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精霊と命の歌

作者:蒼鈴六花
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Disc1
  怪しさ潜むダリの村

 
前書き
思ったより先に進まなかったです。
ボス戦までいけるかと思いきや次回に回ってしまいました。

 

 
「原石ちょうだいっ!」

村へと続く平原を歩いていると突然現れたリスみたいなモンスター。
襲ってくる様子もないし、可愛らしい魔物からのおねだりされた使い道がいまいち分からない原石は氷の洞窟で拾った物をあげた。

「ありがとっ!」

変わったモンスターもいるんだなぁと思いながらも去っていくのを見送る。
ラタトスクがいたら何か聞けたかも知れないけれど、今は眠っているしまあいっかと村へと向かった。

そしてついたダリの村。
ビビと一緒に風車を見たかったけれど早めに宿に向かう事になり、まだ日が出ているけれど寝る事になった。
ちょっと宿屋の人がおかしかったけれど泊まれる事になった僕達は部屋に入ると……

「ベッドが四つしかないね……」

「おっさん、立って寝ろよ」

「ぬぬっ! お前が立って寝ればよかろう!」

「け、喧嘩はやめて! 僕が立って寝るから、皆はベッドを使ってよ」

僕がそう言うとジタンはジト目でスタイナーさんを見る。

「おっさん……」

「な、なんだその目は! エミル殿は立って寝ずともよいのです! こやつに立たせればいいのですから!」

「このままじゃあ……二人ともずっとそう言い続けるでしょ? 大丈夫。立ってと言うよりは座って寝る事になるけど座って寝るのは慣れているから」

何とか二人の喧嘩を止めて、これからについての話をする事にした。
途中でビビが眠たそうに舟をこぎはじめたので眠るように言って僕はジタン達の話をそこら辺にあった椅子に座りながら聞いた。
ダガーさんはリンドブルムっていう所を目指していたみたいだけれど……
またジタンとスタイナーさんの口論がヒートアップ。
この二人、相性がとことん悪いのかな?

「ビビが起きちゃうし、口論はその辺にしてもう休んだ方が良いんじゃないかな? 皆疲れているし……」

「そうだな。おっさんはほっといて寝るか」

「くっ~~~~!」

皆はそれぞれのベッドで寝る。
僕は少しの間、起きていたけどすぐに寝てしまった。


翌日。

僕はビビと一緒に風車を見に行こうと思ったけれど起きた時にはジタン以外皆起きていてどこかへ行っていた。

(起きたか。あいつらならそれぞれ外へ出て行ったぞ)

(あ、ラタトスクも起きたんだね)

僕はラタトスクにこれからどうするか聞かれ、ビビが向かったらしい風車に行こうと思ったけれど……

(その前に道具を最低限用意しといた方が良いだろう。武器はあるが、アイテムがない。金は少しならあるんだろう? なら買い揃えるべきだ)

(あ、そうだね。でもこの村、何処にお店があるんだろう?)

(さあな。村の見学ついでに探せば良いじゃねぇか)

そうして僕達は村を回る事になった。

まずは宿の向かいにある村にある唯一のお店に向かったけれど……残念ながら装備品しか売っていなかった。

「お薬とかなら酒場で売っていますよ」

「あ、そうなんですか。ありがとうございます」

「いえいえ」

酒場で薬を売っているなんて変わっているなぁと思いつつ教えてもらった酒場へと向かう。
その途中でビビを見つけた。

「ビビ」

「あ、エミル」

声をかけるとこちらに向くビビ。
周りを見ても何もないようだけれど……ビビは何を見ていたんだろう?

「ねぇ、ビビは何を見ていたの? 何もないみたいだけれど……」

「うん……確かに何もいないんだけれど、クェ~って鳴き声がするんだ」

クェ~? なんだろう? モンスターかな?

(いや、モンスターの気配はしねぇ)

(え? じゃあ何の声なんだろう?)

本当に気になる。

「何の声なんだろうね?」

「分からない。ねぇ、エミルは何処へ行こうとしていたの?」

「薬が売っているって言う酒場に行こうと思っていたんだ。最低限のアイテムは買っておこうと思って」

「そっか……僕、そう言う事考えてなかった。エミルはすごいね、ちゃんとそう言う事を考えられるなんて」

「……前にも旅をした事があったからね」

僕じゃなくて、ラタトスクが気付いたんだけれど……早くラタトスクの事、話したいな……

「そうなの? ……ねぇ、どんな旅だったの?」

「うーん、ちょっと話が長くなるからあんまりここでは言えないけれど……ここよりずっとずっと遠い所を仲間達と旅していたんだ」

「そうなんだ……また、時間があったら聞かせて欲しいな」

「うん、良いよ」

そこで僕はビビと別れて酒場に向かった。

「ん? エミルがこんな所にいるなんて珍しいな」

そして酒場で薬を買っているとジタンがやって来た。

「あ、ジタン」

「もしかしてここのお姉さんが好みのタイプなのか?」

「そ、そうじゃないよ! ここは薬を売っているって聞いて買いに来たんだ」

こ、好みのタイプなんて……

(あんまり顔を赤くすると疑われるぞ。ったく、何年経っても初心だな)

疑われるのは嫌だ。顔を引き締めきゃ!

(引き締めても疑われるがな……普通の顔しとけ。平常心だ)

「へー、ここで薬がね。じゃ、俺も少し買ってくかな」

はー、何とか疑われずにすんだみたい。
ちょっと怪しい顔していたけれど……

その後、ジタンは少しだけ薬を買って店を出ようとした時。

「あ、そうだ。これから宿に戻ってこれからの事を話そうと思うんだ。買い物が終わったら宿に来てくれよ」

「分かった」

「もうビビとダガーには声をかけといたからな。じゃ、宿で待ってる。相談したい事があったら何時でも言えよ!」

そう言って去って言った。
う、疑われてる!? ごまかし切れなかった!

(わー! 絶対変に思われてるよー!)

(お前がそういう態度を取るから悪い。全く、まだまだお子様だな)

僕は少し落ち込みつつも買い物をしてから宿へと向かった。


それから宿に戻るとジタンとダガーがいた。(ダガーからはさん付けではなく普通に呼んでくださいと頼まれたから、さん付けをしない事にした)

「あれ? ビビは?」

「まだ来てないぜ。おかしいな、ちゃんと声はかけたはず」

「心配ですね……」

「確かに……探しに行くか」

ビビ、どうしたのかな?
心配しつつも皆で探す事になった。スタイナーさんもいない気がするけどジタン達は何も言わないし何か用事があるのだろう。
今はビビを探す事に専念しなきゃ。

「そういえば、僕が酒場に行く前にあそこにビビがいたけど……」

「オレもあそこでビビに声をかけたな……確か、チョコボの鳴き声がするって言っていたな」

「チョコボ?」

「人が乗れる黄色い鳥なんだが……いないよな?」

ラタトスクはモンスターの気配はしないって言っていたし、モンスターじゃないんだろうけど……

「確かにチョコボはいませんね……」

ダガーがそう呟いた時、どこからかクェ~と鳴き声がした。
僕達は声のした方に走る。
確かに、ビビのいた場所から鳴き声が聞こえた。
どこから聞こえたんだろうと思っているとどこからか泣き声がする。
ん? 泣き声?

『シクシク』

「ビビの声だ!」

「あの穴から聞こえるな……ビビ?」

ジタンはすぐ近くの地面に開いていた穴にしゃがんで声をかける。
するとビビの声が返ってくる。
ビビはこの下にいる!?

「大丈夫!? ビビ!」

「うん……大丈夫」

ジタンがビビに話を聞くと、ビビは人に連れ去られて地下にいるらしい。

「今から助けに行く! だから待ってて!」

「……うん」

ジタンはこの村に地下への入り口があると村を探す事になった。

「僕達が行った所に怪しい所はなかったとすると……村長の家か風車小屋が怪しい、よね?」

「そうだな。まず近くの風車小屋にいくか」

そして、風車小屋で怪しい蓋を見つけてそれを開けると地下へと続くはしごがあった。
僕達はそこから降りて地下に行く。
すると地下は洞窟のようになっていて見るからに怪しさ満点。
先に進むと黄色い鳥がいた。あれが、チョコボ……
そう思っていると先に歩いていたジタンが立ち止まったので自分も立ち止まるとジタンは大きな樽の影に隠れ始めた。

「どうしたの?」

そう聞くとジタンは口に人差し指を当てて静かにするように注意した。
僕とダガーは黙っていると声が聞こえてくる。
声は村人と思われる男の人の声でなんで動いてるんだろうとか箱の中に入れて送れば城の人が判断してくれるとか良く分からない事を言っている。
城と聞いた時にダガーが反応して、樽に描かれた模様を見て驚いた顔をしていた。
どうしたのかな?
そう思っているとビビが連れ去られようとしている。
思わずジタンと飛び出しそうに鳴った所をダガーに止められ、もと来た道へと戻される。

「ビビを早く助けないと」

「そうなのですが……少し待ってください」

ダガーに僕達を止めた理由を聞くと、どうやらさっきの大きな樽に描かれた模様みたい。
あれと同じ模様を城で見たというダガー。
きっとこの村はアレクサンドリアと関係がある。ダガーはそれをつきとめたいみたいだ。
だから騒ぎを起こさないで欲しいと。
でも僕達はビビが危ない目にあいそうになったら騒ぎを起こしてでも助けに行くと言い、ダガーはそれでも良いと僕達は行動を開始した。

途中で人が入れるような大きな箱が転がっていたりモーグリに会ったりしながら先へと進む。
すると、泣き声が聞こえる大きな箱があった。
中にビビがいる事を知った僕はジタンと一緒に箱からビビを出した。

ビビにどうしてこんな場所に連れてこられたか話を聞くとビビにも分からないみたいで、ジタンと話した後に連れ去られたみたいだ。
ビビを連れ去った人達に怒りが湧くけど……それ以上にビビが助かって良かったと思っている。

話を聞き終わった後はジタンがビビに自分から声を出さなきゃ駄目だと教えていた。
叫ぶと相手を驚かすだけじゃなく勇気も湧いてくるって。
なんだか、懐かしいな……

(あいつの言葉よりはずっとましだな)

(そんな事ないよ。あの言葉があるから今の僕がいるわけだし)

(どうだかな)

なんだか、ジタンとビビを見ていると当時の僕とリヒターさんを思い出す。
性格とか状況は全然違うけれど、あの人の言葉で僕が勇気をもらったようにジタンの言葉でビビも勇気をもらえると良いな。

(ほら、奥に進むみたいだぞ。何時までもぼさっとするな)

(うん)

ビビを助けた僕達は地下を調べながら先へと進む。

この世界に存在する不思議な霧。それを使って良く分からない機械でタマゴのようなものを造っている。
普通、霧を使う機械は霧機関と言うのを使って動かすみたいだけれど、この地下の機械は違うみたい。

チョコボを利用して動く板を作り、タマゴを運んでいく。
僕達はタマゴを追って奥に進むと、何か物音がして嫌な予感が増していく。
そして、僕達は見てしまう。

「え?」

タマゴから孵ったと思われる“モノ”が吊り下げられて運ばれていく。
それはどことなくビビに似ていて、でもビビより大きくまるで人形みたいな人達。
僕達はそれを見て言葉を失くして固まってしまう。

(おい! しっかりしろ! ッチ、少しだけ変わるぞ)

ラタトスクが僕と変わり、ジタンと一緒にビビとダガーを連れて物陰に隠れる。
だが、隠れる場所がなくて人形の運ばれていく先に入ってしまい、箱詰めにされて樽に入れられて僕達は運ばれていった。





 
 

 
後書き
連れ去られたビビを追った先で真実の欠片を知ったエミル達。
物語は転がり始める……
残酷な真実は、まだ始まったばかり……

はい、なんだか後書きでちょっとした続きを書いちゃいました。(別に書いても書かなくても良かった思い付きの文なので)

ほんとはリンドブルムまで書けるかなーとか思ってましたが無理でした。
と言う訳で次回はボス戦二連続。リンドブルムまで、書けるよね……?
まあ何処まで書くかは分かりませんが、とりあえずボス戦は終わらせたいです。
 
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