東方魔法録~Witches fell in love with him.
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6 入園~What's on her mind when she have contact with him.
前書き
この話を見る前に皆様、イメージトレーニングの練習をしましょう。
身長90センチぐらいのあどけない顔つきで幼いパチュリーを…
思い浮かびましたか?では本編をドウゾ
俺はちょっと緊張している。幼稚園であるが集団に初めて入るという行為は多少なりとも緊張するものだ。期待、もある。楽しみだ。
これから入る幼稚園は人間に見付からないために別空間に建物があるらしい。空間魔法がどうとか入園説明書に書いてあった。
そして入園説明書によれば幼小中高大、全て一貫であるみたいだ。二度見したんだ。間違いない。なんでも魔法使いの減少が原因らしく、今年入園する園児も僕とパチュリーを含めて四人しかいないらしい。
クラス分けもなく、園児は園児だけ、小学生は小学生だけといったくくりで部屋分け。ひぐらしのなく頃に、のような田舎の学校を思い浮かべてもらうと早いだろうか。流石に小学生と中学生は混じっていないが。
「準備はいい?ハンカチとティッシュ持った?」
俺はこくんと頷く。
「それじゃいくぞ」
父さんは玄関のドアに魔法をかけた。そして扉を開くと…
「うわぁ…」
そこにはまるで映画のようなレンガ造りの建物が立ち並んでいた。ところ狭しと店が並んでいる。その奥にはそこまで高くはないが、少なくとも店よりもずっと高い二本の古びた塔が建っていた。
「どうだ明希、凄いだろ。ここはウェネフィクスって言う街だ」
「うん…凄い…」
店には見たことのない道具や生き物であふれている。大人も出入りしているところを見ると、店は子供専用という訳ではなさそうだ。
「ほら、あの塔がこれからしばらくお世話になるウェネフィクス学園だ」
「ウェネ…フィクス…」
俺が呆然としているうちにパチュリー達もやって来た。後ろを振り返ると、ドアが何十もあり、人が出て閉まった後に今度はまた違う人が出てくる。仕組みはさっぱりわからないが父さんが使ったあの魔法はここに繋がっているみたいだ。
「お、ちょうどいいところに来たな。時間もあまりないから早くいくか」
「そうだな」
するとパチュリーはとことこ俺に近づき、何故か手を繋いできた。柔らかい、じゃなくて何故に?あの、パチュリーさん?ちょっと恥ずかしいんですけど。
「あらあら」
「あらまあ」
母さん達の方を見ると意味深な笑みを浮かべてこちらを見ている。
なんてこった…メチャクチャ恥ずかしい…。でもパチュリーの行為を無理に振りほどく訳にはいかないから期待と緊張と恥ずかしさでドキドキしながら、手を繋いだままウェネフィクス学園に向かって歩いて行った。
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俺はかなりウンザリしている。幼稚園という場所に集まる奴らがどんなのか頭から抜けていた。
「びぇぇぇん!」
「ママァァァ!」
俺とパチュリー以外の残りの二人。俺と同期になるわけだが…。とにかくうるさい。でもまぁ、中身がアレな俺と知識をかなり蓄えたパチュリーが普通じゃないのか。
「ねえ、明希。何で二人は泣きわめいてるの?」
「見知らぬ人が一杯で恐いんじゃないの?」
僕たち入園者は四人で横に並んで座っている。パチュリーは僕の隣だ。母さん達保護者は少し離れて後ろの方で座っている。
「あと、母さん達が近くにいなくて寂しいのもあるかな」
「ふーん。私は明希がいるから寂しくなんてないけどね」
不意にドキッとした。
パチュリーさん!?男の子にそんなこと言ったら色々勘違いを起こしちゃいますよ!?
落ち着け…僕はロリコンじゃないんだ。パチュリーは可愛いが三才児に恋愛をするなんておかしいぞ。巷ではJ(女子)S(小学生)ならぬJY(幼稚園児)というものが存在するけど絶対恋愛感情とかわからないから!
「どうかしたの?」
「い、いやいや、どうもしてないよ!?」
今日はパチュリーにドキドキさせられっぱなしだ。まだドキドキが治まらない。
お陰で学園の先生の言っていたことがまったく耳に入らなかった。
次の日
「明希。これを持っていけ」
父さんから古びた鍵を渡された。
「これは?」
「それを玄関の鍵に刺してみろ」
言われた通り鍵をドアに刺そうとしたが、身長が足りずギリギリ届かない。
「う~届かない~」
「まだ届かないか。貸してみ」
一旦父さんに鍵を渡す。父さんはドアに鍵を刺して玄関のドアを開けた。ドアの向こうにはウェネフィクスがあった。
「え、父さん。魔法を使ってないのに何でウェネフィクスに繋がったの?」
「この鍵のお陰だ。この鍵は家とウェネフィクスのドアを繋ぐマジックアイテムなんだ」
「でも父さんは鍵を使わず魔法を使ってたよね?」
「まあな。空間魔法っていってこの魔法を使うのは難しいんだ」
「教えて教えて!」
「魔法が上手くなったらその内な。それに明希はまだ魔法を使えないだろ?」
そうだった。僕とパチュリーは一応、魔法は使えるけど親を驚かすために内緒で魔法を勉強しているんだっけ。あぶないあぶない。
「ほら鍵。それじゃ行ってこい」
「うん。いってきまーす!」
父さんから鍵を受け取ってドアをくぐった。
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ドアをくぐるとパチュリーも同時にドアから出てきた。気が合うね。
「おはようパチュリー」
「おはよう明希」
挨拶を交わすとパチュリーはとことこ俺に近づき、何故か手を繋いできた。柔らかい、じゃなくて…デジャブ!?
「貴方達は仲良しなのね」
声のする方を見るとエプロンをかけた女性がいた。この人は入園式の時に前で話していた人だ。もっとも、話はパチュリーの言葉にドキドキしていて聞いていないけど。…いかん、思い出してまたドキドキしてきた…
「私は貴方達の先生よ。よろしくね」
エプロンの女性…幼稚園の先生が膝をついて俺達と同じ目線で話しかけてくる。流石は先生。子どもに話しかける時は同じ目線に立つと親しまれやすいと言うことがわかっている。まぁ、先生なんだから当たり前か。
妙な感心をしていると同期の二人が親と一緒に扉から出てきた。
「先生、うちの子ども達が迷惑をかけますがよろしくお願いします」
二人はどうやら兄弟らしい。そして兄弟の親がペコペコ頭を下げてお願いしていた。
「はい。わかりました。…はーい。二人とも私とお手て繋ごうねー」
そうしている内に、上の年の園児達がぞろぞろ集まってきた。どうやら園児はこの時間集まって集団登校するみたいだ。
5分ほどして全員集まったようで先生が「いきますよー」といって学園に向かって歩き始めた。
僕は手を繋いだまま先生の後についていった。
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