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万華鏡

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第七十七話 迫るバレンタインその十三

「ストーリーがね」
「ワンパターンだから」
「変な引き伸ばしも多くて」
「じゃあ里香ちゃんドラゴンボールは」
「好きじゃないわ」
 ジャンプというと語ることを外せないこの漫画もだというのだ。
「だってストーリーがね」
「何か凄いワンパターンよね」
「あの漫画が最たるものよ」
 里香の言うジャンプ漫画のストーリーのワンパターンはというのだ。
「もう一緒でしょ」
「悟空が出るまでの時間稼ぎばかりで」
「ストーリー進まなくてね」
「どれだけ連載してもね」
「悟空以外のキャラクター誰もラストの敵倒せないじゃない」
「本当に見事なまでに時間稼ぎよね」
 あそこまでストーリーがワンパターンな漫画もないであろう、最早そこにあるものはストーリーではないかも知れない。
「アニメだと二十分ね」
「二十分で」
「オープニングとエンディングと次回予告を抜いてね」
「つまり殆ど全部ね」
「殴り合いでやったりとか」
「そんなのばかりだったのね」
「あの漫画は一回見て途中で飽きて嫌になったわ」
 里香にしては珍しくだ、嫌悪と共に話すのだった。
「あんなのないわよ」
「里香ちゃん本当にジャンプは駄目なのね」
「ええ、ライトノベルか」
 若しくはと言う里香だった。
「ガンガンとかサンデーとかね」
「漫画だとそっちなのね」
「マガジンとか」 
 里香が好きなのはそちらだった。
「私そっち派なの」
「とにかくジャンプは駄目なのね」
「ちょっとね」
 実際にはどうしても、と言う里香だった。
「そうなの」
「まあジャンプもなあ」
 美優もだ、両手に鞄を持ってそれを肩から後ろ手にした姿勢で言った。 
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