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久遠の神話

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第九十九話 四人の決断その七

「そのことはご安心下さい」
「そうさせてもらいますね」
「では」
 こうしてだった、五人での話は終わった。そのうえで。
 まずは工藤と高橋が自衛隊の地方連絡部に戻る、この時に工藤は他の剣士達に微笑んでこう言ったのだった。
「このことは一佐にも話しておく」
「責任者の人にね」
 高橋も微笑んで話す。
「まあ日本政府にしてはこんな話はね」
「迷惑な話だからな」
「迷惑なんですね」 
 上城は二人にこう返した。
「若し日本の剣士が勝ち残ったら日本が世界の盟主になれるのに」
「盟主、な」
「アメリカみたいになるんだね」
「そういうことは望まないんですね」
「生憎今の日本政府はそんな野心はない」
「それも代々ね」
 そうだとだ、工藤と高橋は上城に答えた。
「他の国はどう思ってるかわからないがな」
「日本政府は実際はそうだよ」
「こういう面倒な、自分達が巻き込まれそうな話はさっさと終わらせる」
「なかったことにしたいんだよ」
「何かそれって」
 どうかとだ、上城は首を傾げさせてこう言った。
「平和と言えばいいですが」
「それでもだな」
「それがだね」
「はい、ことなかれ主義ですね」
「臆病だな、しかも」
「そうも言えるね」
「そう思います」
 実際にだと答えた上城だった。
「そういうことは」
「まあそんな大それた野心はな」
「日本政府にはないからね」
「そうした考えからな」
「日本政府は俺達に戦いを永遠に終わらせてくれって命令したから」
 まさに厄介ごとから逃れる為にだ。ここで平和的にことを収めようと考えていると言えば聞こえはかなりいい。
「俺達はこのことを一佐に全て話してな」
「了承を得るよ」
「了承は得られますか?」
 話してもそれはとだ、上城は二人に問うた。
「それは」
「ああ、それはな」
「安心していいよ」
 二人は微笑んで上城に答えた。
「何しろ主催者の女神様が強引に決めたからな」
「俺達もどうにも出来ないから」
「だからな」
「一佐も頷くしかないからね」
「その上官の上の人達は」
 上城はそれこそだ、政府上層部のことも尋ねた。
「大丈夫ですか?」
「総理か」
「そのレベルだね」
「はい、そうした人達からのお話ですよね」
「それはそうだがな」
「けれどね」
 それでもだとだ、上城に話す二人だった。
「総理も相手が女神ならどうにもならない」
「頷くしかないからね」
「今の総理は幸いそうしたことがわかっている人だ」
「そもそもそんな面倒な話はさっさと終わらせてしまえって言った本人だから」
「あの人がですか」
 上城はここでその話を出した総理、現総理の名前を顔をその脳裏に思い浮かべた。そのうえでこう言ったのだった。
「結構タカ派って言われてますけれど」
「実際はそうでもない」
「日本に必要だと思うことをしているだけだよ」
 それが今の日本の総理だというのだ。 
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