魔法少女リリカルなのはStrikerS~赤き弓兵と青の槍兵
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本編
一話~出会い
前書き
フォワードたちと会う話です
アーチャーはこれ以降士郎、ランサーはランスで表記します。
6/19改訂を行いました。
side 士郎
目が覚めた。どうやら、まだ早朝のようだ。時計を見ると、午前4時。このまま二度寝というのは性に合わない。
「……朝の鍛練でもするか」
外に出て、干将莫耶と同じ長さの木刀を投影。と、そこへ来客が。
「鍛練か?いいねぇ、俺も混ぜろよ」
「ランサーか、……まぁいいだろう。こいつを使え」
やってきたランサーに投影した木の槍を投げ渡す。
「そんじゃまあ、行きますかねぇ!」
「……フン、来い!」
side なのは
朝、訓練場を見に行こうとして外に出ると、そこには異常な光景があった。
士郎君とランス君の打ち合い。その速さと技術は人間ではないと言う二人の言葉を信じさせるには十分なものだった。しばらくその光景に見惚れていると、フェイトちゃんとはやてちゃんもやってきた。
「ほえぇー。あの二人やるなぁ」
「なのは、あの二人に勝てると思う?」
フェイトちゃんの質問に対し、私は考えを巡らせる。
そして出た答えは……
「遠距離ならともかく、近接格闘だったら私じゃあ勝てないね……。フェイトちゃんは?」
「私も無理、かな。一撃がかなり重そうだからかすっただけでも持っていかれそう……」
「そんなことより……二人とも~そろそろご飯の時間やでぇ~」
どうやらはやてちゃんの声が聞こえたらしく、訓練を中断する二人。
勝負はほぼ互角だったが、若干ランス君の有利で終わったみたいだ。
「ここまで、か。マスターが呼んでいる」
「今回はお前の負けだな」
「なに、本番なら私も遅れはとらん」
「へっ、言ってろ!」
とりあえず、聞きたいことは色々あるけど、まずは朝ご飯を食べてからだね。
side はやて
朝食の後、昨日聞けなかったことを聞くために二人を部隊長室に呼ぶ。
なのはちゃんとフェイトちゃんも呼んである。
「さて、昨日聞けなかった事について話してもらおか」
「あ、私からいいかな?」
最初に質問したのはなのはちゃんだ。
「なのはちゃん何か聞きたいことあるんか?」
「二人の訓練を見たんだけど、明らかに使い魔っていうレベルじゃないよね?」
それは私達皆の疑問だ。使い魔とは主の魔力で現界するのだから主のサポートをするのが普通だ。
それにしては二人の技量は高すぎる。
「……隠しだてすることでもない、いいだろう。そもそも私たちサーヴァントは過去に活躍した英雄、その魂だ。まぁ私は例外なのだがな。そして私たち英霊は自信が英雄になった象徴……まあ、武器や魔術などのことだな。それを宝具と呼び、基本的に一人一つ持っている。こいつはゲイ・ボルグ、私は自信の心象風景を具現化する魔術だ」
「魔術?魔法じゃないの?」
魔術?それってオカルト的な…アレか?
「魔法は使えん。私の知る限りでは魔法使いは世界に数人しかいない」
「え!?私たち魔法使うけど………」
「なんだって?」
「なんだ、お前知らなかったのか?」
彼らの言うことと私達の知ることは色々と差違があるようだ。
「どうも意見の食い違いがあるみたいや。士郎の知る魔法ってどんなや?」
「私の知る魔法は並行世界の運営、魂の物質化、後は第五魔法『青』。これくらいだな」
なんかいよいよオカルトチックになってきたなあ。それにしても並行世界、か。もしかしてこの意見の食い違いは……
「ねえ、並行世界って何?次元世界とは違うの?」
ここで知りたがりのなのはちゃんが並行世界について聞いた。私の知ってることと違いがないともいえない為、士郎の話しに耳を傾ける。
「いや、私の知る並行世界は地球からまた別の地球に渡る……つまりは自分Aがいる世界と自分Bがいる世界と……む、この表現はわかり辛いか」
「いや、十分わかりやすいよ。それと、これは私の推測に過ぎんのやけど、今の二人の状況がそうなのかもしれへんよな?」
「確かに有り得ない話ではないな……」
士郎と私で考えを巡らせていると、フェイトちゃんがおずおずと手を上げて発言した。
「ええと、つまり私たちの知る地球と、士郎たちのいた地球は同じ地球と言う名称を持つけど、違う世界、ってこと?」
「ま、そーゆーことになるんじゃねーの?」
ランスが同意するが、ノリが軽い為緊張感が欠ける。
そんな訳で私は咳払いして一呼吸置くと話し始めた。
「つまりや。私らも士郎たちも、同じ地球と言う名称の星にいたけど、二人がいた地球とは違う世界やったってことやろな。管理局で仕事してても魔術なんてのは聞いたことあらへんし、私達のいた地球で魔術なんてものは伝承でくらいしか聞いたことはない。これで決まりやろ」
私の完璧な説明に対し、さして興味を示した様子もなく質問を続けるなのはちゃん。
「なるほど~、それで、士郎君の魔術の心象風景の具現化っていうのは?」
「私の場合は無限に剣を内包した世界を作り出す。一度見た剣や槍などは手元にその偽物を作り出せる世界だ。さきほど使っていた木刀などもその一端だ」
「へぇー。それより、ランス君のゲイ・ボルグ?だっけ?どこかで聞いたことあるような気がするんだけど………」
なのはちゃんは本当にものを知らんな………ゲイ・ボルグなんて有名すぎるって言うのに……
「ゲイ・ボルグはケルト神話のアルスター伝説の英雄クー・フーリンの槍で、与えた傷を治らなくさせる呪いの槍だよ」
「へぇ~。フェイトちゃんよく知ってるね」
「なのははもう少し勉強した方がよかったんじゃ……それより、ゲイ・ボルグが象徴てことは……」
そう。彼の伝承は私も読んだことがある。ただ、イメージが目の前のチャラ男とはかけ離れてるとは思うんやけどな。
「そう。俺の真名はクー・フーリンだ。ま、でも呼ぶときはランスでいいぜ」
「偽名だったってこと?」
フェイトちゃんがそう聞くが、奴のあの名乗りには同じ匂いを感じた。つまり……士郎を弄る為の名乗りだということを!
「英霊は正体を隠すものだからな。私のような例外なら名前を教えたところで知っている者などいないが」
もっとも、当のいじられた本人は完全スルーを決め込んだようだが。
「士郎君の言う例外って?」
ここでまたもや知りたがり姫の質問コーナー。
「私は未来の英霊なのだよ。だからエミヤシロウという英霊を知る者はいない。英霊はその知名度により力に違いが出るものなのだが……と、私の事情より、私たちのこれからについての話をしようではないか」
えー。気になるのにー。と言いたいのをグッとこらえて指示を飛ばす。
「それは部隊長の私から。士郎は六課の部隊の一つ、スターズ分隊センターガードをメインに、状況によっては他のポジションもやってもらうよ。ランスはライトニング分隊にガードウイングとして入ってな。士郎はなのはちゃん、ランスはフェイトちゃんに従ってもらうで」
「心得た」
「へーい」
この後は、管理局や魔法、ロストロギアについて少し詳しく説明し、二人からは魔術回路や聖杯、サーヴァントシステムについての話を聞いた。とりあえず、二人が能力を隠して戦うことが出来るようにとデバイスを作ることにした。この二人の力、どれほどのものかは完全には把握していないけど、間違いなく生きるロストロギア扱いになるだろう、という事への配慮。二人は、私たちの危機の時のみ本来の戦い方で戦う、という条件付きで納得してくれた。
最終的にフォワードメンバーに交じって午後の訓練に参加するところまで決めて、一旦解散となった。
…………………………………………………………………
昼食のために食堂へ行こうとすると、ランスがポツリと呟いた。
「そういえばおまえ料理がうまかったよな」
漏らした情報を逃すようなことでは捜査官は務まらないッ!
「貴様また余計なことを………!」
「へぇ、それは食べてみたいなあ」
「私もー」
「二人とも、士郎に迷惑じゃ……」
なのはちゃんはノってくれたのにフェイトちゃんときたら……(中学の時の委員長はアリサである。フェイトはすずかと共に副委員長をしていた。)
「……構わんよ。どうせこいつは私がうんと言うまで引きずり続けるだろうからな。厨房を借りるぞ」
だが、士郎は簡単に折れた。もしやこいつ、女の頼みに弱い……?
…………………………………………………………………
で、士郎の作ったものは………鯖の塩焼きとだし巻き卵、豆腐の味噌汁という純和食やった。
「……うちより上手い………やと!?」
「ほんとだ……すごいおいしい……」
「士郎君ほかには何が作れるの?」
「和、洋、中と何でもできる。デザートがご所望なら作ってきてもいいが?」
デザートとして作ってきたあんみつも格別やった。
ちきしょう。なんか悔しい。でも美味いッ!
side なのは
午後の訓練。二人の力を見せてもらうため、ガジェットとの模擬戦をしてもらうことにした。
まずは士郎君から。
「アレを破壊するのか。いいだろう。投影、開始」
士郎君が出したのは色違いの二つの剣。鉈のような形状をしている。ガジェットは最高レベル設定を二十体。はやてちゃんからはなるべく主戦力はすべて出して戦うように指示が出てるから、士郎君の主武器はあの剣なのだろう。
士郎君はガジェットの攻撃を楽々避けて二体を片手の一撃でそれぞれ仕留める。
次に弓を出して、矢……いや、剣?を番え、放つ。
「行け。赤原猟犬!」
その矢……いや、剣?で十体を破壊した。しかも貫通しても威力は落ちないし、軌道は直線じゃなかったし。まるで自動追尾のように飛んでいた。
さらにもう一発、すらりとした刀身を持つ剣をだし、何かを呟く。すると剣は見る見るうちに捻じれていく。そしてそのままその剣を放つ。
「投影、重装I am the bone of my sword.偽・螺旋剣Ⅱ!」
闘技場に散り散りになっていたガジェットの残りを闘技場の半分ごと破壊した。直撃したところには大きなクレーターが出来ていた。
所要時間16秒。………異常すぎる。
ランス君も似たようなものだった。見事な槍さばきと投擲でガジェットを一掃。所要時間は14秒。
この二人が本気だしたら非常に危険だという事はよくわかった。フォワード陣は言葉が出ないみたい。そりゃ自分たちがあんなに苦労して倒したものを瞬殺されればああなるよね。
そのあとの訓練では二人とも木刀と木の槍だった。最後の対私戦では「私たちが参加してはこの子たちのためにならん」って言って見てただけだったけど私が飛ぶのを見てとても驚いていたのは少し可愛かった。
訓練後、ティアナが士郎君に、エリオがランス君にいろいろ聞いていた。同じポジションだからだろう。
「士郎さんってなんでそんなに強いんですか?秘訣とかあります?」
「ランスさんの槍って普通の武器じゃないですよね?凄い魔力を感じます」
矢継ぎ早に質問する二人。とりあえず止めないと!!
「二人とも、士郎君もランス君も出自やレアスキルについては最重要機密だからあまり触れないでね。それに明日からは二人もデバイス使うから」
「まあなのは。少しくらいならいいだろう?私は非才の身でね。ただひたむきに鍛え続けただけだ」
「俺の槍は特別製だ。これ自体に魔力が通ってる代物だからあれくらいなら造作もねぇこった。」
せっかく二人のためを思って止めたんだけどな……どうやら二人の認識ではティアナたちはまだ子ども扱いみたい。
「士郎さん、私に訓練をつけてください!」
「僕もランスさんに槍の扱いを教えてもらいたいです!」
熱心な二人。しかし、彼らは首を縦に振りはしなかった。
「君には私のような戦い方は向いていない。私よりなのはに習った方が君のためになる。君は狙撃兵だ。銃と弓ではいろいろと違うからな。私から言えることは今の君は一つのことを極めるべきだ、という事だけだ」
「俺が教えてやるのは槍という武器の特性、後は槍兵としての基礎だけだ。後は自分で身につけろよ、エリオ」
「「はい!」」
ティアナもエリオも納得したみたいだ。それに私としては二人の戦い方は命を危険にさらすやり方だったから二人にはあまり真似してはほしくない。
そんなこんなで訓練は終了。隊舎に戻る。
明日からは士郎君たちにも魔法の練習をしてもらわないとね。
side 士郎
この世界に来て驚いたのは投影物がランクダウンしていない、と言うこと。
だが、同時に問題点も出てきた。干将、莫耶なら問題ないが、フルンディングを投影してわかったことがある。
自身の魔力が少ない。カラドボルグも魔力不足でほぼ魔力を込めずに放つことしかできなかった。
しかし、今はそれよりも目の前のことだ………
「マスター、これはどういうことだ?」
隊舎に戻るなりマスターが割烹着……それも明らかに私用のサイズだ……を持って立っている。
「何って……士郎の仕事着やないか?」
「……なんでさ」
エミヤシロウの食堂勤務が決まった日であった。
この後、食堂の人気が上がったとかどうとか。
後書き
一話です。
スバルとキャロ出せんかった………
多分次出す……と思います
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