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オズのモジャボロ

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第一幕その七

「オズの国でね」
「それは皆一緒なんだよ」
 モジャボロが優しい笑顔で五人にこうも言ってきました。
「オズの国、いや他の国の皆がね」
「それぞれですか」
「同じなんですね」
「うん、そうだよ」
 こうお話するのでした。
「僕もドロシーもオズマ姫も皆ね」
「そして私達も」
「唯一なんですね」
「そうなんだよ、皆同じなんだよ」
 また言うモジャボロでした。
「だから唯一ってことを恥ずかしがる必要はないんだよ」
「むしろそのことをいいと思うべきですね」
 ナターシャが言いました、ここで。
「そうなんですね」
「そう、誰もが唯一で個性があることだからね」
「では私達も」
「このことを誇りに思ってね、胸を張るんだよ」
「わかりました」
「そういうことでね、いやしかし」
 とても長いお箸で海老蒸し餃子を食べつつです、モジャボロはにこりとして言いました。
「本当に美味しいね、中華料理は」
「ええ、この海鮮麺も」
 オズマは海鮮麺を食べています、見ればお箸をとても上手に使っています。
「美味しいわね」
「海老も貝もね」
「中華料理はずっと知らなかったけれど」
「美味しいわね」
「ええ、和食もよくてね」
「ロシア料理もね」
「そうそう、パーティーだけれど」
 オズマはドロシーにお話していきます。
「シェラスコはどうかしら」
「カルロスのお国のお料理ね」
「あれが凄く美味しかったから」
 お肉の塊を鉄の串に刺して焼いたそれもとても美味しいというのです。
「だからね」
「あれにするのね」
「考えておくわ。あと晩御飯はね」
「晩御飯は何なの?」
「ハンバーガーやサラダを考えているわ」
 晩はそうしたものだというのです。
「アメリカのお料理も随分よくなったみたいね」
「ううん、カンサスはね」
 ドロシーがかつて暮らしていたそこはどうだったのか、ドロシーはこのことについては少し苦笑いになってオズマに言いました。
「叔父さん達も豊かでなかったから」
「だからなのね」
「こんな美味しいものはなかったわ」
 とてもだというのです。
「ステーキとかもあまり食べられなかったわ」
「そうだったのね」
「ええ、とてもね」
 そうしたものはというのです。
「なかったわ」
「じゃあハンバーガーも」
「いや、本当にアメリカのお料理も変わったわね」
 ドロシーはお饅頭、中にお肉や筍が入っているそれを食べながらカルロスを見ています。白くてほんわりと柔らかいそれを食べながら。
「私がいた頃なんて本当に簡単で粗末なものしかなくて」
「アメリカっていっても場所でお料理が変わるからね」
「そうなのよね、カンサスはね」
「カンサスは大平原だからね」
「農作物やお肉はあるわ」
「けれどお魚とかはあまりないよね」
「こんなのはとても」
 ドロシーは今度はフカヒレスープを飲んでいます、そのうえで言うのでした。 
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