東方魔法録~Witches fell in love with him.
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17 経緯~That is all exactly as her dream.
前書き
ぎゃあゃゃぁぁぁぁぁあ!!!!データがぶっ飛んだ!!!
なのでストックがありません。毎日投稿は無理っぽいです(>_<)
書き溜めを思い出しながら書いているのでハーメルンで投稿していた頻度、二日か三日に一話更新します。
マロウからパチュリーをかばって剣で貫かれた後、俺はふと目が覚めた。
「知らない天井だ」
目覚めると知らない天井が視界に広がった。テンプレ的な発言をした後起き上がろうとすると、腹部に激しい痛みが走り起き上がることを拒ませた。
「いっっっ!たぁぁ!!」
痛みで悲鳴をあげて、さらに叫んだせいで腹部の痛みが増した。また悲鳴をあげ、そのせいでまた腹部が痛みを訴えることを繰り返した。
なんとか負のスパイラルを落ち着け、寝たまま辺りを見渡すと何時の間にかベットで寝ていたことに気付く。いや、寝かされていたの方が正しいか?まさか夢遊病者よろしく意識がない状態で歩き回り、土手っ腹に穴を開けてたまま知らないベットで眠りこけていたはずがないし。
そう思って傷を確認しようとして首を動すが、生憎掛け布団が掛かっており現在の状態の俺では確認することは叶わなかった。
「あら、ようやくお目覚め?」
声の主を確認すると、あの時学園祭にいた吸血鬼の少女がいた。
「君は……えぇっと……っと言うか名前聞いてないよね」
「それは失礼したわ。私はレミリア・スカーレット。ご覧の通り、吸血鬼よ」
彼女はスカートの裾を両手でつまみ上げ、お辞儀をした。
「えーと、レミリアさん?俺は腹を貫かれていたはずだけど……もしかして助けてくれた?」
「レミリアでいいわ。そうよ、後もう少し遅かったら危なかったわ…」
「そう…ありがとう。…助けてもらっておいて何だけど、何で俺を助けてくれたの?マロウが剣を振っていて危なかったのに………ってパチュリーはどうなったの!?」
今更ながら冷静に考えると、マロウに刺された後のことを俺はよく知らない。パチュリーの身に何かあったら…!
「安心して、無事だから。でも貴方のことを死んでると思っているでしょうね」
どうやら杞憂だったようだ。あーでも死んでるって思われているのか。パチュリー、めちゃめちゃ悲しんでいるだろうなー……
「助けた理由わね……学園祭の時助けてくれた恩返し、何て言う理由じゃなくて……何から話せばいいかしらね」
レミリア・スカーレットは退屈で孤独だった。
父母はバンパイアハンターを名乗る人間に殺され、(勿論、その人間はレミリアが殺した)妹はそのせいで狂気に支配された。従者に美鈴がいて、大切ではあるが美鈴一人では満足出来なかった。
そんな私に悪魔として契約を結びたいという者があらわれた。その者は魔法使いなのに魔法が使えない変な奴で、私に力を貸してほしいと言ってきた。付き合いに飢えていた私は美鈴の気を操る能力でも私の運命操作でも狂気を消すことが出来なかった妹を地下に幽閉するという条件で契約した。悪魔を降ろす館だけあって悪魔を捕らえておく環境が整っていた。実際、妹を幽閉しておくのに十分だった。
マロウの手伝いをしていたある日、私は夢を見た。マロウの姿は無かったが、この館で私に美鈴、見知らぬ黒髪の男性に紫色の髪をした女性、見知らぬ下級悪魔にメイド、そして信じられないことに狂気に支配されているはずの妹が、皆で仲良く食事をとっていた。その夢の中では誰もが心の底から笑って実に楽しそうにしている。ここ百年ぐらい笑っていない私でさえ心底楽しそうだった。
その後も何度か同じような夢を見た。
私の力のせいで、私の夢は予知夢である時がある。私は気になって夢に出てきた明希とパチュリー、小悪魔に咲夜を探して見ることにした。
小悪魔と咲夜は見つけることが出来なかったが明希とパチュリーは見つけることが出来た。
私は夢が予知夢であると確信したと同時に嬉しくなりもした。楽しみでもある。私を満足させてくれるのかしら?
初めて明希とパチュリーに会ったのはウェネフィクスという学園の学園祭だった。勿論、運命を少し弄って。
そのときの明希は何と言うか…夢に出てくるのと違ってとってもキザだった。後でわかったのだけど薬のせいらしいわね。パチュリーは明希にべったりしてたわね。概ね夢の中の通りの人物だったわ。
しばらく明希達の様子を見ていたが、とうとうマロウの儀式が始まる日がやって来た。
その時、私は空間魔法を使える魔法使いを護衛していた。案の定、邪魔者があらわれたけど、その邪魔者が明希とパチュリーの父親だったとわね。変なおまけもくっついていたけども。
いずれ家族みたいな存在になるかもしれない人達の家族を殺すのは忍びないので、私は手加減をして相手をした。
明希達の父親達を軽く地に伏せた後、私はマロウの様子を見に行くことにした。マロウには明希達に手を出さないでと言ってあるが、所詮は約束事。契約よりはるかに拘束力が劣る。
万が一、マロウが明希とパチュリーに危害を加えないとは限らないため、美鈴を監視につけているがそれでも不安だったのだ。
遅かった。私がたどり着いた時には明希は刺されていた。
私はコウモリになってその様子を見ていた。何故、傍観していたかというとマロウと結んだ契約のせいでマロウの邪魔をすることは不可能だからだ。こんなところで契約に縛られるなんて……!
マロウがいなくなった後、私はすぐさま明希を館に連れていって治療を試みたが出血が激しく、他人の治療したことのない私に明希を助ける手段は一つしかなかった。
「悪く…思わないでね」
「それで俺は半分吸血鬼になることで首皮一枚繋がったと」
「ええ、まだ完全に吸血鬼になっていないから治癒力が不完全なのよ」
レミリアは俺を半吸血鬼化することによって、俺に吸血鬼の治癒力を与え傷を治した。
他人を治療したことのないレミリアにはこれしか方法がなかったらしい。
「どうする?彼女達を今すぐ助けるには完全に吸血鬼ならないとその傷を塞げないし、マロウを倒せないわよ?」
「え!?どういうこと!?」
「ちょっと前から、書庫でパチュリー達とマロウが戦いはじめたわ。貴方の敵討ちね」
なんだって!?マロウと戦ってる!?魔法が効かないのに勝てるはずがない!無茶だ!!
「レミリア!今すぐ俺を吸血鬼にしてくれ!!」
「…行くのね。でもいいの?吸血鬼になったら流水は苦手になるし十字架だって見るのが苦痛になる。血が欲しくて堪らなくなるときだってあるし、生活が夜型になる。日光で肌が焼けるし何より永遠の中を生きなきゃいけなくなるのよ?」
彼女は他人を吸血鬼にすることに引け目を感じているようだ。だけど、レミリアは契約に縛られてマロウを攻撃出来ない。今マロウを倒せるのは吸血鬼になった俺しかいないのだ。ここで躊躇ったらパチュリーは……
「なるよ。ここで躊躇ったら一生後悔する」
「そう…」
そういって彼女は俺の首筋から血を吸いやすいように、俺の頭を傾けるようにして片腕で抱えた。そして俺の首筋に口元を近付け、ゆっくりとなぞるように舌を這わせる。首筋から感じる熱い感覚に俺はぞくぞくした。
「あ、あの、レミリア?」
「麻酔みたいなものよ。…本当にいいの?」
彼女は俺に覚悟があるか訊ねた。彼女が口を開く度に甘い吐息が首に掛かるのを感じ、もどかしさを覚えながらも答えた。
「それしか方法がないんだろ?やってくれ」
「わかったわ…」
それを聞いた彼女は大きく口を開け吸血鬼特有の二本の鋭いキバを顕にさせ、ガブッと俺の首筋に噛みついた。
「うっ!」
首に一瞬痛みが走り、俺は苦悶の声をあげた。
だが、痛みは一瞬だけで彼女が血を吸い始めると、首筋にくすぐったい感覚と、背伸びした時に味わう気持ちよさを何十倍にもした快楽が全身に押し寄せた。
「ちゅる…ちゅぱ…ごくっ…ちゅる…ちゅぱ…ごくっ…」
「はうっ…!くっ…!」
血を吸われるに連れて全身から力が抜けてゆき、体をすべてレミリアに委ねた。目は蕩け、口は半開きになり、体がビクビクと快楽に反応する。
レミリアは俺をガッチリと抱いて固定し、血を激しく吸った。
「じゅる、じゅるるるる…ゴクッ、はぁ、じゅる、じゅるるるる…ゴクッ、はぁ」
「~~!!~~!!」
激しく血を吸われることによって俺を襲う快楽も激しくなった。四肢はだらけ、恍惚とした表情になっている。
血が零れ、レミリアの服を汚すのを視界の端で捉え、快楽に晒されるように脳の中に辛うじで残っている理性がスカーレットという名が良く似合うなぁとどうでもいいことを思った。
そう思っていると、今までで一番大きな快楽が首筋から全身に広がった。
「っ~~!はっ、かぁ!」
視界が紅くチカチカとし、力が沸き上がり、口の中で二本の歯が鋭くなった。
ズルッと首筋からキバが抜け、その感覚に思わず体を震わせた。
レミリアは舌で俺の首筋に残っていた血を舐めとり、妖しく笑った。
「終わったわ。これで貴方も吸血鬼よ。さ、愛しのお姫様を迎えに行きなさい」
「と、いうことがあったのさ」
周りの視線に気付き、パチュリーと二人仲良く顔を完熟させた後、俺が生きていた経緯を説明した。色々省略したが問題ないだろう。特に血を吸われた時の気持ち良さとか。
「そう…どうして尖ってたのかと思ったら……」
「え?何か言った?」
「何でもないわ」
パチュリーがプイと顔を背けた。俺何かしたっけ?
「そうか…息子が世話になった…!」
「いいのよ。私は手を貸しただけ」
父さんがレミリアに向かって頭を下げたが、レミリアは悪びれもしなかった。うーむ、カリスマのかをり。
「それで、明希はこれからどうするの?」
母さんが今後、俺がどうするか聞いていた。確かに吸血鬼になった俺が今の家には住み続けるのはとても不便だ。生活のリズムが変わって父さんや母さんに迷惑が掛かる。それにそろそろ俺も親元を離れても…一人立ちしてもいい頃だ。
そう思っているとレミリアが提案してきた。
「それだったら…ここで住まない?」
確かに吸血鬼同士同じ所で住むのはいい考えだ。吸血鬼でわからないことがあったら直接聞けるし、レミリアが言ってた夢のこともある。もしかしなくても遅かれ早かれレミリアとは一緒に住む運命なのかもしれない。勿論パチュリーも。
だから俺はその誘いに乗った。
「そうだね……俺はここに住むことにするよ」
そう言うとレミリアは羽をパタパタとさせて口や顔には出さなかったが何だか嬉しそうだった。
「……私も住むわ。いいでしょお父さん」
パチュリーがエドワードさんに聞いた。疑問系じゃなくて肯定文なのはなぜですかね?鬼気迫る物も感じるし…
「あ、ああ。レミリアさんがいいならば…」
「私なら構わないと言うか、むしろ歓迎するわ」
「ありがとう。よろしくね」
「こちらこそよろしくお願いするわ」
パチュリーとレミリアは握手してお互いに礼を交わした。
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