとい、盗っていくわりには、散らかした本をちゃんと直してから出ていくのですから。下手に怒れません。」
裕海「ふ~ん?人がいいような、悪いような・・・」
パチュリー「性質悪すぎるわよ。下手に怒れないようにするなんて。魔理沙はたまにズル賢いとこがあるからね。まあ今しばらくは魔理沙はここへ来ないから安心ね。」
フラン「ねえねえパチェ、魔理沙はどこへいっちゃったの?」
パチュリー「妹様、あいつは空に向かったのよ。」
裕海「間違ってないけど、誤解を招くよ?」
パチュリー「あいつは、きっと今頃流れ星になって月へ墜落しているわ。」
裕海「誤解招く気満々!?」
 

 
今日は満月の夜。俺は今、湖に来ている。さっき紫がでてきて、少しの間の別れを言いに来た。あれから修行をし、かなり腕を磨けたはずだ。さあて、しばらくの月旅行を楽しんでこようかな。
“虚と実の境界の変化”をいじる。すると、水面の月が半分に割れた。よく見ると、そこから入り込めるようになっている。早速この中へ入る。



そしてついた先は、なんと海だった。あれ?海に何か落ちてる・・・これは、紫の傘?なんでこんなぐにゃぐにゃに・・・なるほど、これは道しるべだ。紫がヒントを与えてくれたようだ。早速その先へ向かう。



しばらく飛んでいると、街のようなものが見えてきた。こっそりと街のはずれの方に着陸し、月の民に混じる。
「しかし、すごいとこだな。人里より技術が進んでる。」
そう呟きながら、目的の建物を探す。すると、それらしき大きな建物があった。門の前には門番がいる。よし、ここは予定どおりに。
「うっ・・・!だ、だれか・・・」
「む、お前は誰だ?・・・お、おい!?どうした!?」
「なんだ騒がしいな。どうした?」
「ん?誰だそいつ。穢れがないところを見ると月の民のようだが。急病だろう、兎どもに保護してもらえ。」
「ああ、わかった。お~い!兎ども!」
よしよし、うまくいった。少し危ないけど、頭痛が起きるように変化させた。いてて、やりすぎたかな。まあ寝たら治る程度のはずだからそのまま寝れば大丈夫だろう。あ、なんかうさみみつけた子たちが俺を持ち上げたな。なんでうさみみつけてるんだろう。あれ、絶対つけてるよね?まあ今はそれはどうでもいいや。ぬ、少し意識が薄れてきた・・・。



今日はなんともおかしな日だったわ。地上へ行き、あの紫色の服を着た若干古臭い妖怪の陰謀をなんとか止めたのはいいものの、お師匠様が伝達してくれなかったらどうなっていたことやら。さすがお師匠様ね。
「豊姫様!」
「あら?なにかしら。」
兎の耳をつけた元気のよい子が何かを伝えに来た。レイセンはもともと元気だけど、この子ぐらい元気でもいいかもしれないわね。で、なにかしら。
「救護室に、正体不明の男を保護しております!お暇でしたらその男の様子を見に行かれてはいかがですか?」
う~ん、『お暇でしたら』って少し失礼な言い方な気がするけど、私はそんなこと気にしないからいいわ。まあ暇だしいいか。
「わかったわ。案内して。」
「はい!」



救護室。ここは本来、玉兎達の手当て室だったんだけど、なぜかいまは仮眠室となっている。まあ手当てする子がいないからかしら。
「この男です!」
見た感じ、なかなかいい顔をしているかなり若い男。穢れが感じられないからきっと月の民だろうと思ったその時、さっきまでいた地上のにおいが男・・・若いから少年ね。少年の体からした。
「・・・どういうことかしら。」
「どうされました?」
「あ、いえ、なんでもないわ。」
地上の者が穢れをもたないはずはない。しかし、この少年からは穢れが感じられない。ただ、地上のにおいが・・・地上のにおいだけが漂う。
「ん、んん・・・」
あら、お目覚めかしら。そうだ、彼に直接聞けばいい話ね。そうしましょう。
「あなたたちは夕ご飯の用意をして頂戴。」
「はい、わかりました。」
部屋から出て行ったのを見届け、少年と話をする。
「大丈夫かしら?何が原因で保護されたか知らないけど。」
「ん?ああ、大丈夫だよ。少し頭痛がしただけだから。君は誰?」
月の民なら私のことは知っているはず。
「私は綿月豊姫。月のリーダーよ。」
一瞬、少年の漆黒の瞳が少し大きくなったが、すぐもとに戻った。
「あ、ああ。俺は葉川裕海。よろしく。」
私の名を聞いても、立ち位置を伝えても敬語にはならない。頭の中で、もうこれしかないと叫んでいる。
「あなた、地上の者ね。」



目が覚め、月のリーダーと早速接触した。ところが・・・
「あなた、地上の者ね。」
あれ?もうばれてる。一見月の民も地上の人たちも変わらないように見えたんだが。誤算だったな。
「どうしてそう思うんだい?」
「だってあなたからは地上のにおいが文字通りプンプンするのよ。月の民なら考えられないわ。」
ああ、なるほど。そういうことか。しかしどうしようか、いきなり強制送還かな?
「普通ならあなたは地上の者とみなし、強制的に地上へと送り届ける。そう、普通ならね。だけど、私はあなたに興味を持ったわ。だからしばらくここにいてもいいわよ。」
なんとまあ、予想外すぎて逆にうまくいったじゃないか。どういうことだ?興味を持ったって。
「まずあなたに聞きたいのは・・・どうしてあなたには穢れがないの?」
ん?穢れ?なにそれ?
「穢れって何?」
「穢れというのは、生存競争で発生するもので、“穢れ”は物から永遠を奪い、生物には寿命を与えるというものなのよ。それは月の民にはなく、地上の者は必ず持っている。だけどあなたは地上の者であるのにもかかわらず、穢れがないの。」
「ふ~ん?つまり・・・不死?」
「不老ね。不死ではないわよ。穢れをしらないなら、あなたにわかるわけがないわよね。う~ん、依姫に聞こうかしら。あ、そうだ。あなたは能力をもっているの?」
「ああ、持ってるよ。“変化”を操る程度の能力。」
「!?なんて恐ろしい能力なの・・・穢れは変化できるものかしら?う~ん・・・」
なにやら考え始めた。その時、扉が開いた。
「豊姫様!お食事の用意ができました!」
垂れ耳の子が入ってきた。
「ごくろうさま、レイセン。」
レイセン?まあそれはいいや。
「あ、豊姫様。その人の事情聴取は終わったのですか?」
「ええ。まあ詳しいことは後ではなすけど、この子はしばらくここで泊ることになったから。」
あれ?確定事項なんだ。まあ目的が果たせるからいいんだけど。
「まあ、そういうわけなんだ。よろしくね。」
「はい、こちらこそ。」
にっこりと笑顔とともに返事してくれた。この子は多分いい子だ。頭を撫でてあげると、うれしそうにしてくれた。
「さあ、歩ける?え~っと・・・裕海でいいのよね?」
「ああ、好きに呼んでくれていいよ。レイセンだったかな、レイセンも好きに呼んでくれていいよ。」
「では裕海さん、こちらですよ。あと豊姫様?間食に桃を食べるのは結構ですが、ほどほどにしてくださいね。」
「おいしいのに~。」



月の料理はすごいうまかった。さすが高等技術。
「どうだった?月の料理は。」
「ああ、おいしかった。月ってすごいな。」
「豊姫様がしてくださった話が本当なら、あなたは特殊な地上の人間なんですよね?」
「ああ、そうだよ。」
「何の目的で月へお越しくださったのですか?」
う~ん、どう言おうか。
「月面旅行、かな。」
廊下で歩きながら話をしていると、静かにすっと誰かが現れた。
「お姉様、ただいまもどりました・・・ところでその人は誰ですか?」
「ああ、そのことは少し長くなるから、私の部屋で説明するわよ。」
それにしても、幽々子はちゃんとばれずに侵入できてるだろうか。まあ大丈夫かな、多分。



続く
 
 

 
後書き
18話です!ついに月に来た裕海。さて、うまくリーダーの気を引き付けることはできるのか!? 
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