東方魔法録~Witches fell in love with him.
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18 引越~I should not do unfamiliar thing,but I should do that.
前書き
こちらに投稿する時間が遅くなってしまいました、ご免なさい(>_<)
感動の再開も無事終えレイレウやエリーとフラウさん達とも再開し、ひとしきり喜んだ数日後、俺は引っ越しをしてた。
「ウィン、ガーディアム、レビオサー(失敗する方の発音)。なんてね」
家具を空中に浮かす。いやー魔法ってほんと便利。前世の記憶がある俺にとって、こういうとき魔法が使えるのはありがたみを感じね。
「…お。何だか香ばしい匂いが……」
家具を浮かして家から紅魔館に行こうと外に出ると、肉が焼ける匂いがしてきた。今日の昼飯は肉かな?あ、そうそう。降魔館が紅魔館になったのはつい昨日のこと。
『ねぇ、この館って何か物足りないと思わない?』
『え?急にどうしたのレミリア。降魔館って結構立派だと思うんだけど』
『それよ。その名前、気に食わないわ。まるで悪魔をいいように扱うかの名前。そうね……降ろすコウじゃなくて紅で紅魔館なんてどうかしら?』
『いいんじゃない?スカーレットにお似合いだよ』
『でしょ?でも名前だけ紅じゃ名前倒しね……いっそ紅く塗ってしまおうかしら?…そうよ、それがいいわ!』
『………え?』
『ふふふ、我ながらいいアイディアを思い付いたものね。…美鈴!今からこの館を紅く塗りなさい!』
なんて事があったのだ。この時、戸惑いはしたがレミリアを止める者は誰もいなかった。俺はレミリアの眷属みたいなものだし、美鈴は従者で反対することはしなかった。パチュリーにいたってはそんなことよりヴワル魔法図書館って言ったかな?本のことで興味がないようだった。
塗装し終わった紅魔館を見て存外血のように紅いのは悪くないかなぁとか思っているのは吸血鬼になったせいだと信じたい。
紅魔館のことを思い出していると俺の引っ越しを手伝っていた母さんが目についた。興味本意で香ばしい匂いのことを聞いてみた。
「あ、母さん。今日の昼飯は肉?昼間から豪華だねー。引っ越し祝い?」
「あ、明希!!肌が焼けてるわよ!!」
「え…?あ、…アッッッツゥゥゥゥウ!!」
忘れてたぁぁ!俺吸血鬼じゃん!日傘も持たずに日光に当たるなんて何やってるんだよぉぉぉおぁぁあちィィィィィィ!
「ど、どうしましょ!?え、あ!焼けてるから水をかければ!」
慣れない吸血鬼の習性?にパニックになった母さんは火傷には水をかけるのがいいと判断したが……
「う…あ…」
「きあゃゃあ!明希!!」
吸血鬼が流水に晒されるのはマズいわけで。肌が焼けているところに大量の水がかかって火傷と混じり合い、水がジュウという音を立て蒸発すると共に俺は力なくその場に崩れ落ちた。
「は、早く家の中に!」
母さんはパニックになりつつもグロッキーになった俺を家の中まで戻し、そして治療しようと思ったのか救急箱を持ってきた。
「あ、十字架…」
救急箱には赤色で十字架が描かれていた。それを見た俺は吸血鬼の弱点を三つも突かれたせいで気絶した。
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「ごめんなさいね明希」
吸血鬼の弱点で没した俺だがものの数分で復活した。
「いやいや、吸血鬼になった自覚が足りない俺が悪いんだよ」
「そうよ。もっと自覚を持ちなさい」
声がした方向を向くと、俺とは違い日傘をさしてレミリアが玄関の前に立っていた。が、それっきり動こうとしない。
「何やってるの?入れば?」
「吸血鬼はね、初めて訪れる建物には中から招かれないかぎり入れないのよ」
あ、そっか。吸血鬼って色々制約があって不便なところがあるよね…
「そっか。…よおこそいらっしゃいました。どうぞ中へお入りください」
「お招きくださり感謝するわ」
レミリアはそう言って家の中に入った。意外と不便だなぁ。って俺も吸血鬼か。
「貴方も吸血鬼なのだから気を付けなさいね」
「うぅ、わかってるよ…」
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…………………………………
お昼時。昼飯は肉なんてことはなく、パスタだった。しばらくの間は肉は食べたくないかも……。
「パスタにニンニクが入っているってオチはないよね?」
「そ、そんなわけ無いじゃない」
俺の質問に狼狽しているところを見るとうっかり入れようとしてたな母さん…。……やっぱ迷惑かけるよなぁ。因みに父さんは仕事で今はいない。
「ところで何でレミリアはこの時間起きてるの?」
俺は一緒にパスタをちゅるちゅると食べているレミリアに聞いた。吸血鬼は夜行性だから今の時間は寝てるはずだけど…
「引っ越しの音で目が覚めてしまったのよ。と言うより貴方も吸血鬼でしょうに」
あ、そうかそりゃすまないことをしたね。それにそうだよね俺も吸血鬼だった……
「そうだよね」
「ま、皮肉にも時間は永遠にもあるからそのうち慣れるわ」
そういうレミリアの口元にパスタの汚れがついているのに気が付いて、俺はつい口元を拭いてしまった。
「口についてる」ゴシゴシ
「あ、うー…。そ、それくらい自分で出来るわよ…」
「明希ー。いるー……」
レミリアの口を拭いている最中にパチュリーが来てしまった。
今の状況を見てパチュリーは持っていた荷物をドサッっと落として飛び去ってしまった。
「ちょ、ちょっとこれは誤解だってー!」
「まだまだ青いわね。この程度の事が浮気に見えるなんて」
「そうはいってられないよ!追いかけてくる!」
俺はパチュリーを追いかけようとしたが後ろからガシッとレミリアに掴まれた。why?
「そのまま行ったらまた焦げるわよ。日傘を持っていきなさい」
そうだった。つくづく自覚がないよなぁ。
俺は黒い日傘をさし、パチュリーを追って紅魔館に向かった。
パチュリーを追いかけて紅魔館に入り、図書館の目の前に来た。だが、扉は俺を拒むように硬く閉ざされていた。
「パチュリー~開けてくれよー~」
ドンドンと扉を叩くも返事がない。
「あれはええっと何て言うかただ単に気になって口を拭いてただけなんだよー~決してレミリアにやましい気持ちがあった訳じゃないんだぁぁぁ!」
最後の方は絶叫するように叫んでしまったが本心をわかってほしいからこその心の叫びだ。俺はパチュリーが一番なんだよー!わかってくれー…ってこの気持ちを言えばいいのか。
「俺はパチュリーが一番なんだよー!」
すると扉越しにパチュリーの弱々しい声が聞こえた。
『ほ、本当に……?』
「本当だよ!あ、あ、愛してるぜぃ!」
なにかとパチュリーに向かって愛してるなんて言うのは初めてだ。俺の声は多少震えていた。
俺が羞恥を覚えながら告白するとバタン!と勢いよく扉が開かれ「がふっ!」扉が勢いよく俺に当たった。
俺はしりもちをついて扉から出てきたパチュリーを見上げた。
パチュリーの顔は赤く、手で擦ったのか目が腫れて未だに涙が溜まっている。
「本当…?へ…きゃ!」
俺はガバッとパチュリー抱きついて耳元でぼそぼそと囁いた。
女の人は心理的にこれに弱い。電話とかイヤホンとかでも耳元に低くて響く囁き声を聞くとゾクゾクとして快感を覚えるらしい。……あまり悪用するなよ?
「本当だよ。俺はパチュリーの事が好きだし一番大切だ。俺の中でパチュリーは一番だよ」ボソボソ
「はぁっ…ん…あっ…」
くすぐったいのかパチュリーは俺の腕の中でさらに顔を赤くして悶えた。そして俺が囁き終わるとパチュリーはギュット俺を抱き締め返し甘えるような声で言った。
「わ、私も明希の事が…す…好き…」
「うん、わかってる」
「ば、ばか……」
そのまま俺達は小一時間抱き締めあった。
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おまけっ!そのさん
「お嬢様~またあの二人抱き合ってますよ~見てるこっちが恥ずかしいです…」
「慣れなさい…この先嫌になるほど沢山見ることになるわ…」
「もう、明希ったら引っ越し作業を忘れてまだ抱き合ってるの?」
「あ、明希様のお母様。荷物を運んで来たのですか?でしたら私が持ちます」
「あらありがとう。……様?」
「あ、明希様はお嬢様の眷属みたいなものですしお客様ですよね?ですから様を付けたのですが…」
「美鈴の馬鹿丁寧な口調は治らないわ。気にしないことね」
「そ…そう。なんか慣れないわ…」
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