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戦国異伝

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第百五十五話 加賀入りその七

「しかしその通りじゃったな」
「ああ、それでどうするんだい?」
「敵の速さはわかるか」
「北東が一番速いな」
 煉獄はこのことも述べた。
「大蛇が今見てるぜ」
「ふむ、そうか」
「殿様、面白いことがわかったぜ」
 今度はからくりだった、彼もまた出て来て言う。
「敵だけれどな」
「あの闇の者達か」
「ああ、灰色の連中はいねえ」
「あの者達が本願寺の者達じゃがな」
「灰色の連中は金沢にいるぜ」
 そこにだというのだ。
「尾山御坊とかにな」
「まだまだ後ろじゃな」
「数は十万ちょっと、けれどな」
「動かぬか」
「どうやら殿様が門徒の命を狙わないって聞いていてな」
「迷っておるか」
「連中は無駄死にするなって言われてるからな」
 顕如、他ならぬ彼にだ。
「だからだな」
「それでじゃな、ではじゃ」
「とりあえず連中だよな」
 煉獄は顔を上げて信長の顔を見て問うた。
「そうだよな」
「うむ、まずは北東じゃ」
 そこにいる闇の服の者達をだというのだ。
「そして次は北じゃ」
「そこの敵も叩くのかよ」
「最後は北西じゃ」
 順番にだ、各個で叩いていくというのだ。
「そうするとしよう」
「殿、その数は」
 拳も出て来た、その彼が言うには。
「北が十万、北西が九万」
「そして北東が八万じゃな」
「それぞれの数は我等より少ない」
 合わせての数が二十七万だというのだ。
「そうなっている」
「ふむ、では尚よい」
 信長はその数も聞いて笑って述べた。
「敵の数がどれだけ多くともそれぞれ分かれていてはな」
「倒せるか」
「この戦も勝ってみせよう」
 信長は飛騨者達の話も聞いて言うのだった。
「ではな」
「ああ、頑張ってくれよ」
「今度も楽勝してくれよ」
 煉獄とからくりが応えそしてだった。
 彼等は姿を消してそしてだった。
 信長は諸将を厚め飛騨者達から聞いたことをそのまま話した、そのうえで彼等に対してこう言ったのだった。
「では今よりじゃ」
「まずは北東ですな」
「そこから来る軍勢をですな」
「倒す」
 そうするというのだ。
「そして次は北じゃ」
「最後は北西ですな」
「各個にですな」
「蛇が三匹おれば三匹集まる前に潰せばよい」
 造作もないといった口調だった。
「ではよいな」
「はい、今より我等も出陣し」
「そのうえで」
「褒美は思いのままぞ」
 信長は彼等にこう告げその士気も鼓舞する。 
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