ジェネレーション=ミュージック
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第四章
第四章
「へえ、こうした曲もあったのかよ」
実はサザンは全くノーマークの軍平だった。
「成程な」
聴きながら頷くことしきりだった。サザンは最新曲まで聴いた。数多くの名曲もまた。そのうえで今度はTubeでありとにかく何日もかけてじっくりと聴いた。そしてその頃。軍平と美智代の父である学もお母さんからCDを受け取っていたのであった。
見れば本当に軍平そっくりの顔だ。額の広さが違うだけだ。それだけそっくりだったが見ればギターを持っている。その持ち方もそっくりである。
そのそっくりの腕の動きでギターを使っている。そうしながらお母さんと話をしていた。
「何だよ、今の曲はこんなのか」
「そうよ」
お母さんはお父さんのその言葉に頷くのだった。
「今のはね。美智代から借りたのよ」
「ええと。TMレボリューションか」
赤い髪の男のヴォーカルだった。
「名前は聞いたことあるぞ」
「名前は、なのね」
「そうか。こんな曲か」
そのTMレボリューションの曲を聴きつつうんうん、と頷く。
「こうした曲か」
「どう?」
「どうって言われてもな」
まずは戸惑う顔になっているお父さんだった。
「何かな」
「私達の時代とは全然違うわよね」
「アイドルの曲もな」
今度はジャニーズの曲を聴いている。
「同じバラードでも全然違うな」
「少年隊とか光GENJIとはね」
「服装まで違うな」
そこまでチェックしているお父さんとお母さんだった。ジャケットも見ている。
「まあセンスはな」
「それだけは相変わらずね」
「相変わらず服のセンスとグループ名はな」
それはどうにもこうにも納得できないものを感じている二人だった。
「無茶苦茶だな」
「そうね。けれど同じなのはそれだけでね」
「音楽は本当に変わったな」
「ええ」
お母さんはお父さんの言葉に対して頷いたのだった。
「それはね。完全にね」
「違うな」
「女性アイドルだってね」
「俺達の頃っていえば」
自分達の時代も思い出す。
「中森明菜。よかったよな」
「明菜ちゃんは最高よ」
お母さんは中森明菜という名前ですぐに反応した。
「アイドルとしては松田聖子が最高だろうけれど」
「聖子ちゃんは無敵だよ」
お父さんは聖子で反応した。
「明菜ちゃんもいいけれどな」
「ふふふ、相変わらず聖子ちゃん好きね」
「そっちこそ明菜ちゃんなんて今だに言ってるじゃないか」
「お互い様ってことね」
「今はアーチストっていうのか」
その呼び方にもどうにも抵抗があるようである。
「安室はまだわかるな」
「私達の年代の中間でね」
「それでも。浜崎あゆみになると」
「中島美嘉いいじゃない」
お母さんは彼女が気に入ったようである。
「まあアイドルじゃなくて完全に歌手だけれどね」
「まあそうなるな。工藤静香も最初はアイドルだったけれどな」
「そういえばそうだったわね」
「問題はだ」
そしてお父さんの顔が何時になく真剣なものになった。
「これだな」
「そうね。ハロプロ」
「モーニング娘。か」
二人がとりわけ注目したのは女性アイドルグループだった。まずはハロプロ、そしてAKB48であった。
「おニャン娘クラブみたいなものだよな」
「それ意識してるらしいじゃない」
「これがか」
曲を聴いてそのジャケットを見てお父さんもお母さんも唸る。
「子供いる娘はいいとしてな」
「ウルトラマンとね」
「それでもだ」
お父さんの口は尖ったままだ。しかもそれはさらに尖っていっているようでまるでひょっとこのようになっていた。
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