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久遠の神話

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第九十五話 中田の決断その九

「ではですね」
「うん、幸せにね」
 アポロンはこう言って今はだった、後はだった。
 家族にだ、笑顔のままこう言った。
「じゃあ俺今から学校だから」
「学校だからか」
「今からなのね」
「ああ、それじゃあな」
 行って来ると告げてだ、そしてだった。
 中田は今は病室を出てそのうえで大学に向かう。そして病院を出たところでだった。聡美が真剣な面持ちで待っていた。
 そのうえでだ、まずは頭を下げてこう言って来たのだった。
「おめでとうございます」
「ああ、よかったよ」
 聡美にもだ、中田は心から微笑んで答えた。
「最高のハッピーエンドだよ、有り難うな」
「そうです、貴方のご家族はこれで」
「助かったよな」
「そして貴方が戦う理由もです」
「なくなったよな、だからな」
 それでなのだった、彼は。
「もう戦わないさ」
「それでは」
「ただ、最後の闘いだよな」
 中田は表情を変えた、喜びの中に真剣なものを入れてそれで言うのだった。
「それのことだな」
「はい、そのことは」
「誰と闘いたいか、言うな」
 今ここでだ、そのことを言うというのだ。
「それをな」
「はい、それでは」
「俺が闘いたいのは剣士だよ」
「えっ・・・・・・」
 闘いたいのが剣士と聞いてだ、聡美は。
 顔を蒼白にさせてだ、中田に即座に反論した。
「あの、それは」
「駄目だっていうんだな」
「それをしては」
 何としてもだ、止めて欲しいというのだ。
「なりません」
「そうだよな、けれどな」
「それでもですか」
「俺はな」
 闘いたいというのだ。
「最後の最後にな」
「まさか貴方は」
「俺は剣道やってるよな」
「はい」
「剣道家とまでは言わないけれどな」
 自分ではそう言われるまで至っていないと思いこう言うのだった、中田にとって剣道家とは剣の道を極めた者だからだ。 
 だからだ、今はこう言うのだった。
「それでもな」
「剣道をしているからこそ」
「確かな奴と正々堂々闘いたいんだよ」
「道に生きる者として」
「ああ、そうだよ」
 こう思い、というのだ。
「最後の最後に闘いたいんだよ」
「例えそれが命を落とすことであろうとも」
「ああ、それでもな」
 例えだ、そうであってもだというのだ。
「俺はそうしたいんだ」
「どうしてもですね」
「最後の最後の我儘をいいか?」
「おそらく。私が止めても」
 それでもだとだ、聡美も覚悟を決めた。
 そしてだ、こう中田に言うのだった。 
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