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久遠の神話

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第百話 加藤との話その十四

「間違えないでね」
「わかってるよ、僕はバニラだね」
「お父さんはチョコレートでね」
「お父さんチョコレートのバニラ好きだね」
「そうなの、昔からね」
 父はだ、アイスクリームはバニラが好きだというのだ。
「あれが一番好きなのよ」
「家族でそれぞれ好みが違うね」
「だって家族でも違う人間だから」
 好みがそれぞれ違うことも当然だというのだ。
「当たり前じゃない」
「それもそうだね」
「そう、それじゃあね」
「ええ、御飯を食べてからね」
 それからだというのだ。
「デザートよ」
「それじゃあそっちも楽しみにしてるね」
 笑顔で応えた上城だった、母との二人の夕食も楽しんだのだった。デザートも含めて。
 そのうえで戦いの日々を続けていた、この時も。
 空を舞う竜を倒した、そのうえで闘いを見ていたスフィンクスに問うた。
「これでまた、ですね」
「ええ、強くなったわ」
 怪物を倒しただけのものを備えたというのだ。
「確かにね」
「そうですよね」
「ええ、ただね」
「加藤さんはですね」
「まだ貴方より強いは」
 スフィンクスはこう彼に話した。
「今以上にね」
「そうですよね」
「最後にはとっておきの相手を出すわ」
「どんな怪物ですか?」
「ギリシアにおける最強の怪物よ」
 それを出すというのだ。
「そしてね」
「その怪物を倒して」
「ええ、力を備えることよ」
 こう彼に言うのだった。
「そうしてね」
「その怪物は」
「貴方も知っている怪物よ」
「僕もですか。それは」
「その時にはっきりわかるわ」
 スフィンクスがその怪物を出してきた時にというのだ。
「だからいいわね」
「はい、今はその怪物の名前はですね」
「伏せておくわ」
「僕が既に知っていますか」
「最強の怪物としてね」
 そうだというのだ。
「会っているわ」
「ではその怪物を」
「倒しなさい、必ずね」
「わかりました」
 上城はスフィンクスに確かな声で応えた、そのうえで彼は今は戦いを止めた。だがここでスフィンクスは彼にこうも言った。
「ただ。私もね」
「貴女もですか」
「怪物ということは覚えておくのよ」
 このことはというのだ。
「確かに今は闘わないけれどね」
「それでもですか」
「気が向いたその時は」
「僕ともですか」
「ええ、闘うかも知れないわよ」
 このことを言うのだった。
「あくまで気が向いたらだけれどね」
「そうですか、ではその時は」
「私を倒すのよ」
「そうさせてもらいます」
 こうした話もしてだった、そのうえで。
 彼は今は日常に戻った、そうして次の戦いまで英気を養うのだった。


第百話   完


                       2014・2・22 
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