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精霊と命の歌

作者:蒼鈴六花
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Disc1
  音共鳴せしギザマルーク洞窟

 
前書き
思ったよりギザマルーク洞窟の話で書く事なくておまけを書きました。
前の話から一変してシリアスで暗い雰囲気になりますがおまけは明るいです。

 

 
僕達はチョコボに乗って沼を越えた先にあるギザマルーク洞窟についた。チョコボ達とは一旦別れ、洞窟に入る。
洞窟入り口ではネズミの兵士達が倒れ、どの人も息絶えていた……
この様子から見ても、ブルメシアの状況は最悪だと分かる。
僕達は急いで洞窟内に入る。

(どうして……どうしてこんなひどい事をするんだろう……)

(……人間の争いに正直興味はないが、人は他をも巻き込み争う。時には世界を滅ぼしかねないような事すらする)

(ラタトスク……)

(安心しろ。今は人間を滅ぼそうなんて考えないさ。ただ、人間が全てロイド達のような奴等じゃない。たとえ善人であっても変わってしまう事もある。……人間は脆い。簡単に変わり、死んでしまう)

ラタトスクが今、何を考えているか分からない。
とても深く、何かを考えて思い出しているのは分かるけれど。
精霊としての記憶の薄い僕には過去に何があったかあまり分からない。
ただ僕達は昔、人に裏切られたり……人を殺してしまったりした。
ラタトスクは長い時を生きた記憶があるからもっと沢山色んな人を見たと思う。
その中で沢山人間の嫌な部分も見たんだと思う。いや、長い時を生きる分、見ざるえなかったのかもしれない。

(……それでも、それでも僕は……人を信じたいよ)

(……お前がそう言っていられるなら、俺は安心できるよ。俺の中にも人間を信じたいと思う気持ちがあるって事だからな……)

(……ラタトスク)

(さあ、急げ。少しでも被害をなくしたいんだろ?)

(うん)

会話を終え、洞窟内に入ると開かない扉が道を塞いでいた。
入り口の番をしていた人は僕達にドアを開けるのに必要なベルを託して死に、僕達はベルを鳴らす。
すると門のベルと僕達のベルが共鳴して持っていたベルが砕けると同時に扉が開く。
扉を潜ると気味の悪い二人組みはビビそっくりなダリの村で作られていた人達に命令して僕達を襲わせる。

表情が分からないけれどとても苦しそうなビビ。
声をかける暇も無く、戦闘は始まったけれどビビは戦っていた。
倒した後は動かなくなり、それを見た二人組みは逃げたけれど……ビビはじっと動かなくなった人を見て帽子をかぶりなおしていた。

そして、僕達はベルを手に入れながら先へ進むと巨大な鐘の前で女性? と思われるモーグリに出会う。
どうやら、旦那さんが鐘の中に閉じ込められているみたいだけれど……
結婚式を挙げていた所で双子とその兵士に襲われたようだ。

「どうにかして、助けてあげられないかな?」

「普通のチカラじゃ、持ち上がんなさそうだぜ?」

助けてあげたいけれど、方法が無い。
僕達が悩んでいるといきなりモグミというらしいモーグリはビビの周りをぐるぐる回って匂いをかぎ始めた。
戸惑うビビにモグミはクポの実を持っているかと聞くと、リンドブルムでもらったらしくモグミにあげた。
するとモグミはクポの実があると旦那さんのモーグリが凄まじい勢いで飛び出してきた。
あれ? 何か見覚えのある光景……
クポの実を持って走り去る旦那さんモーグリにモグミさんは僕達に礼を言って追いかけて行った。

僕達はその後、進んだ先の部屋で再びモグミさんと会ってモグミの旦那さんのモグタからホーリーベルと言うちょっと今までのベルとは違うベルをもらい、進めなかった洞窟出口に繋がる部屋に向かうと瀕死の兵士がいて、その人から妙な二人組みによってこの洞窟の主であるギザマルークが操られているという。
そして話を聞き終えた時、水路から巨大な水竜のようなモンスターが現れる。

「ギザマルーク様を鎮めるのじゃ!」

「わ、分かった!」

あれが、ギザマルークだったんだ……
何とか正気に戻させないといけないけれど、手加減をするには苦しい相手みたいだ。

「ファイア!」

「ギシャアアア!」

ビビがファイアを放つとギザマルークは苦しげにうめき、奇妙な声を出す。

「!?」

「どうしたの!? ビビ!」

ビビの様子がおかしい。咽喉に手を当てているけれど……

(あいつ……話せねぇんじゃないか!?)

(ええっ!?)

じゃあ、あの声には話せなくなる効果があったの!?
魔法が使えなくなって混乱から無防備になったビビにギザマルークが攻撃する。

「ビビ、一旦下がって! クイナ! ビビにこれを!」

ビビへの攻撃を剣で弾いた後、リンドブルムで買ったやまびこ草というのをクイナに渡してビビと共に下がらせる。
その間にフライヤさんは狩猟際で見せた高く飛んで攻撃する戦い方で、ジタンは新調した盗賊刀という左右両方に刃のある特殊な剣で戦っていた。
僕も戦いに加わりつつ、考える。

(あんまり傷つけずに気絶させられれば良いんだけれど……)

(確か、コレットがピコハンとか言う技で敵を気絶させていた事があったな)

(でも、僕にあの技は使えないよ……コレットはどうやって使っていたんだろう……)

そう考えていると頭を軽く叩かれる。

「へ?」

頭の上には相変わらず乗っているテア。
あれ? チョコボ達について行ったと思ったけれど……何時の間に頭の上にいたんだろう?

「きゅ! きゅーい!」

(何か、技を発動させようとしているみたいだぞ)

(え?)

「きゅー!」

ぴょんっと落ちないように僕の頭の上で飛び跳ねたテア。
するとギザマルークの頭上に光が現れ、そこから現れた物がギザマルークに当たってピコっと音がする。

「へ?」

気絶したギザマルークは崩れ落ちるように水路へと沈んでいく。

「な、何が起きたのじゃ!?」

「変な物が当たって気絶したように見えたが……なんだ、あれ?」

「きゅーい!きゅーい!」

唐突に気絶して沈んだギザマルークに驚くジタン達。
褒めて褒めてといった感じで頭の上で飛び跳ねてから頬擦りするテア。
なんともいえない状況だ。

それから皆に説明を求められ、僕は分かる範囲で答えた。

「つまり、テアの技が原因だと」

「うん。で、出てきたのが昔一緒に旅をした僕の仲間が使っていたピコハンって言う物なんだ。たまに相手を気絶させる事が出来るんだけど……まさか、気絶させられるなんて……」

「なんとも変わった物じゃの。しかし今回は助かった」

「きゅううい!」

なんでテアがピコハンを使えたか分からないけれど……今はそれよりブルメシアに急がなきゃ!
フライヤさんはギザマルークが操られていた事でブルメシアの危機が思ったよりひどいと思ったみたいですごく険しい表情だ。

「この洞窟を出ればブルメシアはすぐそこじゃ! 急ぐぞ!」

焦る気持ちが強くなる中、僕達は洞窟を抜けてその先の霧の大陸を通ってブルメシアへと向かう。

ブルメシアに近づくにつれ怪しくなる雲行きに一雨来る事を感じながら、それと共に漂ってくる血と煙に嫌な予感を強めていった……





おまけ 
スキット『不思議なポーチ』~リンドブルムからギザマルーク洞窟の途中~

「なあ、エミルのそのポーチってどうなってんだ? ウルにあげた野菜もポーチには入りそうにないくらい大きかったし……」

ジタンが不思議そうな顔で質問する。

「え、えーと僕にも良く分からないんだ。このポーチは……その、知り合いが作ったんだけど……」

「その知り合いは何か言ってなかったのか?」

「特殊な呪いがかかっているとか言っていたけれど……結局は闇の秘密とか言って教えてもらえなかったんだ。まあ、見た目以上にかなり物が入るし便利だから今でも使っているんだけれどね」

「それ、大丈夫なのか……?」



スキット2『野菜を買った理由』~リンドブルムからギザマルーク洞窟の途中~

「ねぇ、エミル」

「ん? どうしたのビビ」

チョコボに乗りながらビビが話しかけてくる。

「チョコボにあげてた野菜ってどうして買ったの? チョコボの事知らなかったみたいなのに……」

「それ、オレも気になるな。何でだ?」

「え、えと珍しい野菜って言われて料理に使えるかなって思って買ってみたんだ」

「エミルは料理作るアルか!」

横からジタンも会話に加わり、さらにクイナが凄まじい勢いで話に食いつく。

「う、うん。結構料理は好きなんだ……」

「へぇ、エミルは料理作れるのか。オレは簡単なものしか作れないな」

「ボクも少しだけしか……」

「エミル! 料理作るアル!」

「え!? 今はお昼食べてからそんなに経ってないし、今度作る機会があったら作るよ」

「ほう、それは楽しみじゃな。期待させてもらうとしよう」

「そ、そんな大した物作れないですよ?」

「楽しみだなぁ……エミルの料理」

「期待してるぜ? エミル」

「おいしい物沢山作るアル!」

「え? え? な、なんでそんなに期待されてるの!? 大した物作れないって言ったのにー!」



スキット3『何でも食べるクイナ』~リンドブルムからギザマルーク洞窟の途中~

「クイナって嫌いな物あるの?」

「マズい物はきらいアル」

「えーと、じゃあ食べれない物ってあるの?」

「マズすぎる物は食べたくないアル」

「……(つまり……食べられない物はないって事、なのかな……?)」



スキット4『優しいラタトスク』~ギザマルーク洞窟内~

どてっとビビが転ぶ音がする。

「……」

「そんなに怖がらずとも何もしねぇし待っててやるよ」

ため息をつきながらビビを立たせて待つラタトスク。

「……ラタトスクって優しいんだね」

「な!? い、いきなり何言いやがる!」

「……だって、ボク、怖がったのに……待っててくれたから」

「……別に、一人残して魔物に襲われ死んだりしたら寝覚めが悪いと思っただけだ。ほら、ぼさっとしてないで行くぞ。俺まで置いていかれる」

「……うん(やっぱり、やさしいと思うけどなぁ)」

自分の事を気にかけてくれるラタトスクの事をそう思うビビだった。



 
 

 
後書き
エミルは精霊の記憶をあまり持っていない設定。ラタトスクの騎士本編で記憶を取り戻した後もあんまり記憶が無い感じだったので……
精霊の力もラタトスクしか使えない設定にしてるし、精霊要素は基本ラタトスクみたいな?
ただ、トランスはエミルもラタトスクも同じです。

そしてテアの技は実はランダム技。ポケモンのゆびをふるみたいな物。ランダムで何かを落とします。
この技のせいでちょっとギザマルークがかわいそうな事になってしまいましたが……
本編だと、わりと強いんですけどね……テント使わなければ。

スキットについては……好評だったり短い話の時に書こうかなと思っています。
 
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