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久遠の神話

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第百五話 テューポーンその三

 二人でだ、まずは六甲山に入った。そのうえでその頂上に着いた。
 するとだ、そこには聡美が立っていた。聡美は緊張で硬くなっている顔で上城を見ていた。
 そのうえでだ、強張っている声でこう彼に言った。
「では」
「はい、今からですね」
「間もなくスフィンクスも来ます」 
 テューポーンを出す彼女も、というのだ。
「そして正午に」
「その時になればですね」
「荒ぶる神との闘いがはじまります」
「遂にですね」
「もうお気持ちは」
「はい、整っています」
 微笑さえ浮かべてだ、上城は聡美に答えた。
「何時でも大丈夫です」
「そうですか、それでは」
「はい、後はですね」
「私が見させてもらいます」
 闘いの立会人を務めるというのだ。
「それで宜しいですね」
「お願いします」
 上城は微笑んで聡美に答えた。
「それじゃあ」
「はい、それでは」
「私もね」
 樹里は横からだ、彼に言った。
「見させてもらうから」
「そうだね、村山さんもね」
「うん、見させてもらうから」
 彼女もだ、立会人を務めるというのだ。
「上城君が勝つ姿を見せてもらうから」
「それじゃあね」
 こう話してだった、上城はまずはスフィンクスを待った。そしてだった。
 その彼の前にだ、歩いてきてだった。
 スフィンクスが来た、そのうえで上城に言ってきた。
「ではね」
「正午になればですね」
「間もなくよ」
 その正午の時は、というのだ。
「覚悟はいいわね」
「はい」
 一言でだ、上城はスフィンクスに答えた。
「何時でも」
「何時正午になってもいいのね」
「その心構えです」
「わかったわ、それではね」
「正午になればですね」
「あの方を出すわ」 
 スフィンクスはこれまで以上に緊張している面持ちで上城に答えた。
「レプリカにしてもね」
「テューポーンを」
「そう、出すわ」
「オリジナルの大きさは」
「ええ、まさに天を支えられる程にね」
 天球を支えている巨人アトラスに匹敵するまでにというのだ。
「大きいわ」
「けれど僕が相手をするテューポーンは」
「そこまでは大きくないわ」
「そうですか」
「けれどその強さは変わらないわ」
 ゼウスしか相手に出来なかった程にというのだ。
「あまりにも強いから」
「そうですか」
「だから覚悟しておくことよ」
「神々さえも退いたその強さを」
「貴方は相手にするのだから」
 それだけに、というのだ。
「わかったわね」
「わかりました、じゃあ」
「それではね」
 前を見据えたままだ、そのうえでだった。 
 上城は剣を出した、その剣を両手に持って中段で構えてだった。
 正午を待った、彼には間もなく正午になることがわかっていた。
 その正午になった時にだ、スフィンクスが言った。 
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