| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

久遠の神話

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八十九話 六人目への介入その十

「伝えるのですね」
「特に熱の剣士に」
「そうよ、そうすればね」
 智子は強い、確かな目の光で語る。
「彼は絆を確信するわ」
「決して壊れない絆をですね」
「既に信じているからこそ」
「彼は幸せな人よ」
 智子はコズイレフについてこうも述べた。
「とてもね」
「家族としてお互いに信じ合えているからですね」
「愛し合えているからこそ」
「そうした家族はそこにいるだけでね」
 信じ合い愛し合う家族の中、その中でいるだけでだというのだ。
「人は幸せなのだから」
「そしてその幸せを確信出来ればですね」
「熱の剣士は」
 二人も確かな目の光を放っている智子に応える形で言った、二人共無意識のうちにその身体が前に出ている。
「必ずですね」
「戦いから降りますね」
「願うものは既に手に入れている場合もあるわ」
「あの人の様にですね」
「まさに」
「それに気付くか気付かないかよ」
 それだけの違いだというのだ。
「まさにね」
「それではですね」
「あの人は」
「仕掛けるわ、ではね」
 早速だった、智子は二人に告げた。
「一人が彼の家族のところに、そしてね」
「もう一人がですね」
「熱の剣士のところにですね」
「行くのよ、そうしてね」
 智子は話をしていく、またしても策を打ったのだ。しかしその策は汚いものではなく実に綺麗なものだった。
 三人の女神達はこう話した、そして次の日だった。
 上城は樹里と共に登校していた、その時に聡美に会いこう言われた。
「今日はお姉様とアルテミス女神はいないので」
「あっ、そうなんですか」
「今日はですか」
「そのことはご了承下さい」
 微笑んでの言葉だった、二人に対して。
「そういうことで」
「わかりました、そうですか」
「今日はですか」
「いるのは私だけです」
 聡美はここでこうも言った。
「この学園にいるのは」
「まさかと思いますけれど」
 上城は聡美の言葉から察して彼女に問うた。
「戦いの為に」
「その通りです」
 聡美は嘘を言えない、だからその問いに正直に答えた。
「また一人の方に降りてもらう為に」
「そうですか、やっぱり」
「こうして一つずつ手を打っていきまして」
「そうしてですね」
「この戦いを終わらせます」
 そうするというのだ。
「全てはその為です」
「だからですね」
「ここで手を打って」
 上城だけでなく樹里にも話す。
「そして戦い自体を終わらせます」
「じゃあ僕も」
「貴方もですね」
「戦いがある時に」
 その時のことを念頭に置いてだ、上城も言う。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧