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一般人(?)が転生して魔王になりました

作者:ビヨン
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 後見人と封

 
前書き
 夜のテンションで急ピッチで書き上げた駄文が出来ました。色々とおかしな所が在ると思います。それでも良いというのならどうぞ。 

 
(さてさて、どうでるのかな蓮華君は?)

 桜華は悠然とその場に佇んでいた。
 油断無く、ただ次の手を待っていた。
 相手は神殺しにして御剣の集大成。まだまだこの程度ではないだろう。

「地帝乱刃」
 
 ただ一言口にするだけで無数の刃が形成され、それが一斉に放たれる。
 それを蓮華は斬り、念動力で叩き潰していく。 

(確かにその念動力は攻防どちらにも使える汎用性の高い異能だ)

 地帝乱槌で形成された塊を念動力で逸らして向かってくる蓮華を見ながら考える。

(けど、僕にダメージを通すには決定打に欠ける。さて、本当にどうするのかな?) 

 如何にして出し抜いてくるかを待つ、その考えはとても楽しそうだと元従者は後に語っていた。

◇ ◇ ◇ ◇

 結界内での蓮華と桜華をアテナは見ていた。
 蓮華が投げられる一連の動作を。

「未来視による先読みで相手の行動を把握し、その流れに沿って力を利用する柔術。厄介なものを身につけているな」

「ええ。厄介さで言うのならダントツです」

 それは魔神が近接戦に対処する為の技術。未来視の魔眼で数秒先を視て、相手の力の流れに沿い、自身の力で向きを変えて放り投げる。
 聞いていると簡単そうに聞こえるのだが、神や神殺し相手に行えるかというとほぼ不可能に近いだろう。

「―――へぇ~。あれが世界最強の魔術師と言われる魔神(桜華)か。御伽噺と言っている人が見たら教授を願いたくなる魔術だね」

 詠唱を省いて一言で発動とか色々と理不尽だね、と言いながらアテナたちの方に向かってくる人影が二つ。

「随分と早かったな」

「どちら様でございましょうか?」

 シリウスがその声の方に問う。
 そこに居たのは黒髪を後ろで纏めている女性とその女性に手をつながれている少女であった。

「ああ、始めまして。僕の名前は伊織カズキ。蓮華君の後見人さ」

◇ ◇ ◇ ◇

 蓮華はこの状況を変える為に、此処でもう一枚カードを切ることにした。

「一は全、全は一―――我は世界の真理を知る至高の哲学者、世界の創造を再現し、極めた偉大なる者。故に我に不可能な事は無く、全てを可能としよう!」

 始祖の錬金術師と戦い、勝利して得た権能。あれはアレでかなり面倒な神であった。然しその力は応用範囲が広い。
 蓮華の目の前に赤い石が現れた。それを蓮華は口に銜え、両の手を叩き合わせた。
 行使する力は決めている。後は駆けるだけ! 
 変化は一瞬。迫っていた杭は塵と化し、障害が消える。
 その一瞬を得た蓮華は一気に駆ける。 

「地帝乱鎚」

 桜華が術を放つが――

「遅いし、意味が無い!」

 力を込めて踏み込んだ地面が爆ぜ、蓮華の姿が掻き消える。それと同時に土の柱は杭と同じように塵と化していく。
 そして消えた蓮華が桜華の前に姿を現す。
 桜華は障壁を作り出し防御する事は、予想道理である。

―四式__穿牙―

 多重障壁が張られると同時に、回転を加え貫通性を高めた鋭い刺突を放つ。刺突は障壁を易々と貫いていくが、刀身に罅が入っていく。
 最後の一枚を貫いたところで刀身が砕けてすぐに刀を手放し、次へと繋げようとするが――

「時間切れだよ――地帝乱柱」

 地面から土の柱が勢いよく現われ、それを避けるために蓮華は後ろへと距離を取った。

「……まだやれる」

 もうちょっとで届きそうなのに終わると言うのは不完全燃焼だ。

「君はそうかもしれないけど、僕は違う。それにお客さんが来ているみたいだよ」

 術で外を見ていた桜華は丁度いいと言い、結界を解く。
 隔離された結界から出ると、見知った人と知らない少女がいた。

「……カズキさんと誰だ?」

「…………」

 桜華は眉をひそめ、訝しげな眼で見ていた。そして機嫌が一気に急降下した。

「……まだ続けていた屑共がいたか…」

 ボソッと小さい声で背筋が凍るような声音で桜華は呟いた。

「…何か言った?」

 スルーするべきかかなり迷ったが言葉に込められていたのが気になりついつい聞いてしまった。
 いや、何も言ってないよとはぐらかしながら桜華は聞いた。

「ところで、あの女性は誰だい?」

 とても綺麗な美貌で、年は二十代に見える。
 背は高く、腰にまで届く長い黒髪を後ろで結っている。体のパーツは細く、どこか儚げだ。ただし、知っている人が見れば詐欺だというが。

「あ~、あの人は伊織カズキって言って親父とは親友で、俺の後見人。で、見た目は完全に女性だが、男だ」

「蓮華君の後見人ね~。………ん、男?」

 アレで?と信じられないという顔で蓮華に問う。

「初対面の人は皆間違えるんだ」

 実際俺も間違えた。初見で見破った人は今のところ数人だそうだ。
 
◇ ◇ ◇ ◇

「改めまして蓮華の後見人の伊織カズキです。よろしく」

 中性的というよりか女性的な顔立ちをし、四肢は細く、髪は長く艶やかだ。見た目は女性しか見えないのだが、それで男だと言う。一種の詐欺といえるだろう。

「うん、生まれる性別を間違えているよね」

「ええ。こんな人がいたとは、世の中には不思議な事が在りますね」

「よく言われますよ」

 言われ慣れているカズキはさして気にする事は無かった。何せ初対面の人にはよく言われているだ。

「で、そっちの子は?」

 先ほどからカズキさんに隠れている少女のほうを見る。

「ほら、隠れてないで行ってきなさい。僕以外の人と触れ合うことも必要だよ」

 その様子は子供を同年代の子と触れ合わせようとしている親だ。

「……酷い事しない?」 

「蓮華君はそんな事はしないさ。僕が保障するよ」

「…そう」

 そう言って少女はこちらに来て、じっと見るている。どうしよう。
 カズキさんはヒラヒラと手を振って桜華とシリウスを連れて行くし、アテナは興味なさそうにしている。

「………」

「…御剣蓮華だ」

「……篝火(かがりび) 彩火(さやか)

「彩火ね、いい名前だね」

「……貰った名前だから」

 ああ、カズキさん拾ってきたのか。あの人ふらっと何処かに行ったと思えば、異能者を引き取って来て、異能者協会に預けているからな。
 異能者協会とは、様々な理由のある異能者を引き取り、異能の制御法を教える、自立できるようにする、簡単に言えば学校兼孤児院という所だ。
 けど、何で今回はこっちに連れてきたんだ?

◇ ◇ ◇ ◇

「この部屋、自由に使って良いからな」

「…わかった」

 部屋を案内した後どうしようか蓮華は考えていた。
 不完全燃焼なのだから適当に体を動かすべきか。それとも頭脳を働かしているべきか

「見つけたよ、蓮華君」

「何か用ですか、カズキさん」

「ちょっと良いかな」

「良いですけど」

「蓮華君、神殺しに成ったんだろう」

「成りましたけど、何か?」

「ちょっと体を見せて欲しいんだよね」

 主治医としてね。とカズキさんは告げた。
 伊織カズキは医者をしている。蓮華が小さい頃から負って来た傷は全てカズキさんが処置して綺麗に治したものだ。
 腕は超一流で現代のブラック・ジャックという奴だ。
 
―閑話休題―

「まあ、良いですけど」

「ありがとね。それじゃあ、行こうか」

◇ ◇ ◇ ◇

 寝台でうつ伏せになっている蓮華を診ながら蓮華の今の状態を書き記していく。
 骨は頑丈、回復力生命力共に向上。

「蓮華君、異能については何か変わった事はあるかい?」

「揮える力の総量が変わったことですかね」

 内側から湧き上がるようにして念動力の出力が上がった。加減を覚えるのに苦労しているが、手札の一枚になるだろう。

「そうでしょうね。封を強引にでも破ればそうなりますよ」

「…………what?]

 え、今何ていったんだ。思わず英語が出てしまったんだが。

「だから、封ですよ。あなたが生まれた当時の話ですかね、死に掛けたんですよ。―――自身の力に耐え切れず風船が破裂するかのように。まあ、燐が止めましたよ」

 幾つかの封を掛ける――錠を掛ける様にしてですけど、とカズキは告げた。

「……もしかして、結構拙い?」

「まあ、それなりに。二つ目の封が内圧に耐えられなくて弾ける寸前と言うところですね」

 だから診察していたんですよ。と言い、カズキは器具を取り出していく。
 針だ。数十本以上の細い針だ。ただしそれには本来針には必要ないであろうオーラが在った。

「私がするのは蓮華君に掛けられた二つ目の封を解く事だけ。そうすれば万事解決です」

 ついでに、疲労回復効果もありますよ。

「因みにやらなかった場合は?」

「…………ご想像にお任せしますよ」

「お願いします」

 その間が現実味を帯びさせた。うん、流石に自身の力が原因で死にたくないからな。

「では」

 カズキは体に針を刺していく。
 あ~、何だか気持ち良い。というより、落ち着くな。欠けていた何かが嵌っていくかのよう。

「そう言えば、話は変わるけど、どうして篝火彩火と言う名にしたんですか」

「―――あの子の異能と名を与える前の呼び名でその名にしただけだよ。変かい?」

「いい名前だと思いますよ。イグニスっていう名前よりは、今の方が可愛いと思いますし」

「やっぱり分かったのか」

「ええ。まあ、気づいたのは今ですけど」

 不完全燃焼だったのを頭を働かす事により紛らわしている。
 さて、イグニスというのはラテン語で篝火、炎の意味だ。
 篝火を苗字として、火を名前に入れて、彩は女の子らしいのを選んだ結果か?
 その後処置が終わり、掛けられていた封は一つ解かれ、体の疲労が吹き飛んだのであった。

◇ ◇ ◇ ◇

「……」

 懐からキセルを取り出し、火を付け、一服。
 最近子供が傍に居たので吸う事が出来なく、ご無沙汰だった。

「終わったようだな」

 アテナが傍に立ちながらそこにいた。

「ええ、終わりましたよ。蓮華君に施された二つ目の封は解きました。後は時が進み次第です」

 けれど――

「本当によかったんですかね」

「今更だろう。元より最初の封が解かれるのは予想できていた事だ。幾ら封魔師と言われた燐でも、アレには敵わんからな」

 蓮華の中に居るモノには。

「蓮華君は何であんな力を持ってしまったんでしょうかね」

 人の身に余り過ぎ、所持者を殺す力を。

「知るわけが無かろう。当人ではないのだからな。だが、受け入れられる器は用意したつもりだぞ」


「蓮華君次第ですね。本当に」

 頑張りなよ。 
 

 
後書き
 最近忙しく、そして書けば書くほどクオリティが下がっているように感じる駄作者ビオン。スランプ気味ですが今後ともよろしくお願いします。 
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