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時空を渡る精霊

作者:蒼鈴六花
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壊れた心

 
前書き
待っている人、まだいるのかな?
すみません。かなーり久しぶりの最新話です。

久しぶりすぎて色々文章が変化しています。 

 
海上の戦闘を終えたすぐ後、俺達はリンディの説教を受けた。
そして海上戦闘での話になるのだが……
なのはが何か思うところがあるらしい。

「フェイトちゃん、あの時、母さんって……」

海上戦闘の最後、雷を落とした奴はフェイトの母、プレシア・テスタロッサ。
なのは曰く、母さんと言った時に驚いていると言うよりは怖がっているような感じだったようだ。
フェイトの母親の情報はほとんどないらしく本局に問い合わせる間、休んでおく事になった。
なのははフェイトの事が気になるらしく渋っていたが……結局家に帰る事になった。


家。
リンディが母さん達と10日間の出来事を簡単に話している。
さすがに危険な戦闘の話はぼやかして話しているがよくもまあ口が回るものだ。
なのははアリサとすずかに連絡して、ムーをもふっていた。無心になってもふっているようだが……悩みがそれほど大きいのだろう。
ユーノは俺に訓練を頼むが軽い訓練だけにしておく。

「まだ、僕は大丈夫だよ」

「休むべき時に休まなかったら戦えねぇだろ?しっかり休むのも訓練のうちだ」

「分かったよ……」

と、そんな感じで家では過ごし、翌日学校へ登校。
久しぶりの学校でアリサとすずかに会う。
すずかは素直に俺達が元気に登校してきた事を喜んでいたが、アリサは相変わらず少し素直ではないが、喜んでいる様子だった。
そして教室でまた学校を休む事になるとアリサ達に話し、今日の放課後にアリサの家に遊びに行く事になったのだが……話の途中でアリサが気になる事を言っていた。

「オレンジの毛並みに赤い宝石がある額、ねぇ……」

何でも怪我をした大型の犬を拾ったと言う話なのだが……あいつを連想してしまう。

(エミルお兄ちゃん……)

(あいつ、だろうな。まあ実際に見て確かめよう)

放課後にアリサの家に行くとやはり怪我をした犬とはアルフの事だった。
しかし念話で話すにしても長引くと不自然だ。
事情を聞くのはユーノやクロノ達に任せ、俺達はアリサ達の所へ行く。

そして数分後、クロノから事情を聞いた。
フェイトの事、母親との関係を……
時空管理局はフェイトの母親、プレシアの捕縛、逮捕に任務が変わるかも知れないと。

「君達はどうする?」

(私は、フェイトちゃんを助けたい!)

(俺もなのはと同意見だ。ここまで来て協力を拒否するなんてしねぇよ)

クロノはフェイトの事は俺達に任せると言った。
なら、俺達は俺達のやり方でやる。

(エミルとなのは、だったね……頼めたぎりじゃないけど、だけど、お願い。フェイトを助けて……あの子、今ほんとに一人ぼっちなんだよ……)

(うん、大丈夫。任せて)

(任せな)

その後、アリサとすずかと話をして遊んで、その日を楽しんだ。
大切な時をかみ締めて。

「エミル君がいるならなのはは大丈夫だね」

「ちゃんと、帰ってきなさいよ?」

「分かってる。何があっても必ずなのはは連れて帰るさ」

「エミル君も、だよ?」

「そうだな、しっかり帰ってくるさ」

「大丈夫だよ。私達の居場所はここだから」

そうして、俺達は明日を迎える。
少しだけ何時もと違う一日を過ごして迎える明日。

「エミル、なのはを頼んだぞ」

早朝、父さんと兄さんに道場で別れを告げる。

「言われなくとも」

「恭也、そんなに心配しなくとも大丈夫さ」

「心配はしてないさ。ただ、念のためな」

「少しは弟の心配をしてもいいんじゃないか?」

「俺より強い奴が何言ってんだか」

「っは、そうだな。俺が帰ってくるまでに少しは強くなってな、兄さん」

「上等だ」

「じゃあ、早速特訓するか?恭也」

「おう」

兄さんと父さんとの会話を終え、待たせているなのはのもとに向かう。

「エミルお兄ちゃん、ユーノ君、遅いよ!」

「悪いな、少し会話が弾んだ」

「僕は悪くないのに……」

「もう……」

顔ではむくれているものの何があったのかは大体察しているなのはは走り出す。
それを俺とユーノが追いかけ途中からアルフが加わり、俺達は鳴海臨海公園へと走った。


――鳴海臨海公園AM5:55

なのはがフェイトを呼ぶ。
風が吹きぬける中でフェイトのバルディッシュの声が聞こえる。
電灯の上に立ったフェイトにアルフがもう止め様と説得するもののフェイトはそれに応じようとしない。
一瞬だけアルフを見た時、フェイトは迷っているようにも見えたが……

なのははお互いのジュエルシードをかけてフェイトに勝負を挑む。
本当の自分をはじめるために最初で最後の本気の勝負。

「行って来いなのは!全力前回で勝って来い!」

「うん!いくよ!フェイトちゃん!」

これは二人の勝負。
俺達が手を出すべきではない。
ただ、見守る。

昔からしたら考えられないけどな。
俺も、いつの間にか変わっていたのか……
精霊も、人も変わらない。
確かに、価値観の違いはあるだろう。だが、人と同じく心を持つ。
変わらない心も、あるだろう。

なのはとフェイトの戦いを見上げながら思う。

(頑張りな、なのは)

念話でもなく、ただ思う。
絶対勝つと信じて。

「なのは!」

「手ぇだすなよ?ユーノ」

なのはのピンチに飛び出しそうになるユーノを制止する。

「でも、なのはが!」

「信じろ、あいつは勝つ。絶対にな」

そう言うとユーノは黙って心配そうになのはを見上げた。
拳を握り締めている所をみるとすぐにでも飛び出しそうだ。
それだけ思いが強いならいっそ告白でもすりゃあ良いのに。戦いが終わったら煽ってやるか。
そう思いながら見上げているとなのはにフェイトの魔法が命中する。
煙でなのはが見えないが……

「なのはーーー!!」

「だから止まれ。少しはなのはを信じてやれよ」

バインドでユーノを抑え、静める。

「ほれ、よく見ろ。なのはは無事だ」

「!?」

煙が晴れてなのはが見えてきた。
今まで動きを封じていたバインドもなくなり、杖を構え攻撃に転じるなのは。
桜色の光がなのはに集まり、なのはの攻撃でぼろぼろになったフェイトにバインドがかけられる。

「これが私の全力前回……!スターライト、ブレイカー!!」

なのはの全力を込めた一撃が桜色の巨大な閃光となってフェイトへと降り注ぐ。

「お、おいおい……あれ、フェイトは生きているのか……」

さすがにこれはやばいと思い、気絶して海に落ちたフェイトとそれを追った息切れ切れのなのはを救出に向かう。
呼吸をしているフェイトにホッとしているとフェイトが目覚め、負けを認めた。
しかし、ジュエルシードがバルディッシュから飛び出し、なのはへと向かう途中で異変が起こる。

「ッチ!こんな時に、なのは!フェイト!」

咄嗟になのはとフェイトを庇ったがバルディッシュは破壊され、ジュエルシードがどこかへ飛んでいく。
しかしその後、複数の気配が移動するのを感じた事からクロノ達が動き出したのだろう。
大体予想はしていたものの前回より気配が薄く、直前にようやく気付けた。
幸い、フェイトとなのはに当たらなかったから良いものを……
予想しておきながら気付けなかった自身にも腹が立つが、娘に容赦なく攻撃するフェイトの母に対する怒りも沸く。
俺は、拳を握り締めてなのはやユーノ達を連れてアースラへと向かった。


アースラ、艦内。

アースラにつくとフェイトは手錠をつけられ俺達はフェイト達をつれて司令室へと向かった。
報告を済ませた後、リンディは母親が逮捕される所を見せるのは忍びないとフェイトを別の部屋に連れて行くように言ったがフェイトは司令室に残り、俺達も司令室に残って逮捕の状況を見たのだが、その後すぐに映し出された映像には衝撃的なものが映しだされた。

「あれは……」

フェイトに瓜二つの少女が液体の入った管の中にいる。
そして、フェイトの母、プリシアはそれをアリシアと呼んで庇っている。

その後、プリシアの攻撃により局員が全滅して送還させられ、プリシアはモニター越しに語りかけてきた。

その中でプリシアはフェイトの事をアリシアの代わりの人形を娘扱いするのもやめるなどと言い始めた。
せっかくアリシアの記憶をあげたのにそっくりなのは見た目だけで役立たずでちっとも使えない人形と。

エイミィが補足説明として語った真実には、プリシアは事故で実の娘であるアリシアを亡くし、そしてプリシアが最後に行っていた研究は使い魔とは別の、使い魔を超える人造生命の生成と死者蘇生の秘術。
フェイトという名前は当時、プリシアの研究につけられた開発コード。

プリシアは作り物の命は所詮作り物。失ったものの代わりにはならない。やっぱりフェイトはアリシアの偽者だとほざく。

「やめてよ……」

なのはがうつむきながら呟くがプリシアには届かない。
プリシアの戯言は止まらず、アリシアが生き返るまでにプリシアを慰めるための人形、だからもういらない。どこへなりと消えなさいと言う。

そして、言ってはならない事を言った。

「貴方を作り出してからずっとね、私は貴方が……大嫌いだったのよ!」

その瞬間、落ちて砕けたバルディッシュと共にフェイトの心が壊れた。
そして、俺の中で何かが切れる音がした。

「屋敷内に魔力反応、多数!」

エイミィの声がアースラに響く。
プレシアの屋敷の中に複数の魔力反応と共に武器を装備した鎧が多数出現した。
プレシアは忘れられた都、アルハザードへと向かうためにジュエルシードを発動させた。
その瞬間、艦内が次元振で揺れる。
クロノがプレシアを止める為にゲートへと向かう。

プレシアの狂った笑い声の響く艦内。
崩れ落ちたフェイトを抱きしめるなのはとささえるユーノとアルフ。
そんな中で、俺は拳を握り締める。

この状態でフェイトを放って飛び出して行ったりはしない。
だが……

「待っていろ……プレシア」

小さく呟き、行動に出た。







 
 

 
後書き
後1話で終わらせる予定。
この作品はかなり初期の作品なので変な所が多いので1期の時点で一応終了させます。
続けるにしても書き直したいくらいです……ネタで外伝として続きの話を書くかもしれないけれど可能性は低く、むしろ新作(ラタトスクと他の作品クロス)を出す可能性が……

なんていうか、最近エミルとラタトスクどちらの人格も残っている状態で出した方が面白いんじゃね?とか思い始めたりして色々悩んでいます。
ちなみに一番投稿する確率の高い新作はFF9とのクロス。天然エミルとドジッ子ビビのコンビは良いと思うんだ……
まあ、新作投稿する前にこの作品を完結させますけど。
最終話をこの勢いのまま書けたらなぁ……
 
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