東方変形葉
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幻想入り、そして修行
東方変形葉5話「たのしいたのしい・・・宴」
前書き
裕海「そういや、この家って客とか来ないの?」
紫「来ないわよ。いや、来れないわよ。」
裕海「え?どういうこと?」
紫「ここは幻想郷のぎりぎりの境目のところで、絶対にこことはわからないところだからね。」
裕海「へえ~・・・なんでそんなところに家を建てたの?」
紫「・・・さっ、そろそろ修行を始めましょ。」
裕海(あ、流した。)
永夜異変から1週間が経とうとしていたある日、紫が「宴会に行きましょ!」と元気よく誘ってきた。多分拒否権はないのだろう、と思い紫に連れられて神社にやってきた。藍と橙も一緒だ。
・・・それにしても、スキマの中って居心地悪いな。気温的には快適なんだけど、スキマの中の目がこっちをみているからなぁ・・・
「どうしたの?」
「いいや、なんでもない。ところで、宴会にはいつもどんな人たちが来るの?」
「えっとね、前の宴会のときは異変の主犯とそのお仲間さんと、あと巫女とか魔法使いとか吸血鬼とかとかメイドとかいろんな人がいたよ。」
わあい、なんか嫌な予感がぷんぷんする。これは気のせいだろうか・・・
「あら、遅かったじゃない、紫。」
「ちょっとね。」
「・・・で、この子がそうね。」
そう言って俺の方をじーっと見ている。たぶんこの人は巫女なんだろう。
「あなた、名前は?」
「は、葉川裕海・・・」
・・・・・・何この微妙な威圧感は。
「能力持ち?」
「あ、ああ。まあ」
「どんな能力なの?」
なんだか尋問に思えてきた。というか尋問だよなこれ。答えないと後々面倒そうだな。
「“変化”を操る程度の能力・・・・です」
そのとき、巫女の人の目が輝いた。
「素晴らしい能力じゃない!これで神社を金持ち状態にできるじゃない!うふふ」
どうしよう、この空気。
「まだこの子は十分に能力を使いこなせないわよ。それに霊夢、あなた尋問みたいなことをしてどうするのよ。彼おびえてるわよ。」
いやおびえてるわけではないけど・・・あ、なんか人が集まってきた。
「お、こいつがそうか。」
「あら~、結構顔がいいじゃない。」
「幽々子様、何言ってるのですか。」
「おや、なんだかおもしろそうな子じゃないか。」
「この子が噂の子ですか・・・なるほど。」
・・・なんだか気絶をしたい気分だ。注目に慣れていないとこうなるんだな・・・
「ゆーみくん、大丈夫?」
いい子の橙が声をかけてくれた。
「できることならこの場から瞬間移動で逃げたい。」
「もうちょっとだけこらえて・・・ね?」
「ああ・・・がんばる・・・・」
「ああ、もう!この子の目が葬式状態じゃない!みんなさっさと散る!」
紫が助け船を出してくれた。
「ちぇ~」
「はいはい。」
「仕方ないわね。」
助かった・・・・・ふぅ。
「一応新しい住民ということなんだから、自己紹介しなさい。」
うへえ・・・宴会って疲れるものだったっけ?
自己紹介が終わったころにはもう完全に精神がガタガタだった。観衆の目が俺一点にあつまるものだから。
「あなた、人形を作れるんですって?」
人形のようにかわいらしい、金髪の人がものすごい輝いた目で聞いてきた。この人の周りにはなぜか人形が飛んでいる。疲れたからもう突っ込みはしないけど。
「ああ、まあ・・・・」
「あなたが作った人形、見せてくれない?」
もってたかな・・・どうしよう。紫に頼むか。
「わたしがもってるよ。」
「あら、どうもありがとう。」
橙が持っていた。よかった、手間が省けた。お礼にあとでなでなでしよう。
(これは・・・・何もかも無駄がない・・しかもそれでいてこんなにかわいいなんて・・・)
・・・なにかぶつぶつ言ってる。なんだろう、作りが雑とか?
「これ何分で作ったの?」
「10分くらい・・・」
「・・・完璧だわ。すばらしい人形よ!さっそくだけど、これあと千体くらい作ってくれないかしら。」
わーい。ほめてくれたってええ!?千体!?いったい何に使うんだ・・・
「アリス、そんなに頼んでどうするんだよ。こいつを過労で殺す気か?」
「ちがうわよ!!無駄のない人形は自立する実験にかなり役に立つじゃない!!こんなチャンス、人生に1度しかないわ!!」
「妖怪のお前が言う人生って・・・でも確かにかわいいな、こんな人形初めて見るぜ。」
・・・とりあえず作るしかなさそうだな。たぶん注文が殺到すると思うから。
「彼、人気ね。ね、橙・・・ん?」
「むう~。」
(あれ?なんでほっぺを膨らましているのかしら・・・)
「紫様、どうします?あの子、目が死んでますよ?」
「ふふふ、これはおもしろいことになってきたわね。」
「・・・・?」
「はいはい。みんな盛り上がるのはいいけど、ほどほどにね。彼、もう疲れ切っちゃってるじゃない。」
紫がまた助け船を出す。
「あ~?こんな程度で参るなんてまだまだだな。よし、外で弾幕勝負でもしようぜ!」
このながれで弾幕勝負をする理由がわからないし、こんな程度って・・・・
「あら、いいわね。いい経験になるじゃない。ほら、魔理沙と戦ってきなさい。」
助け舟が沈没した。しかも助け船を出した本人が沈めた。
「拒否権は?」
「あるとおもう?」
「是非やらせていただきます。」
もうどうにでもなれ。この前、スペルカードを10枚作ったから大丈夫だろう。なにが大丈夫なのか自分でもわからない。そう思いながら神社の外に行く。
「枚数はそれぞれ3枚、いいわね?」
「ああ、いつでもこいだぜ!」
「・・・ひとつ質問。」
「なにかしら?」
「俺、空飛べないんだけど。」
「あなたの能力で飛べるように変化させなさい。」
わあ、本当に何でもアリだなこの能力。わかってたけど。とりあえず紫に言われたとおりに自分の力を飛べるように変化させる。
「では始め!」
「よっしゃあいくぜ!」
魔符「ミルキーウェイ」
大量の星型の弾幕が飛んでくる。・・・なるほど、これなら“見せかけ”なら圧倒できる。でも・・・・
「読みやすいね。」
「なっ!?」
一見難しそうに見えるが、そうでもない。これなら目をつぶってでもよけられる。ひょいひょいとかわしながら・・・たしか魔理沙っていう名前だったかな。魔理沙の背後へとまわり、
不読「風に舞う桜吹雪」
不規則弾幕をうちまくる。だがこの勝負における、いわゆる“美学”も忘れてはいない。桜をイメージし、俺の周りはピンクの弾幕で埋め尽くされているが、そのほかの空間は動きが予測できない花びらの弾幕が舞っている。
「なんだよこれ!?スペカを発動させる暇もねえ!!」
何とかかわしているようだが、かなり苦労している。一応反則にならないように避けられるようにしておいたのだが・・・
「くっ!吹っ飛べ!!!」
恋符「マスタースパーク」
かなりの威力がありそうな光線が飛んできた。桜吹雪を消しながら。ならば・・・
狂変「皆既月食の紅き月」
恐らくあの光線のスペルカードの弱点は、隙がありすぎるということにある。周りに散布される弾幕でカバーしているのだろうけど、それでも隙はできる。光線をぎりぎりで避けつつ、真っ赤なホーミング弾幕を大量に打ち込む。
「やっぱマスパをうつのは気分がいいぜーってうお!?」
一発だけ被弾したようだ。
「くっ・・・ラストスペルだ!いけえ!」
「ブレイジングスター」
魔理沙が箒に乗って突っ込んできた。これは普通のホーミング弾では魔理沙に当てるのは難しい。なかなか強いスペルカードだ。これで決めるか。
異変「異次元空間の大量発生」
紫のスキマにも似た裂け目が大量に現れ、速度のかなり速い弾幕が魔理沙めがけて飛んでいく。
高速と光速がぶつかりあう。光線に弾幕で対処しようなど、無謀のように見えるが、今は状況が違う。光線の先端には魔理沙がいることだ。普通の弾なら魔理沙にぶつける前に光線の威力でかき消されていくだろう。だが、この弾は威力がものすごく強い。その分難点が多いので、使いどころにも困るスペルカードだが。
「ぐっ!?ぐああああああ!!」
魔理沙は失速し、墜落していく。あ、まずい!急いで魔理沙を受け止める。
気を失っているが、それ以外は何ともないようだ。よかった。
「え?初めての勝負だったの?」
「ああ。何とかなったけど、危なかったな・・・」
あのあと、魔理沙を倒したことによってさらに注目度が上がってしまい、さらに盛り上がってしまった。最後のスペルカードは能力も使ったのでものすごいつかれた。というわけで一時避難。橙がついてきてくれた。
「よし寝よう。」
「寝るの?」
「あ、寝る前に・・・」
「え?・・・ひゃっ」
さっきの人形の件でのお礼に橙のあたまをなでなでする。
「よし、おやすみ。すぅ・・・」
「寝るの早っ!3秒も経たずに寝ちゃった!じ、じゃあ・・・わたしも寝る!」
「あの子、おもしろいわね。あの判断力と読む力、もう化け物ね。この月の頭脳をこれほどまでに驚かす地上人は初めてよ。」
月の頭脳、八意永琳がつぶやいた。
「そうね。もうあの子妖怪になっちゃったのかしら、と、この妖怪の賢者に思わせる程とはね。」
(それにしても、呑み込みが早いわね。まだ1週間とすこしぐらいしか経ってないのにもう制御ができてきている。最後のスぺカだって、空間を上手く変化させないとあんなのできないわよ。)
宴は終わり、たくさんの人がそれぞれの方向へ帰っていく。
わあどうしよう。人形の注文書みたいな紙がどっさりある。あいている時間につくらないと。
「そういえば藍」
「はい、なんでしょうか。」
紫があることを伝えようとしたそのとき、異変を感じた。
「!?藍!」
「・・・はい。博麗大結界が破られました。気配でわかる限りでは・・・結界を破った外の妖怪の数は約8人だと思われます。」
「・・・あなたは結界の修復に行きなさい。私は霊夢と、裕海を連れて撃退に行くわ。」
「えっ裕海を連れて行くのですか?さすがに危険なのでは・・・」
確かに危険だ。だが、今は違う。もうこの子は能力をある程度使える。ある程度だけでも十分妖怪は倒せる。
「せっかくのいい機会よ、経験を積ませるわ。危ないと感じたらすぐに助けるから心配しないで。」
「紫!!あんたも気づいているだろうけど・・・」
「わかっているわ。修復は藍に任せるから私たち3人で撃退に行きましょ。」
「ええ!・・・え?三人?」
「裕海の事よ。」
「え?俺がどうしたの?」
「・・・緊急事態よ。あなたは、私と霊夢に同行して幻想郷の侵入者を撃退しに行くわよ。」
「・・・わかった。足手まといにならないように善処するよ。」
「ん?どうしたの?ゆーみくん。」
流れを読み取れない橙が裕海に質問する。悪いけどその疑問を強制終了させる。いまは一刻を争う。
「・・・橙、あなたは留守番していなさい。緊急事態よ。」
「えっ、ええ~。一人でお留守番?怖いよ。」
「・・・留守番よろしくね。ちゃんと留守番できたら、一つなんでもいうこと聞いてあげるよ。」
「・・・うん、わかった。絶対無事で帰ってきてね。」
「ああ。」
「いくわよ!北西の方向ね!紫、スキマを開けて!」
「ええ。」
空間が裂け、スキマができる。3人はその中へ入って行った。
外の妖怪達と幻想郷の守護者達の戦いが始まろうとしている。
後書き
5話目書き終えました!オリジナル異変を発生させました。
では!
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