万華鏡
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第七十七話 迫るバレンタインその十二
「そういうのと一緒で」
「友情もか」
「親友の為なら死ねるとか」
琴乃はシリアスな言葉を出していった。
「全てを賭けるとかね」
「ちょっとそれはないんじゃないの?」
ここまで聞いてだ、里香が琴乃にこう言ってきた。
「それはね」
「ないか」
「ええ、ないわよ」
そうだというのだ。
「シリアスじゃなくてもいいじゃない」
「軽くてもいいの?」
「そんな肩肘張らなくてね」
「軽くてもなの」
「軽いっていうか普通でいいんじゃないかしら」
「じゃあ今の私達みたいなのでも」
「ええ、別にね」
里香はこう琴乃に言うのだった。
「そんな風にシリアスでなくても」
「週刊少年ジャンプみたいじゃなくていいの」
「ジャンプはまたそれしかないじゃない」
「友情、努力、勝利ね」
「それで強引に格闘ジャンルに持って行って」
これで大幅な路線変更をした漫画も多い、それがいいか悪いかはともかくとして今もジャンプを支えている路線である。
「あそこはまた有り得ないから」
「普通じゃないのね」
「最近ジャンプも努力がなかったりするけれど」
とある才能だけで勝っていくテニスの漫画だ、アストロ超人達ですら血の滲む様な努力をしていたがその漫画は全く違っていた。
「あの雑誌の友情はね」
「ないのね」
「ないない、おかしいから」
ジャンプでの友情はというのだ。
「普通じゃないから」
「そういえば格闘だから」
「そう、生きるか死ぬかのジャンルだからね」
「ジャンプの友情は参考にしなくていいのね」
「というか参考にならないわよ」
現実の生活の友情には、というのだ。
「普通でいいじゃない」
「私達みたいなので」
「そう、いいと思うわ」
こう琴乃に話す里香だった。
「こうした感じでも」
「そういうものなのね」
「ジャンプよりもライトノベルかしら」
里香が出すのはこちらだった。
「ああした感じね」
「ライトノベルも結構普通じゃないけれど」
「ジャンプよりは普通でしょ」
里香が言うにはだ、実は里香はジャンプは好きではない。週刊少年ジャンプのワンパターンなストーリー展開や人気作品の露骨な引き伸ばしが嫌なのだ。。
「ライトノベルの方が」
「ううん、そういえばそうかしら」
「そう思うでしょ、琴乃ちゃんも」
「まあね、ライトノベルも色々だけれどね」
「アニメにもなってる作品も多いわよね」
琴乃はこんなことも言った。
「そうよね」
「ええ、そうした作品もね」
「多いわよね」
「ライトノベルは比較的アニメになりやすいわよ」
「それで有名声優さん達も出て来て」
所謂中の人である、アニメとはそうした人達も関わってようやく形成されていくジャンルなのだ。ただアニメになるだけではないのだ。
「グッズとかも出たり」
「当たればお金になるのね」
「ゲームになったりしてね」
「そうよね」
「そう、漫画もだけれどね」
「漫画も。そのジャンプだって」
「ううん、だからジャンプは」
どうしてもだ、ジャンプについてはいい顔をしない里香だった。今もどうにもといった顔で琴乃に話している。
ページ上へ戻る