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久遠の神話

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第百五話 テューポーンその九

「そうします」
「これを全部貰ってもいいのよ」
「これだけあっても使えないですよ」
 上城は苦笑いを浮かべてスフィンクスに答えた。
「とても」
「一生かかってもというのね」
「一体どれだけの価値なのか」
「間違いなく貴方が一生かかってもね」
「使いきれないだけのものですよね」
「それだけのものがあるわ」
「今の貯金でもそれだけあります」
 怪物達と戦ってその一部を手に入れてきたそれでもというのだ。
「ですから」
「今回もなのね」
「ちょっと貰っても」
 これだけあれば、というのだ。
「僕の一生分はあります」
「それでは」
「少しだけ貰います」
 上城は無欲だが欲が全くないかというと違う、やはり少しでも金になるものは貰いたいのだ。だがあくまでだ。
 それは全体の一部だ、それだけでいいというのだった。
「使いきれないだけのお金があっても仕方ないです」
「あればあるだけではないのね」
「それはないです」
 上城の考えには、だ。
「ですから」
「それでは」
「少し貰って後は寄付します」
「わかったわ。ではね」
「はい、そうしますので」
「それに貴方は宝だけでなく」
「力、ですね」
 怪物を倒して手に入れるだ、それだというのだ。
「それは」
「全て手に入れるわね」
「さもないと戦いを終わらせれないですから」
 だからだというのだ。
「そうさせてもらいます」
「そうね。それではね」
「力はです」
 それは、だった。
「全て貰います」
「そうするといいわ。では」
「これで、ですね」
「貴方は勝てる力を手に入れたわ」
 まさに、というのだ。
「魔の剣士にね」
「そうですね、これで」
「貴方は最後の戦いに向かうことになるわ」
「終わらせます」
 絶対にとだ、上城はスフィンクスに答えた。
「そうさせてもらいます」
「その意気と言っておくわ」
「有り難うございます」
「ではね」
「はい、金塊も」
 全て収めた、彼はその殆どを実際に寄付するつもりだ。その寄付の先も既に決めているので問題なかった。
「手に入れました」
「私が出す怪物はこれで終わりよ」
 そのテューポーンで、というのだ。
「後はね」
「僕と加藤さんの戦いですね」
「それだけよ」
 まさにというのだ。
「それではね」
「後は」
「私も貴方と戦おうと思っていたわ」
 ここでだ、スフィンクスはこんなことを言ったのだった。
「貴方に力が足りなければね」
「戦いを終わらせるだけの力が備わっていなければ」
「そのつもりだったわ。けれどね」
「今の僕はですね」
「出来るわ」
 こうだ、上城にはっきりと言ったのだった。 
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