東方変形葉
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日常の中に潜む非日常
東方変形葉6話「侵入者あらわる!」
前書き
フラン「ねーお姉さま、そのおもしろい人間って強いの?」
レミリア「そうね、魔理沙を倒したくらいだから強いんじゃないかしら。」
フラン「わーい!今度連れてきて!」
レミリア「ええ。はしゃぎすぎてうっかり壊さないようにしなさいよ、フラン。」
「裕海、これだけは覚えていて。今から戦う相手は、スペルカードルールなんて知らないの。つまり・・・」
「ただの殺し合いになってしまう、ということか。」
スペカ戦は、命が保障されることが多い。だが、ただの殺し合いとなると話は別だ。
「そう。でもこの幻想郷を血で汚したくはないの。だから、殺さないように、殺されないように気をつけなさい。」
「ああ。」
俺の能力はかなり制御できるようにはなったが、まだ人の心の変化を操れない。これができたら無血の解決ができるのだが・・・
「じゃ、スキマ開くわよ、いいかしら?」
「ええ。」
「ああ。」
俺たちの了解を確認すると、紫はスキマを開いた。そこには10人ぐらいの妖怪がいた。
『きたぞ!この世界の守護者だ!やれ!』
一斉に妖怪たちが襲い掛かる。俺たち三人は同時にスペルカードを唱える。
霊符「夢想封印 散」
罔両「八雲紫の神隠し」
変化「須臾の乱れ」
弾幕が容赦なく妖怪たちに襲い掛かる。だが、弾幕は妖怪にとってはかなり弱い威力だ。だから相手の動きを封じることもできない。
『はん、こんなしょぼい弾が俺たちにかなうかよ!』
そう言いながら、俺の方に一斉に襲ってきた。力のない奴からつぶそうということだろう。その判断は間違ってはいない。だが、ここまですべて読み通りのことだ。ひらりとかわして挑発する。
「どこをねらっているんだ?はやく捕まえてみろよ。」
『なっ!人間風情が生意気な!!』
『喰らえ小僧!』
ストレートが飛んでくる。当たる寸前に威力の変化を操る。
ストレートパンチが綺麗にきまったが、痛くもかゆくもない。相手の威力を極限にまで減らすよう変化させ、その分こちらに威力を上げるように変化させたからだ。そしてこの変化を操ったことによって弾幕を撃った意味が出てくる。弾幕を全身に浴びた妖怪共の体はもうぼろぼろだ。これがプラン1だ。実は戦う前に俺の作戦を伝えていたのだ。
『ぐわああああああああ!』
「あら、意外と早く終わったわね。よっと」
くたばった妖怪が山のように積み重なる。すごい絵だ。
「なんだ、結界を破るほどだからいい腕しているのかと思ったら、大したことないじゃない。」
・・・ん?結界を破って・・・離れたとこに妖怪・・・まさか。
「囮かもしれない。」
「え?」
「は?」
「別に妖怪がいて、その行動の邪魔をしないように囮作戦を実行した可能性がある。」
「・・・かなり確率が高いわね。こんな程度の妖怪に破られるほど博麗大結界は弱くはないわ。」
博麗大結界というのがどういうのかは知らないが、まあだいたい想像はつく。
「どうするの?紫。」
「存在と気配の境界をいじるわ。それなら見つかるはずよ。」
紫がふっと念をこめると、禍々しい気配をすぐに感じ取った。これはかなりやばい感じだ。
「・・・霊夢、紫。プラン2に変更するけど、大丈夫?」
「ええ。」
「もちろんよ。」
「紫、スキマあけて。急ごう。」
紫は頷き、スキマを開いた。
『ちっもうきやがったか。あいつらもあまり役に立たなかったな。』
『だがこの計画を成功させるためにも、お前たちには消えてもらう!』
相手は二人。さっきの妖怪とは桁違いの力を感じる。
「あなたたちの計画が何なのかは知らないけど、消えるのはあなたたちよ。」
紫が言った。それと同時に俺と霊夢はスペルカードを構えた。
神霊「夢想封印」
幻巣「飛光虫ネスト」
異変「異次元空間の大量発生」
格闘型スペルカードを発動する。紫が言うには、非殺生の攻撃手段であるらしい。8つの光り輝く弾と、高速弾と、威力抜群の弾が襲い掛かる。
『ぐっ!?なんだこれは!』
『こうなったらあれをしよう!』
『ああ!』
能力を使おうとしているな。だがもう遅い。
『・・・!?あれがつかえない!?どういうことだ!』
「消滅の変化を操っただけだよ。お前たちの能力はもうすでに消滅し、二度とつかえない。それにしても、”ある程度の範囲を支配する程度の能力”なんて恐ろしい能力だな。まあそれはどうでもいい。さあ、とどめだ!」
俺の全身全霊のラストスペルを叩き込む。
「生生流転~死の境界~」
黒い弾幕が妖怪の周りを覆い、爆発する。かなりの威力だ。死にはしないけど、死の境界をさまよう恐怖を味わってもらう。
『ぬがああああああ!!』
『ごあああああああ!!』
戦いが終わり、侵入者全員スキマ送り(どこに送ったのと聞いたら、さあ?と、ものすごい悪い顔で言っていた。)して一件落着した。
「・・・見事に地面がぼこぼこね。」
「最後の爆発が特にね。」
「あはは・・・」
うん。でっかい凸凹がある。仕方ない。
「生生流転~生の境界~」
あたりが白い光に包まれ、地面が元に戻っていく。ちなみにこれを使うと、ものすごいつかれるんだよね。
『ここどこだよぉー!』
妖怪共は、どっかの川のど真ん中に放り込まれた。
「おかえりー!」
「ただいま、橙。いい子にしてた?」
「うん!じゃあ一回だけ命令できるんだね!」
あ、そうだった。どんな命令をするのだろう。・・・あれ?後ろにいる紫がにやにやしている気がする。
「今度、一緒に外に出かけよう!」
「・・・そんな簡単なのでいいの?」
「うん!」
こうして、今度橙と外へ出かけることとなった。
さすがに疲れたので、寝ようとしたそのとき、山のように積まれている紙が目に入った。
「・・・なあに?これ。」
「ん?ゆーみくんあてのお人形さんの注文書。」
確かに宴会のときに頼まれていたが、こんなに頼まれていなかったはずだ。
「・・・どうしてこんなに?」
「人形遣いさんはともかく、その場にいた全員が面白がって注文したんだって。」
おもしろがって・・・頭が痛くなるな。数えてみたら256体じゃないか。多すぎるだろ。このうちの200体はアリスだし。
「あ、そうそう。3日以内に作れだって。」
「はあ・・・はあああああああ!?」
日数制限あり!?
「・・・その・・・頑張ってね。」
この後、徹夜で必死に人形を作っていたのは言うまでもない・・・
「ただいま戻りました。結界の修復及び点検は完了しました。」
藍が戻ってきた。
「ご苦労様。あなたも疲れたでしょう。ゆっくり体を休めなさい。」
「ではお言葉に甘えて。・・・そういえば、裕海は大丈夫だったのですか?」
その疑問は普通だ。
「ええ。むしろ私たちがあの子の作戦どおりに動いたら、何もかもうまくいってしまったわ。(弾幕を撃ちまくったりスキマを開いたり能力を使ったり、雑用的なことくらいしかやってない気もするけれど。)
「へえ、それはすごいですね。それで、彼はいま何しているのですか?」¥
「・・・勝手に入ってきた仕事をしているわ。」
「?」
「こんなこと言っても理解不能だろうと思うから、自分の目で見てきなさい。」
「?は、はあ・・・」
「・・・あの子、だいじょうぶかしら。」
終わった。きつすぎる。結局12時間かかった。今の時刻は朝の8時だ。もう今度こそ寝る。
「ゆーみくん、大丈夫かな?」
あ、寝てる。終わったのかな?数えきれないほどあるお人形さんが箱に入っていた。
「・・・ぐっすり寝てる。」
「ん、う~・・ん・・・」
っ!?起きた!?
「・・・すぅ~」
な、なんだ。びっくりした。心臓が飛び出てきそう・・・・
彼が眠る布団にもぐる。彼にひっついたまま、ゆっくりと眠りについた。
ああ、よく寝た。今何時だろう。・・・ん?
「すぅ~」
橙が隣で寝ている。なんで?・・・まあいいか、寝顔かわいいし。
とりあえず注文書のとおりに注文者に人形を渡しにいこう・・・あれ?
「ぬぅ~」
橙が服の端っこをつかんできた。それはまるでいかないでと言っているかのように。考えすぎだとはおもうけど。
・・・もうすこしだけ寝ようかな。再び横になり、眠りについた。
「橙?裕海?ごはんだぞ~?・・・ん?」
2人が同じ布団で気持ちよさそうに寝ている。作業のあった裕海が寝ているのはわかるが、橙はなぜここで寝ているのだろうか?
「あらあら、2人とも仲がいいわね。」
「どうしましょう、紫様。ご飯が冷めちゃいますので起こさないわけにはいかないのですが・・・」
「そうね、起こした方がいいわね。冷たいご飯なんておいしくないもの。」
なんか微妙に論点が違う気がするが、それは置いといて、二人を起こす。
あ~、よく寝た。ご飯も食べてばっちり目が覚めた。よし、配達にいってこよう。とおもったら、紫が手招きしてきた。
「空間の変化を操れるようになったのなら、私のようにスキマみたいなのつくって移動しなさい。あと、これから配達にいくんでしょ?あとついでに地図も持っていきなさい。」
幻想郷の地図なんてあったのか。
「なるほど、考えてもなかったな。ありがとう紫。」
「お礼は人形代の一部でいいわ。」
それが狙いか?まあいいや。少し力を使い、空間を変化させる。まずはアリスの家かな。
「いってきます。」
「はい、いってらっしゃい。」
ピンポーンと、来客用のベルを鳴らす。・・・それにしてもすごい立派な家だ。普通の家よりちょっと大きく、庭は綺麗なバラなどが咲いている。
「だれ?こんなところに・・・あら?あなた人形作り師の・・・」
人形作り師って何?まあそれは置いといて。
「たのまれていた人形200体もってきたよ。」
「わあ!ありがとう!」
ドアを開けた時の顔とは全然違う、おもちゃをもらった子供みたいな輝かしい顔をしている。直球に言うとすごくかわいい。
「はい、人形の分のお金。」
「え、こんなに!?こんなにもらっちゃ悪いよ。」
ざっと、0が4つある紙が30枚あった。どんだけ金持ちなんだ?
「なにいってるの。この量なんだから、このぐらい当然よ。」
「そこまでいうのなら・・・ありがとう。」
「いえいえ、また近いうちに注文するかもしれないからね。あと、これ人里で売ったら当たるわよ。やってみたら?」
人里なんてあったのか。
「考えておくよ。あ、次のところに配達にいかなきゃいけないからこのへんで。じゃあね。」
「ええ、さようなら。」
アリスに別れを告げ、スキマに入る。
この後も、赤い館やら、竹林のなかの屋敷やら、冥界の屋敷やらに配達した。・・・生きたまま冥界にはいるのはどうなのかとピンク髪の亡霊さんに聞いてみたら、「いいのよ~。そのへんはいい加減でも~。よーむー、おなかすいた~」という答えが返ってきた。結構雑なところがあったりするな、幻想郷って。
「ただいま。」
「あら、おかえり。けっこうはやかったわね。」
まあ、スキマ移動だからな。
「それほどでもないよ。はい、一部。」
「まだなにも言ってないわよ?・・・結構多いわね。これ本当に一部なの?」
「一部という基準がわからなかったから、全額の10パーセントくらいだよ。みんな、なぜか多く支払ってくれたんだ。霊夢はお金じゃなくって御札で払ってきたけど。」
あの御札、どんな効果があるんだと思ったら、安産祈願だった。
「へえ、人里で売ったら儲かるんじゃないかしら。」
「アリスにも言われたな、やってみようかなとは思っているけど。」
「私の方で手続き出来るけど、どうする?」
「・・・よし、じゃあやろうかな。あ、人里で直接売る形になるのか?」
もしそうだとしたら、すごい忙しいことになるな。
「いいえ、人形専門店があるから、そこに出荷するわ。」
ああ、そうなのか。良かった。こうして、俺に職業ができたのだった。直売ほどではないが、忙しくなるな、きっと。
このとき、昔起こったある異変から60年を迎えようとしていた・・・
後書き
6話書き終えました!これからはもう少しギャグ要素をいれたいと思います。では!
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