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ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
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ギルド入団

「……何これ」
「何って……見た通りだけど?」
ミザールが強引に着せ掛けたのは、俺の新しい服だった。慣れ親しんだジャギィ装備とは違い、白一色で構成された血盟騎士団のユニフォームだ。
「……雷鳴騎士団でもここまで派手じゃ無かったが」
「地味なのこれしかないからしょうがない」
俺は全身脱力して揺り椅子に座ると、その膝の上にミザールが座り込んで来る。どうやら一緒のギルドになって嬉しいご様子である。
「そう言えばちゃんと挨拶してなかった。ギルドメンバーとしてこれからよろしくね」
「よろしくな。……とは言っても俺はヒラでミザールは第二副団長様だからなぁ」
右手を伸ばし、頭をポンポンと叩き、
「気軽にこんなこと出来ないな……」
「それは副団長権限でOK」
「そうですか……」
俺がそう答えると、ミザールは隣の椅子に座る。
ヒースクリフとの闘いに敗北して二日。俺はヒースクリフの要望通り、血盟騎士団に加入する事になった。まぁ、そろそろギルドに加入せねばと思っていたし、良い機会でもあった。
「ごめんね。すっかり巻き込んで」
「別に気にするな。良いキッカケになったしな」
「なら良いけど……ライト」
いつになく真剣な目で俺を見るミザール。
「前に言ってたこと、教えてくれないかな。何で人を避けるのか………。ユニークスキル使いだからじゃないのは分かってる。ライトの事は昔からよく知ってるから」
恥ずかしい事をよく言えるな。
「教えて、ライト。あなたが人を避ける理由を」
どうやら適当にはぐらかしても無駄な気がするので溜め息を付き、話を始める。
「……俺が人を避けるのは……俺が元レッドだからだ。俺には、死神の定めがあるみたいなんだ」
俺は一つ一つ記憶を思い出しながら言う。
「俺はミザールと始まりの町で離れた後、俺をベータテスターだと思ったプレイヤー達が殺到してきた。恐らく、始まりの町を離れたから、テスターだと勘違いされたんだな。当然、聞く耳を持たない奴等は一方的に俺を攻撃してきた。仕方なく、俺はそいつらを殺した。その時からだ、レッドの烙印を押されたのは。それから一年が過ぎ、グリーンに戻った俺はあるギルドに誘われた。それが、雷鳴騎士団だった」
ミザールの顔を見て俺は続ける。
「俺の噂……<滅殺者>の噂を聞いているにも関わらず、俺をギルドに誘ってくれた。それは俺の心の拠り所になった。メンバーも、俺の事をレッド扱いはしなかったよ。それに、俺にギルマスすら譲ってくれた」
「それは良いギルドだったんだね」
「ああ。でも、俺はその申し出を断るべきだった」
俺は窓の外を見て言う。
「あるとき、俺を軸としたパーティが攻略済みの迷宮区に行った。そこはボスは居ないが、当時の状況から言えば、レベル上げに最適な場所だった。パーティ全員のストレージがいっぱいになったから帰ろうと言うときに事件は起こった。パーティメンバーの一人が、ボックスを見付けたんだ。だが、俺とその他三名は罠だと分かり、必死にそいつらを止めた。が、俺達は無理矢理連れていかれ、そいつらは箱を開けた。途端、アラームが鳴り、モンスターが小部屋に押し寄せた。アラームトラップ、珍しくもないトラップにそいつらは引っ掛かった」
俺はそこで区切ると、再び言い始める。
「俺はクリスタルで脱出しろと言った。だが、そこは結晶無効化空間で、転移結晶は機能しなかった。勿論、少数のパーティがそれらを押し返す事など到底不可能だった。俺と三人はどうにかして脱出しようとしたが、統率が崩れたパーティがまともに機能するわけも無く、罠を発動した奴等は恐慌状態に陥り、逃げ出す事すらしなかった。それを見た三人は俺にそいつらを連れて逃げろと言った。モンスターは自分らでどうにかすると」
「それで………どうなったの………?」
「……俺は双剣でモンスターを倒しつつそいつらの首根っこを捕まえて唯一の出口から一緒に脱出した。それから戻って三人も救出しようとしたけど……その時にはもう、何もかも遅かった………その後、俺はギルマスを辞め、ギルドも辞めた。それからメンバーには会ってない。どうなったのかも、な」
_____お前は人殺しだ!!居るだけで人を殺す死神だ!!
その一言が頭によぎる。
元々レッドだった俺がグリーンに戻っても、レッドの烙印が消える事は無い。だからこそ、俺は人との付き合いを遮断し、尚且つギルドに入ることを躊躇った。………キリトに会うまでは。
「それからギルドが崩れたのは言うまでも無いよ。ギルドを壊したのも、三人を殺したも同然なのも………全部、俺のせいなんだ………だから、俺は罪を背負い生きている。SAO(ここ)で犯した罪を………」
すると、ミザールが俺に抱き付く。
「………なら、私もその罪を一緒に背負う。私も、同じくらい傷付く。……だから、そんな悲しそうな顔をしないで………?」
「ありがとう………ミザール」
俺はミザールの手を握り、そう言った。 
 

 
後書き
何かシリアスな感じに………
ミザール「だからこんなキャラだっけ?」
ライト「俺も。シリアスになると変わるのかここまで」
いやぁ…………あははははは………
ライト「笑い事かこれ」
キャラ代わりはよくあることだ(キリッ
ライト「バカだろ」
ミザール「だね」
………ちょっと、すっげぇ傷付いた。
ライト「ちょっととすっげえを一緒にするな」
ううっ………次回もお楽しみに……… 
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